現代的な出会いサイト最大手「世紀佳縁」
若い人たちと出会い系サイトの現況はどうだろうか。ネット上には「有縁網」「縁来網」「珍愛網」「百合網」など様々なサイトが存在していて、どこでも簡単に会員登録できる。最大手と見られる「世紀佳縁」を見てみよう。
2003年に北京で会員1000人からスタートした「世紀佳縁交友網」は、5年後の08年末には会員数1900万人を突破、11年5月には、米国ナスダック市場に上場を果たす。同年6月末には会員数4550万人に。13年9月にはついに1億人を突破する。14年末には1億2600万人となった。
このときに実際のカップル成立に至ったのは1200万人だった。
世紀佳縁は、これまで中国大陸105の都市で、集団見合い、集団結婚式など1000人以上規模のイベントを100回以上行っている。
2015年2月、国家網信弁公室は、出会い系サイトを“厳粛管理”するため、数十の好ましからざる出会い系サイトを閉鎖した。また2015年12月、世紀佳縁は、同業の百合網を合併した。現在サイトに表示している会員数は1億3500万人である。
しかし問題も多い。世紀佳縁は実名制ではない。会員の多数は“厳粛”だが顧客資料は“厳密”ではない。事実と異なる、身高、イケメン、金持ち、をアピールしたり、“一夜情”を求めたりする輩、重婚や結婚詐欺の犯罪者、これらをシャットアウトするのは難しい。
この業態は成長から停滞期に入り、他社との差別化が必要となっている。例えば先の百合網はまだ存続していて、会員数9500万人、“実名婚恋網開創者”をうたい、実名登録者の多さをアピールしている。
取引先に結婚間近の20代女性が2人いたので、インタビューしてみた。
すると1人の相手は同級生、もう1人は紹介ということで40代の夫婦と変わらなかった。ここの地区人口は60万人くらい。出会い系サイトによる結縁は、上述の105都市に入る大都市でなければ難しそうだ。また見栄もあり、パートナーはあくまでも自分の力で見つけた、と言いたいようだ。サイトを利用したとは誰も言わないだろう。
女性側の要求は天井知らず
中国でも「宅男」と呼ばれるあまり外出しない男性が増えている。とはいえ中国人は自己主張と交渉の訓練は積んでいて、交流することはできる。ガールフレンド段階なら問題はない。
しかし特別に高い能力を有していない20代の男の子を見ていると、ここから結婚までの道のりは果てしなく遠い。
女性側の要求は天井知らず。マンションを所有または買うメドがついていることは必須だ。車もしかり。共稼ぎのため料理の腕も必要だ。やさしさ、ユーモアもいる。
外見では、高身長またはイケメン、いずれか一つは欲しい。さらに教育レベルの高い女性は、自分より低い学歴の男性とは結婚したがらない。
逆に教育レベルの高い男性は、田舎の女性と結婚しようとすると両親が承知しない。
こうした儒教的な新・秩序感覚のせいで八方ふさがりである。もう純愛だけではどうにもならない。こうした現実を認め、年上バツイチの女性と結婚した男性もいる。互いに理想にとらわれないせいかうまくいっている。
とにかく当面の間、中国は結婚おもしろエピソードの宝庫であり続けるだろう。(高野悠介、現地在住の貿易コンサルタント)
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