韓国サムスンは5月20日、中国の阿里巴巴集団(アリババ・グループ・ホールディングス)傘下のアント・フィナンシャルが提供する決済システム「Alipay」と、「Samsung Pay」の相互決済の実現をWebサイトで正式に発表した。

国際モバイル決済市場の拡大を狙うサムスンにとってユーザー数が4億5000万人を上回るAlipayの確保は、中国での大きな飛躍を意味することとなる。

Ailpay側にも韓国市場開拓のチャンスと、既存ユーザーにより便利な決済環境できるという利点がある。

「戦闘よりも共存」がサムスンの中国市場戦略

今年2月にライバル「Apple Pay」とともに中国進出を果たしたSamsung Payだが、Alipayが猛威をふるう中国市場戦略として「戦闘よりも共存」を選んだようだ。Alipayに絶対的な信頼を置く中国の消費者を誘導する手段としては、まさに理想的な取引といえるだろう。

昨年8月のサービス開始から、韓国ではすでに取引総額が8億5000万ドル(約936億1900万円)に達しているSamsung Pay。先月は国内でのモバイル決済利用率がトップに輝くなど、期待以上の大成功をおさめている。こうした実績がアントに「パートナーとして相応しい」と認められ、中国と韓国を代表する決済技術の提携関係が生まれたものと思われる。

新たなアプリを追加することなくSamsung Payアカウントを開設するだけで、Alipayに直結して決済が行えるという手軽さも消費者にアピールするはずだ。支払いの際にはワンスライドで携帯画面にAlipayQRコードを表示させ、NFC(近距離無線通信)リーダーにかざすだけ。

決済プロセスの短縮が消費をあおる--という戦略が絶大な効果を発揮することは、AmazonやeBayのクイック決済法で立証されている。

アント・ファイナンスのファン・チミン社長は「サムスンの技術を取り入れることで、Alipay決済がよりスピーディーで便利なモノに生まれ変わる」と期待をこめてコメント。

サムスンのモバイル事業研究開発部門責任者、インジョン・リー氏も「Alipayとの提携は、この人気決済アプリの間口をできるだけ多くの消費者に開放するチャンスとなる」と、手放しで今回の提携関係を歓迎している。( FinTech online編集部

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