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(写真=PIXTA)

バブル崩壊後、長くデフレが続いたためかインフレに対する警戒心が薄れているようだ。しかし、政府・日銀は2%の物価上昇をめざしており、思惑通りにインフレが進めば現金の価値は相対的に目減りすることになる。その影響はどの程度のもので、私たちはどのような対策をとればいいのだろうか。

インフレの恐怖

インフレの影響を具体的に見てみよう。例えば年率2%のインフレが起きると、1年後には100万円の現金価値は約98万円になる。これはインフレが起きるとモノの値段が上昇し、同じ金額で買えるモノの数量が減ることになるため、現金の価値が減少したことになるからだ。

100万円 ÷ (1 + 0.02) = 約98万円

このインフレが10年間続くと、

100万円 ÷ (1 + 0.02) ÷ (1 + 0.02) ÷ (1 + 0.02) ÷ (1 + 0.02) ÷ (1 + 0.02) ÷ (1 + 0.02) ÷ (1 + 0.02) ÷ (1 + 0.02) ÷ (1 + 0.02) ÷ (1 + 0.02) = 約82万円

なんと約82万円まで目減りしてしまうのである。

マイナス金利導入を受け預金では利息は期待できなくなったためか、金庫の売り上げが上がっているともいう。いわゆる「タンス預金」のためと思われるが、このタンス預金はインフレの影響をダイレクトに受けるという点はきちんと理解してほしいものだ。

インフレによる資産減少を回避する方法

では、インフレによる資産減少を回避するにはどのような対策が考えられるのか。いくつかの方法が挙げられるが、その中でも効果的なのが資産運用である。例えば、不動産や株式などは、高い投資収益性に加えて、インフレ局面に強いといった特性を持っていると言われている。資産運用を考える時間やノウハウがない、そんな方もいるだろう。そこで紹介したいのが投資信託である。投資信託は、複数の投資家から資金を集め、運用のプロであるファンドマネージャーがひとつのまとまった資金として株式、債券、不動産などに投資をすることで運用していく。個人投資家は、その運用で発生した成果を受けるとことができる。

そのため投資家は、投資先の調査をプロに委ねることができる。また、資金面で言えば不動産投資をするには多額の資金が必要になるが、投資信託が持つ仕組みを活用すれば、少額の資金で不動産への投資も実現できる。投資信託を活用すれば、本来であれば投資できないような投資先にも少額の資金で投資することができるというわけだ。

そして覚えていただきたいのが、いずれの投資信託を選択するにせよ、分散投資や資産配分、定期的なリバランスを忘れずにおこなうという点だ。リバランスとは、時間の経過とともに変化する投資資産の割合を、最初に決めた資産配分に戻す作業のことをいう。定期的なリバランスは相応の手間が掛かるため、そこまで手が回らない人も多い。そのような人におすすめしたいのが「ラップ口座」である。

ラップ口座とは ?

ラップ口座とは、証券会社や信託銀行などの金融機関が顧客と投資一任契約を結び、顧客の資産運用・管理・投資アドバイスなど金融サービスを総合的に提供する口座のことをいう。つまり資産運用を証券会社や信託銀行に包括的に任せる仕組みだ。株式などの売買や、資産運用のアドバイス、口座管理など幅広いサービスを含むため「包む」という意味の英語が使われている。ただしラップ口座は最低運用額が数千万円~数億円程度に設定されることが多く、サラリーマンには敷居が高いのも事実である。そんななか、数百万円から始められる「ファンドラップ」が今注目されている。

ファンドラップのしくみは基本的にはラップ口座と同じだが、運用対象が投資信託に限定されているという特徴がある。このメリットは、プロに運用を任せられること、運用環境の変化に合わせて資産配分の変更やリバランスなどもしてくれるので、資産運用の手間が掛からないという点である。

逆にデメリットとしては、通常の手数料のほかに投資顧問料のようなファンドラップ固有の手数料が発生することである。ファンドラップはプロが運用する以上、その分のコストが発生するということだ。

このようにファンドラップは、かつて富裕層や資産家だけが利用していたラップ口座を、サラリーマンや一般の個人投資家でも利用できるよう身近にしたものである。時間と手間をかけずに、プロのアドバイスを受けながらインフレ対策を行いたい、という人におすすめの投資手法である。(提供: 大和ネクスト銀行

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