金価格,ソロス,Brexit
(写真=Thinkstock/Getty Images)

「Brexit」により金融市場は大混乱となったが、一連の報道のなかでも注目を集めたのが金価格の急騰である。とはいえ、株や為替に比べると馴染みが薄いこともあり、投資初心者のなかには金価格がなぜ急騰したのか不思議に思う人もいるようだ。

英国がEUから離脱するとどうして金価格が上がるのか、そのメカニズムを説明するとともに、今後の見通しについてもふれてみたい。

金は「無国籍の通貨」だから信用がいらない

ずばり最初に結論を述べると、Brexit で金が買われた理由は「無国籍の通貨」だからだ。

すなわち、金はそれ自体に価値があり、株や債券、通貨と違って発行体というものが存在しない。株であれば企業が倒産すれば無価値になるし、債券も国や企業が破綻すればその価値の大半は失われてしまう。

普段は意識されることはまれだが、通貨も国の信用の上に成り立っており、信用がなくなればただの紙切れだ。今回の Brexit に端を発した金融市場の混乱は、突き詰めれば国家に対する信用が揺らいだことに行き当たる。EUの政治的な統合という「未来予想図」は少なくともこれまで描かれていた形で実現されることはなくなった。

単に無国籍というだけであれば原油やトウモロコシなどの「商品」にも国籍はないが、これらは「通貨」の役割を果たせない。通貨の役割とは主に価値の交換手段のことで、金は世界中のどこにいっても現地通貨と簡単に交換ができる。腐ったりしないし、それほどかさばらないので持ち運びにも便利だ。

そもそも人類の歴史を振り返れば、金こそが通貨であり続けた経緯がある。現在のように通貨が国の信用に依存するようになったのは、長い歴史の中でごく最近の話といえよう。

このように、金は「誰の負債でもない」ことから、信用に対するリスク、特に国家に対する信任が揺らぐときに輝きを増す傾向にある。