2階部分の厚生年金は、会社員や公務員が加入する年金です。会社員や公務員は国民年金にも加入しているので、それに上乗せして加入する仕組みになっています。厚生年金の特徴は、収入に応じて年金保険料が変わるということです。つまり、収入が高いほど年金保険料も高くなります。もちろん、高い年金保険料を支払った人は、将来年金も多くもらうことができます。なお、会社員や公務員は「国民年金」と「厚生年金」の2つ分を支払うので年金保険料も高くなりますが、半分は勤務先が支払ってくれるので負担は少なくてすみます。

3階部分は、前述の私的年金部分で、「厚生年金基金」や「確定拠出年金」がこれにあたります。厚生年金基金は、厚生年金の一部を独自に運用しつつ、それに一定の上乗せ年金を加算するというものです。厚生年金基金は運用難から廃止が進んでおり、その代わりに確定拠出年金などを導入する企業が増えてきています。

確定拠出年金と確定給付企業年金

確定拠出年金は、一定の金額を拠出してその運用によって年金を受けるというもので、近年急速に注目を集めるようになっています。

確定拠出年金の良いところは、自分で運用方法を選べるということです。運用をうまくすることができれば年金資産を増やすことができます。確定拠出年金には「企業型年金」と「個人型年金」の2種類があります。企業型年金は確定拠出年金制度を採用している企業に勤めている会社員が加入でき、個人型年金は自営業者や確定拠出年金等の企業年金を採用していない企業に勤務している会社員が加入できます。

確定拠出年金と名前が似たものに「確定給付企業年金」というものがありますが、仕組みは大きく異なります。確定拠出年金が拠出額、つまり掛け金を自分で決めて運用してもらい、運用実績に応じた額が支払われるのに対し、確定給付はあらかじめ約束されている給付額が加入者に支払われます。運用するのは企業です。

なお、共済年金にはかつて「職域加算」という3階部分がありましたが、厚生年金への一本化に伴い職域加算は廃止されています。その代わり、「年金払い退職給付」という制度が創設されています。これは積立方式の年金で原則として65歳から支給されるものです。

このように年金にはいろいろな種類があり分かりにくいところがありますが、自分がどの年金に加入していていつからどれ位もらえるのか把握しておくことは大事なことです。2007年5月頃のいわゆる「消えた年金問題」や、共済年金と厚生年金の統一に伴う元国家公務員ら約1万2,000人分の共済年金への支給額の誤りなど、行政もミスをします。

現在では各人に「ねんきん定期便」が送られてくるので、すぐにゴミ箱に捨てるのではなく間違いがないかどうか確認し受け取り見込み額を確認しておくとよいでしょう。

自分の将来について考える時間を持つことはとても大事なことです。 (提供: お金のキャンパス

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