「世界の一流投資銀行(Vault Banking 50)」の最新版(2017年)が発表され、前回まで3年連続2位に甘んじていたゴールドマン・サックスが首位を奪い返した。
2位には昨年から1ランクアップのモルガン・スタンレー、3位には小規模ながらも堅硬な実績が評価されたセンタービュー・パートナーズが選ばれた一方、前回1位だったブラックストーンが圏外落ちするなど、順位変動の目立つ結果となった。
トップ10は昨年から順位をあげた銀行が多く、デジタル化に熱心なゴールドマン、JPモルガン、バンカメなどのほか、モエリス・アンド・カンパニーが圏外からランクイン。
注目すべきは今回初登場のPTJパートナーズ。前回1位だったブラックストーンのアドバイザリー部門と独立系投資銀行、PTJキャピタルの合併により誕生した。
第7回となるVaultの投資銀行ランキングは、投資銀行業務の専門家を対象にした調査結果を集計し、7つの項目(信頼40%・社風20%・給与10%・事業展望10%・全体的な満足度10%・仕事と私生活のバランス5%・訓練5%)に重点を置いて評価したものだ。
今回上位に選ばれた企業はいずれも、「各従業員が自分の役割に誇りをもって、熱心に仕事に打ちこめる環境」が整っているということになる。
10位 PTJパートナーズ(7.281ポイント)初登場
初登場となるPTJは2015年10月、ニューヨークに設立されたアドバイザリーを中心とした投資銀行だ。企業再編コンサルティングと戦略アドバイザリーを得意分野に、設立間もないながら、Yahoo、コムキャスト、ライオンズゲートなどの国際大手企業を顧客にもつ。
9位 モーリス・アンド・カンパニー(7.400ポイント)昨年16位
本社をニューヨークに置き、北京、ロンドン、メルボルンを含む国際大都市に支社を構える。2007年の設立以来、企業専門のアドバイザリー業務で、従業員650人をかかえる大手に成長。経済誌「Euromoney」の「2010年最優秀独立系国際投資会社」に選ばれるなど、数々の賞を受賞している。
8位 ペレラ・ワインバーグ・パートナーズ(7.487ポイント)昨年9位
本社のあるニューヨークからロンドン、アブダビ、ドバイなど、世界6都市でアドバイザリーと資産管理業務を主要2部門として行う独立系アドバイザリー会社。
2006年に設立され、ロンドン証券取引所とドイツ証券取引所の合併、ABインベブとSABミラーの買収など、これまで多数の大型M&Aを手がけてきた。
7位 グリーンヒル・アンド・カンパニー(7.546ポイント)昨年7位
ニューヨークを拠点に世界14カ国でアドバイザリー業務を展開する、設立20年のブティック型投資銀行。「哲学」と「専念」を信念にかかげる、ユニークな社風で知られている。
典型的な投資会社にように業務内容によって事業を部門分けせず、M&Aから融資まで幅広い分野を総合的に対応している。
6位 バンク・オブ・アメリカ(7.562ポイント)昨年11位
1874年にコマーシャル・ナショナル・バンクとして設立されて以来、数々の合併を繰り返しながら世界35カ国で470万人の顧客をもつ、世界最大の金融機関のひとつに成長。米ベスト企業ランキング「フォーチュン1000企業」の96%、国際ベスト企業ランキング「フォーチュン500」の81%が顧客という不動の地位を誇る。本社はノースカロライナ州シャーロット。
5位 JPモルガン(7.758ポイント)昨年8位
商業部門、JPモルガン・チェース銀行の投資部門として、資産管理から投資銀行業務まで国際的なスケールで手掛ける総合金融大手。設立217年、運用資産額2兆4000億ドル、ニューヨークの本社を含め世界中で24万人の従業員を雇用している。投資業務では2009年から4年連続でゴールドマンやモルガンという強敵をおさえ、トップの座を維持していた。
4位 エバーコア(8.109ポイント)昨年4位
ブラックストーンと著名米投資銀行家、ロジャー・アルトマン氏が1995年、ニューヨークに共同設立した独立系投資アドバイザリー企業。2006年に上場後、北米、欧州、南アフリカなどで28の支社を所有する国際企業に成長を遂げた。日本や中国、韓国を含むアジア地域でも提携事業を展開している。
ゴールドマンやモルガン特有の華やかさには欠けるが、現在までにとりまとめたM&A交渉総額は2兆ドルを上回るという実力派だ。
3位 センタービュー・パートナーズ(8.169ポイント)昨年5位
M&Aや企業再生を主要業務とするブティック型投資銀行。スイスの国際金融機関、UBSのブレア・エフロン副会長と、米投資銀行、ワッサースタイン・ペレラの元CEO、ロバート・プリュザン氏によって、2006年にニューヨークで設立された。
従業員数は260人と小規模ながらロンドンやサンフランシスコにも拠点を置き、ゼネラル・エレクトリックによる金融部門の保有資産売却(2000億ドル相当)を始め、SABミラー、ハインツなどの大型取引を手がけている。
2位 モルガン・スタンレー(8.187ポイント)昨年3位
常にランキングの上位を維持する巨大国際投資銀行。ニューヨークに本社を構え、機関投資家向け証券・資産管理・資産運用を支柱に、多岐にわたる分野でサービスを提供している。
1935年の設立以来、世界各国で5万5000人の従業員を抱え、今年の上半期は海外・国内ともにM&A取引量が2位という快挙をなしとげた。会長兼CEOのジェームズ・ゴーマン氏は、金融産業のカリスマ的存在だ。
1位 ゴールドマン・サックス(8.310ポイント)昨年2位
1869年にニューヨークで設立され、国際的な視野から金融産業を先導してきた世界屈指の投資銀行。投資、証券、資産管理など多様な分野を得意とし、顧客層は個人投資家から政府まで幅広い。
米国内からロンドン、フランクフルト、東京、香港まで、世界の主要都市に、3万6500人の従業員を置き、近年はJPモルガンやバンカメと競うようにFinTechにも力をいれている。今年上半期は海外・国内ともにNo.1のM&A取引量をたたきだした。(ZUU online 編集部)
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