ワンコイン保険はメルセデスを購入するのと同じ
保険に加入する際の見極めのポイントとしては、保険料は「月額」ではなく「支払総額」で考えることが重要である。
保険料の月額が1万5000円の場合、保険のセールスマンは「1日で考えるとワンコインの500円で安心が買えます」などという。しかし、支払総額で考えると、支払い期間が30年の場合、保険料の総額は540万円にもなる。540万円ならメルセデス・ベンツのCクラスが1台買える値段だ。保険に加入するときそれだけの買い物をすると意識しているだろうか。保険に加入する時は「これくらいの保険料なら払えるか」ではなく、「これだけの高い買い物をする価値はあるのか」で考えてほしい。
その保険は本当に必要なのか?
次に、保険に加入する前に、貯蓄や投資でリスクをカバーできないか考えてほしい。
そもそも数億円の資産があるようなお金持ちは相続対策を別にすれば、保険に加入する必要性はない。万が一のことがあっても自分が持っているお金でリスクを十分カバーできるからだ。
もちろん、一般のサラリーマンですべてのリスクをカバーできるだけの資産を持っている人は少ないだろう。しかし、金額の多寡はともかく貯蓄や投資があるという人はいるはずだ。
貯蓄や投資があるならば、それでリスクがカバーできる分は保険に加入する必要はない。また、今は貯蓄や投資がなくても保険に加入せず、その分を貯蓄や投資に回すことで将来の経済的リスクに対応できないか考えることも大事だ。さらに、社会保障制度でカバーできないか考えることも重要である。入院で考えると、医療保険制度の影響から長期入院はさせない病院が多く、また、高額療養費制度があるので年収が370万円から770万円の人であれば、医療費の上限は(8万100円+(医療費-26万7000円)×1%)に抑えられている。
保険の入院給付金は1日あたり5000円から1万円で加入する人が多いが、10日入院しても、5日は免責される保険が多いので、給付金が5000円の場合で2万5000円、給付金が1万円でも5万円しか支給されない。この程度のお金なら貯蓄で十分賄えるはずだ。また、亡くなった場合にも遺族年金があるので、生活費の全てが必要というわけではない。なので、必要保障額を考える場合にはこの点も考慮して欲しい。
「もっと早く保険に入っておけばよかった」には注意
これまで、無駄な保険に入らないためのポイントについて解説してきたが、保険は誰でも入れるというものではないのでその点だけは注意して欲しい。投資や貯蓄は誰でもいつでも始められるが、病気の人や危険な職業の人は生命保険に入れない。健康診断で数値に異常が出れば、保険加入に条件が付いたり断られたりする。後になって「もっと早く保険に入っておけばよかった」ということのないように、ある程度の年齢になったら最低限の生命保険には入っておきたい。(ZUU online 編集部)
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