住宅ローン減税,確定申告,不動産
(写真=PIXTA)

人生で最も高額な買い物と言われている住宅。低金利の今、住宅ローンでの購入を検討する方も多いだろう。そこで少しでもお得に借り入れできるように、住宅ローン減税のポイントを5つご紹介する。


住宅ローン減税とは

住宅ローン減税とは住宅ローンの借り入れをすると一定期間所得税や住民税の控除が受けることができる仕組みだ。正確には「住宅借入金等特別控除」というものだが住宅ローンならなんでも良いというわけではなく所得が3000万円以下であることや住宅取得から6カ月以内に入居し控除を受ける期間住み続けることなど一定の手続きやルールがある。

さて、どのぐらい減税されるのかというと、毎年12月31日時点の住宅ローン残高の1%が、購入した住宅に入居してから10年にわたって減税されることになる。ローン残高なのでこの金額は少しずつ減っていくことになる。例えば年末時点の住宅ローン残高が1000万円だった場合、1%の10万円が対象となる。

しかし、注意したいのはこの30万円全額が戻ってくるわけではないことだ。払っていた税金が還付されるだけなので支払った額以上に還付を受けることはできない。

減税の条件とその計算

減税を受けるには細かい条件が設定されている。

1. 取得から6ヶ月以内に入居し、現在の期間中住んでいること。
2. 合計所得金額が3000万円以下であること。
3. 床の面積が50平米以上であること。
4. 床面積の1/2以上が自己の居住に使われていること。
5. 民間の金融機関のローンを利用していること。
6. 住宅ローンの返済期間が10年以上あること。
7. 中古住宅の場合は耐震基準を満たしていること。

大きく見るとこのようになっている。

新築のみならず中古物件の購入やリフォームであっても条件に当てはまるなら減税の対象となる。普通に家を購入すれば多くの場合対象となる条件である。ローンに関しては金融機関からの借り入れが必要となり、親や親戚から借りたものは対象にならない。

減税シミュレーション

現在住宅ローン減税の控除率は1%となっている。ただし控除限度額は20万円だ(住宅の取得等が特定取得に該当する場合は40万円)。そこで実際にシミュレーションしてみたいと思う。

今回は35歳で年収450万円、住宅ローンの借入額3000万円、返済年数35年、返済方法は元利均等返済方式でボーナス払いは無、金利は1.8%という条件で計算することにする。この時毎月の返済金額は9万6300円。一年目の年末残高は2937万9000円で、この金額に対する控除率は1%。控除額は29万3800円といきたいところだが、控除限度額は20万円。加えて、実際に払った税金分しか還付はされない。

この時の所得税は7万2900円、住民税は13万6500円でそれらの合計から20万円引くと9400円。この9400円が控除対象となる

ペアローンという、それぞれ収入のある夫婦や親子が一つの金融機関で別々の債務者としてローンを組む方法もある。借り入れる金額を多くすることができ、ローン減税の際にも一人で借り入れした場合よりより減税が可能となる。しかし、子供の出産などで片方の収入が減れば減税も少なくなるためリスクをしっかり理解した上で利用する方がよいだろう。

確定申告のおさらい

住宅ローンの減税を受けるにはかならず確定申告が必要となる。確定申告とは1年間の所得を税務署に報告し納税する制度のことである。自営業であれば毎年確定申告をしているのでさほど苦労することはないと思うが、会社員だと勤めている会社が代行して給料から天引きし納税を行なっているので今まで全く確定申告をしたことがない方も多いだろう。

払いすぎた税金は年末調整で還付されることになっている。住宅ローン減税は申告してはじめて還付の対象となるため、10年間の控除を受けるには最初の1年目に確定申告を行い、残りの9年は年末調整で手続きが行えるようになる。

確定申告を行うには金融機関から送られてくる「残高証明書」と税務署から送られてくる「控除証明書」が必要だ。残高証明書は毎年送られてくるが、控除証明書は1年目に後の9年分の書類もまとめて送られてくるので保管に注意し無くさないようにしたい。なくした場合は税務署にて再発行が可能である。

確定申告は税務署でもインターネットでも可能だが、普段やっていない方がわからないときに質問できることを考えると近くの税務署で申告するのが良い。

しかし、夫婦共働きで平日の休みが取りにくく、たくさんの書類をそろえて税務署に行くというのは難しいという方もおられるだろう。その場合は、代行サービスを利用することもできる。税理士など資格を保持者が行っているサービスで必要書類をそろえるところから申告までまた、2年目、3年目のフォローまであり安心してお願いできる。

中古物件に関して注意点

住宅ローン減税は中古マンションや中古一戸建て物件も対象となっている。しかしいくつか条件があり、そのひとつが築25年以内の耐火建築物であること。耐火建築物以外であれば築20年以内であることだ。耐火建造物という表現が難しいが、多くの場合は木造住宅なら20年、鉄骨やRCなら25年と考えられているようだ。

では、耐火建築物で築25年以上の物件、耐火建築物以外で20年以上の物件は対象とならないのだろうか。以下の方法で対象物件とすることができる場合もある。

まず一つ目は耐震診断を行い耐震基準適合証明書を取得する方法。二つ目は既存住宅瑕疵保険に加入して保険付保証明書を取得する方法だ。耐震診断を行っても設計図がないと耐震基準に適合していないと判断されることもあるようだ。耐震基準に適合しない場合は既存住宅売買瑕疵担保責任保険に加入するという方法を試してみると良い。

もし海外転勤が決まったら?

住宅ローン減税が受けられる条件の中に、「住居を取得し、その住居に住み続けていること」という条件がある。そのため、例えばマイホームを買って喜んでいたところに会社から3年間の海外転勤を命ぜられ、その家に住み続けることができなくなると減税が受けられなくなる。この場合、空き家であっても、第三者に貸していても現在は適用されない。

国内転勤の場合も同じようにその家に住み続けなければ住宅減税は受けることができないが、転勤等やむをえない理由がある場合にのみ、単身赴任で家族がその家に残り住み続けるなら転勤期間中も本人がそこに住んでいるとみなし住宅ローン減税を継続してそのまま受けることができる。しかし、転勤先が海外となると非居住者とみなされ減税の適用は無くなる。

もし、帰国後その住居に戻ってきた場合、10年間ある減税期間のうち、残存期間に限っては減税の再適用を受けることが可能だ。これらは、住宅ローンの減税をすでに受けている時が対象となっており、もし住宅購入後その家に住むことなく海外転勤した場合は、住宅ローン減税を受けることができないので注意が必要だろう。

住宅ローン減税が受けられる条件はその時代の経済情勢によって変化している。現在受け取れる減税は10年で最大400万円、認定長期優良住宅なら10年で最大500万円の減税が可能となっている。

この条件が受けられるのは2019年6月までに入居した場合となっており、今後この条件が継続されることもあるかもしれないが、最大金額が引き下げられることもある。住宅を購入しようかと迷っている場合は早めに検討すると良いだろう。