「どこでも仕事ができる」仕組み作りにこだわった
ヘルシーメニューの社員食堂でも有名な、老舗健康計測機器メーカーのタニタ。社長の谷田千里氏はここ数年、トップ主導でオフィスの大改革を行なってきたという。製造業だけに昔から「5S」は重視していたというが、オフィス改革のきっかけとその目的は「会社に来なくても仕事ができる環境作り」だった。その真意と実践の過程について、お話をうかがった。
ハードが整っていなければ片づける気も起こらない
健康計測機器分野における先駆け的存在であり、乗るだけではかれる体脂肪計や部位別の測定が可能な体組成計を世界で初めて開発するなど、常に業界をリードしてきたタニタ。最近では、社員食堂のレシピをまとめた書籍『体脂肪計タニタの社員食堂』(大和書房刊)シリーズの大ヒットでも注目を集めた。
このタニタを2008年から率いるのが、代表取締役社長の谷田千里氏。社長就任後、真っ先に着手したのが「5S」(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)にもとづくオフィス改革だった。
「弊社は製造業ですから、以前から当然のように『5S』に取り組んできました。ただ、どうしても疎かになっている部分があったので、私が社長に就任したのをきっかけに、さらなる徹底をしようと決めたのです。
まず着手したのが、オフィスのリニューアルです。当時の本社は、かなり老朽化が進んでいて、おせじにもきれいとは言えませんでした。この状態のまま、社員に『オフィスをきれいにしろ』と言っても、やる気にならないと思ったのです。そこで耐震工事も兼ねて、大幅なリフォームを実施しました。このハード面での工事が完了したのが2011年3月で、そこから本格的に社員が働くオフィス環境の改革をスタートさせました」