住宅,住宅 購入
(写真=Syda Productions/Shutterstock.com)

すまい給付金は、住宅購入の際には必ず利用したい制度である。名前は聞いたことはあるけれど、どのような仕組みかイマイチわからないという方も多いだろう。今回は、すまい給付金について基本的な部分から、具体的な申請方法までを解説していく。

目次

  1. すまい給付金とは?
  2. 消費税の引き上げに伴う税制の経過措置とは
  3. すまい給付金の対象者は誰?
  4. 給付対象となる住宅の要件とは?
    1. 新築住宅の場合
    2. 中古住宅の場合
  5. 住宅への補助金実施期間はどれくらい?
  6. すまい給付金の申請方法とは?
  7. 使わななければ損をする

すまい給付金とは?

すまい給付金とは、消費税率引き上げに伴う住居購入者の負担を軽減するために創設された公的な制度で、収入額に応じて一定額が給付される制度である。

2016年現在は消費税率8%だが、収入の目安が510万円以下の方が対象となり、最大30万円が補助される仕組みになっている。2019年10月からの消費税額10%引き上げに伴い、それ以降は収入775万円を目安に最大で50万円が給付される。

元々、住宅購入の際には土地は非課税扱いとなっているが、建物に対して消費税が課税されるのだ。中古住宅の買取再販(不動産業者が物件を買取り、リフォームなどを行い販売すること)、個人間での売買は非課税である。

すまい給付金の期間は、2014年4月から2021年12月までとなっている。すまい給付金を受け取るためには、「給付申請書」を作成し、確認書類を添付し申請しなければならない。必要な申請書等については、国土交通省すまい給付金の公式サイトからダウンロードし、給付金申請窓口に持参するか、郵送することで行う。

消費税の引き上げに伴う税制の経過措置とは

実は消費税額は、マイホームの「引渡し時点」での税率により決定される。つまり、契約から引渡しまでの間が長く、税率が変更後に引渡しとなれば、その時の税率によって課税されてしまうのだ。契約は増税前に行っていたのに、引渡し時期により多くの税金を納めることになってしまうため、経過措置が設けられている。

次の増税は2019年4月からなので、2019年9月30日までに契約をした場合、仮に増税後の引渡しとなったとしても引き上げ前の税率が適用されるという制度だ。ただし、あくまでも契約日が増税前である必要があるので、注意してほしい。マンション等を購入する場合、内容について特別な注文を出すことができることになっていれば、それにも同様の経過措置が適用される。

経過措置の期間が終われば、通常通りの消費税額に戻ってしまうので、数年以内に住宅購入を検討されている方は、この仕組みを覚えておいてほしい。

すまい給付金の対象者は誰?

では、すまい給付金は誰が受け取ることができるのか。対象者は「住宅を取得し、登記上の持分を保有するとともにその住宅に自分で居住する」こと、「収入が一定以下」である方である。住宅ローンを利用しないで住宅を取得する現金取得者は年齢が50歳以上であることが必要だ。

住宅の所有者は、「不動産登記上の持分保有者」、住宅の居住者は「住民票において、取得した住宅への居住が確認できる者」が要件である。

収入は、先述した通り消費税8%時点では510万円以下、10%に増税後は775万円以下の者が対象となる。ただしこれは、夫婦(妻は収入なし)中学生以下の子どもが2人いるモデル世帯での収入額の目安である。

詳細は、住まい給付金サイトを参照していただきたいが、計算式は「給付額 = 給付基礎額 × 持分割合」だ。収入が425万円以下都道府県民税所得割額6.89万円以下の場合には給付基礎額は最大の30万円となり、それに持分割合を掛け合わせ給付額が決定される。

給付対象となる住宅の要件とは?

給付対象となる住宅の要件は、「新築」か「中古」かによって異なっている。それぞれ見ていこう。

新築住宅の場合

新築住宅の定義は「人の居住の用に供したことのない住宅であって、工事完了から1年以内のもの」である。さらに住宅ローンの利用の有無によって要件が異なる。

住宅ローンの利用がある場合には、床面積が50平米以上である住宅で、住宅瑕疵担保責任保険へ加入した住宅、建設住宅性能表示を利用する住宅、住宅瑕疵担保責任保険法人により保険と同等の検査が実際された住宅のいずれかに該当し、施工中等に第三者の現場検査を受け一定の品質が確認されることが必要だ。

住宅ローンの利用がない場合には、上記条件に加え年齢が50歳以上であること、独立行政法人住宅金融支援機構のフラット35Sと同等の基準を満たす住宅であることが必要になる。

中古住宅の場合

中古住宅の場合には、売主が宅地建物取引業者である中古住宅が対象で、売主が個人である場合には消費税が課税されないため対象外となる。

住宅ローンを利用している場合には、先ほどと同様床面積が50平米以上である住宅で、第三者の現場検査を受け一定の品質の確認に加え、「耐震基準」も検査される。既存住宅売買瑕疵担保保険へ加入した住宅、既存住宅性能表示制度を利用した住宅(耐震等級1以上)などの要件がある。

住宅ローンの利用がない場合には、こちらも先ほどと同様年齢が50歳以上であることが要件となる。

住宅への補助金実施期間はどれくらい?

まずは、ここまで説明した要件を全て満たしていることが求められるが、実際に給付されるまでには、申請から概ね1.5か月から2か月程度を要する。すまい給付金事務局にて、先述した要件を満たしているかなどの審査を行い、その後正式な給付が決定すれば、給付金が振り込まれることになるのだ。

申請が可能なのは取得した住宅に入居した後からになるので、居住後すぐに申請を行っても、その翌々月頃になることが予想される。

すまい給付金の申請方法とは?

まずは、すべての要件を満たしているかを確認しておく必要があるだろう。要件を満たしているかどうか、自身での判断が難しい場合には、すまい給付金サポートセンターに連絡し、確認をする。

すまい給付金の申請期限は、住宅の引き渡しを受けてから1年以内(現在は1年3か月に会陰長されている)だ。それを過ぎてしまっては、給付されないので早めに準備を進めておくことをお勧めしたい。

申請先はすまい給付金事務局になるが、居住の地域に窓口があれば直接申請に行くことも可能だ。郵送で申請をする場合には、期間内に申請ができるよう余裕を持って発送してほしい。

申請書類は、新築か中古か、さらにその中で住宅ローンの利用の有無によって4種類存在するので、間違いのないよう正しい申請書を提出しよう。

給付金は本人の受け取りが基本だが、住宅事業者が申請者に変わり「代理受領」を行うこともできる。つまり、業者への支払いに直接当てることも可能である。その場合には、業者と契約時にすまい給付金事務局指定の特約を締結する必要がある。

使わななければ損をする

すまい給付金は、申請をしなければその恩恵を受けることができない。住宅業者から聞き、始めて制度を知ったという方も多いだろう。

住居購入には、様々なお金がかかる。給付されるのと、されないのとでは大きな差が生まれ、申請しなければその分「損」をしてしまう。すまい給付金制度を活用し、少しでも資金負担を軽減してほしい。