五郎丸,ニチレイ,本格炒め炒飯
(写真=Getty Images)

近年、冷凍炒飯でちょっとした革命とも言える変化が起きているのをご存知だろうか。テクノロジーを駆使した「炒める」「あおる」といった技術革新で、冷凍炒飯の味が格段に向上しているのだ。各社とも新製品の投入・リニューアルが相次いでおり、さながら「冷凍炒飯戦争」の様相を呈している。

そうした中で注目されるのが、ニチレイ <2871> だ。同社の株価は1月6日に2544円と昨年来の高値を更新した。この一年で40%以上も上昇しており、チャートはほぼ右上がりのトレンドを示している。株価上昇の背景の一つとして指摘されるのが「冷凍炒飯のヒット」による業績の拡大である。

五郎丸選手の「本格炒め炒飯」がポイントゲット

ニチレイの定番商品の一つに「本格炒め炒飯」がある。冷凍炒飯の売上で「14年連続 NO1」を記録する人気商品だ。2016年3月に同社は「本格炒め炒飯」を大幅にリニューアルした。

その「本格炒め炒飯」の新CMに起用されたのが、ラグビー・ワールドカップで日本中を賑わした五郎丸歩選手だ。ニチレイのユニフォームを身にまとった五郎丸選手がルーティンどおりボールをセット。と思ったら、そこにはニチレイの「本格炒め炒飯」が置いてあるというもので、五郎丸選手の一心不乱な食べっぷりが話題になった。

ニチレイの加工食品子会社であるニチレイフーズの独自の新製法による「三段階炒め」でより香ばしくパラパラに仕上げ、増量した焼豚やネギ油がより香ばしくなった「本格炒め炒飯」。筆者もお気に入りの一品だ。

昨年9月には、北海道産の一等米を使った新製品「レンジでふっくらパラッと五目炒飯」を投入、こちらも五郎丸選手のCMとともに登場した。炒飯の容量が560グラムで「ゴローマル(560)」と洒落たのも見逃せない。

冷凍炒飯の売上が利益を押し上げる

ニチレイが昨年11月に発表した2017年3月期中間決算では、売上は1.8%増の2700億円と微増ながら、本業の利益を示す営業利益は161億円と54.6%も増加した。

同社は、中間時点での利益が予想を上回ったため、期初に提示した通期の営業利益予想(217億円)を260億円に約20%上方修正した。アナリストのコンセンサス予想は273億円とさらに会社予想を上回っており、市場ではさらなる上昇を期待する声もある。

セグメント別で見ると、ニチレイの加工食品部門は売上の38%、営業利益の55%をそれぞれ占める大黒柱だ。その加工食品部門の営業利益が前年同期比58%増となったことが、ニチレイの上方修正の主な要因である。加工食品部門の中でも「本格炒め炒飯」や「レンジでふっくらパラッと五目炒飯」が含まれる家庭用調理冷凍食品の売上は253億円と前年同期比11.4%もの伸びを示している。

冷凍炒飯戦争でマーケットの拡大が続く

冷凍炒飯が好調なのはニチレイだけではない。2015年までは、同社の「本格炒め炒飯」と、マルハニチロ <1333> が2007年に発売した「あおり炒めの焼豚炒飯」が2大ブランドだった。

そうした中、上記の2強に殴り込みをかけたのが、2016年8月に味の素 <2802> が発売した「焦がしにんにくのマー油と葱油が香る ザ・チャーハン」だ。ダブルいため製法と焦がしニンニク油を使ったことが、ガッツリ派の20〜30代の男性を中心に支持を集めた。

味の素の推定によると、2014年度の市場規模は前年比で27%拡大、2015年度も約30%拡大と急成長しているという。冷凍炒飯革命、冷凍炒飯戦争が市場を刺激し、成長をもたらしている。

「炒める」「あおる」冷凍炒飯革命で味も向上

冷凍炒飯は利益率が高いとされている。たとえばスパゲッティの場合、ミートソースやカルボナーラなどで具材や製造工程が異なるため生産ラインを替えなくてはならない。だが、炒飯は同一生産ラインで味を替えることが可能で、その分設備にかかるコストも抑えられる。また、米の価格の長期的な値下がり傾向も、原価安として利益増に貢献している。

冒頭で紹介したように、近年の冷凍炒飯は「炒める」「あおる」という新しい工程が加わったことでテクノロジー革命が始まり、味が格段に向上した。有名料理人が作ったようなパラパラ感のある炒飯が、家庭で気軽に楽しめるようになったのだ。日本人の米の消費量は減少傾向にあるが、そうした中にあって冷凍炒飯市場の拡大は続いている。

冷凍炒飯の味が上がることは、私たち消費者にとっても大歓迎だ。今後も冷凍炒飯戦争、冷凍炒飯革命の行方とともに注目したい。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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