TAX
(写真=PIXTA)

個人事業主といえば、その人の力量や能力次第で売り上げを大きく伸ばすことができる。そこが、自営業の醍醐味ともいえるだろう。

稼ぐことも重要だが、その一方でいかに節税を行うかも個人事業主にとっては重要だ。そこで、個人事業主を中心に、節税術にはどのようなものがあるのかを解説していこう。

そもそも個人事業主が負担する税金には何があるのか

まず、個人事業主が負担する税金には何があるのかを確認していこう。所得税や住民税を負担する点は会社員と変わらない。会社員との違いは、消費税と個人事業税がかかる点だ。

このほか、事業所などの土地や建物、営業用車両などに関しては購入した場合、固定資産税や償却資産税、自動車重量税(個人でもかかりますが)がかかるため、会社員よりも負担が多いように感じる方もいるかもしれない。

所得税の節税のポイントを知ろう

固定資産税や償却資産税は、土地や建物などの評価額に対して課税されるため、一般的には減らすことはできない。なお、消費税は売上げが税金計算の基礎となるが、一方で支払った消費税を差引けるので、やり方によっては節税が可能となる場合があるが、それ以外の条件もいろいろとあるため、詳しくは税理士に相談することが得策といえる。

しかしながら、所得税や住民税、個人事業税は所得(収入から費用を差引いた金額)によって税額が決まるため、所得次第で節税は可能だ。

どのようにすれば、節税ができるのだろうか。前述のとおり所得は「収入-必要経費」で算出されるため、必要経費を見直すことがポイントになる。また所得税は、各種所得控除分を差し引いた後の所得(課税所得)に対して税額を求めることから、何が控除できる項目かを知ることも重要だ。

もう一点、所得税を算出後に差し引ける税額控除もあるため、必要経費、所得控除、税額控除に何が該当するのかをしっかり把握する。これが節税のポイントと言えるだろう。

個人事業主の場合、事業でかかる費用は基本的に必要経費となる。たとえば、交際費、交通費、消耗品費などさまざまなものが含まれるため、費用となるものはきちんと計上していこう。ただし、事業に関係のないものは必要経費に入れられないため、詳細は税理士へ確認しよう。

なお、費用として計上できるものの中に、減価償却費がある。減価償却費とは、例えばわかりやすい例をいえば、賃貸用に取得した建物の経年劣化による価値の減少分だ。実際に費用としてキャッシュが出ていくわけではないが、不動産を所有すると減価償却費が計上できるため、所得圧縮に利用することができる。

控除や減税などの節税術

所得控除や減税(税額控除)にも各種あるが、所得控除で利用したいのが生命保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、社会保険料控除だ。

個人事業主ならではというわけではないが、条件に合致した生命保険に加入すると、生命保険料控除を適用することができる。実際には3種類(一般の生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除)あるが、それらを全て活用すれば所得税で最大12万円、住民税で最大7万円の控除を活用できるのだ。

個人事業主ならではの節税といえば、小規模企業共済や国民年金基金もしくは確定拠出年金(制度変更により2017年1月からはほぼ全ての現役世代が利用可能)への加入だろう。小規模企業共済は退職金積み立ての役割を果たすもので、掛金は全額、小規模企業共済等掛金控除の対象となる。毎月最大7万円の掛金を積み立てることができる。

一方、国民年金基金や確定拠出年金は両方合計、もしくは片方のみの掛金を払い、将来の老後資金形成を目指すものだ。国民年金基金は社会保険料控除、確定拠出年金は小規模企業共済等掛金控除の対象となる。仮に、小規模企業共済と国民年金基金に両方加入した場合には、年間で最大165万6,000円が掛金の合計となり、この金額は所得から控除される。

このほか、住宅をローンで購入した場合に利用できる住宅ローン控除や、ふるさと納税を利用して特産品を受け取りながら税金の還付もしくは控除を受ければ、さらに恩恵を受けることができるだろう。

2016年から使えるようになった節税方法と使えなくなる節税方法

2016年度の税制改正により、2016年から利用可能となった節税方法についても紹介しておこう。2016年4月から2019年3月31日までにローンにより3世代住宅の増改築や改修を行った場合には、税額控除が適用できる。また、親などから空き家(1981年5月31日以前に建てられていること等が条件)を相続し売却した場合には、譲渡所得から最大3,000万円を控除できる仕組みも設けられた。

こうした仕組みも活用し、節税を図ってみよう。なお、上場株式等の譲渡損失と配当等の損益通算について、2016年から上場株式や公社債の間で利益と損失を差し引くことで、損益通算できる仕組みが設けられている。これも節税に使えるが、その一方で、上場株式と未上場株式の間における損益通算はできなくなっている。運用を行う際には、税の改正点には注意しておこう。

しっかり対策を行えばさまざまな節税が可能となる。また、今は節税対策となっても、将来の税制改正により利用できなくなる可能性もあるので、税制改正に関する情報は常に意識することをお勧めする。 (提供: みんなの投資online

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