経営陣の顔ぶれには政府の大物も
孫氏ですら魅了したジャック・マー氏ですが、IPOの申請書によって公開された情報によると、経営陣には多彩な顔ぶれが並んでいます。同社は2010年からパートナーシップ精度を導入しており、創業メンバー他27名によって構成されています。これは、株主の声に左右されることなく意思決定を行うための仕組みで、パートナーたちが取締役の過半数を指名する独占権を持っています。
その公開されたリストには、非常勤の取締役に中華人民共和国香港特別行政区の初代行政長官を務めた董建華氏の名前が記載されています。経営陣の一角に政府の大物が名を連ねているということは、中国の事業者にとって非常に重要なことです。それには2つの理由があります。1つめは、中国の企業は政府による規制などを受け易いため、あらかじめ経営陣に政府側の要人を引き込んだ方が後々の事業がやり安くなります。そして、2つめは海外企業からの信用を得易いことです。中国と取引をしたことのある企業の多くが経験することですが、多くの企業は簡単に契約不履行を行います。例え書面で契約が交わされていたとしても、時として約束を守ってくれない場合が多いのです。しかし、経営層の一角に政府の要人が名を連ねていれば、国内においてのビジネスがスムーズに運ばれることが予想されるのです。ちなみに、非常勤の取締約には、米Yahoo!の共同創業者であるジェリー・ヤン氏も名を連ねており、いかにアリババグループの経営層が厚いものかが分かります。
アリババ上場後の懸念!?
IPO後は、資金力を武器にさらに事業を大きく拡大していくものと見られますが、懸念がないわけではありません。例えば、同社の主力事業であるモール型ビジネスも、収益を上げられる店舗は上位の数パーセントと見られており、モールへの広告費の高さを理由に出店している店舗が離反し始めているという情報もあります。(同じビジネスモデルである楽天も同様の現象を抱えていますが。)まだまだ売上げ、利益ともの上昇気流ではあるものの、最近日本のトレンドである出店料0円型モール等の新興勢力がいつ頭角を表すとも分かりません。同社が今後ECビジネスへどう取り組んでいくかが注目されます。
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