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(写真=beeboys/Shutterstock.com)

相続税法の改正により、2015年1月から相続税が全体的に増税となりました。これまで、相続税の最高税率は3億円超で50%でしたが、それが6億円超で最高税率55%に引き上げられました。基礎控除額も、2014年までは「5,000万円+1,000万円×法定相続人の数」だったのが、40%も縮減されて「3,000万円+600万円×法定相続人の数」となっています。

そこで改めて注目されているのが、自分が生きているうちに子どもや孫に財産を少しずつ分け与えていき、相続税の節税を図る「生前贈与」です。

ひとことで「生前贈与」といっても……

もっとも、単純に「生前に贈与しておけば、相続税がかからなくていい」となるわけではありません。相続時に相続税がかかるように、贈与には贈与税があり、その贈与税の仕組みをよく知らなければ、有効な節税対策にはなりません。では、どんな点に気を付ければよいのでしょうか。

まず、贈与税の計算の基準となるのは、「その年の1月1日から12月31日までの1年間に贈与によりもらった財産」の合計額です。贈与税は、そこから基礎控除額110万円を差し引いた残りの額に対して課税されます。言い換えれば、1年間あたり110万円以下であれば、贈与税はかからないことになります。この仕組みを使い、1年間あたり110万円を超えないように年を分けて贈与するのが「暦年贈与」という考え方です。

ちなみに、この110万円という基礎控除額は、あくまでも「その財産を受け取る側」の合計額です。例えば1人の人が、2人の孫に100万円ずつ贈与しても贈与税はかかりません。しかし、2人の人が、1人に100万円ずつ贈与した場合は、合計額が110万円を超えてしまいますから、課税されることになります。

「毎年必ず贈与」だと、110万円以下でも課税されることが

もっとも、この「暦年贈与」にも注意すべき点があります。たとえ年間110万円に達していなくても、毎年必ず決まった額を同じ時期に渡していると、課税されてしまう場合があるのです。

これに関しては、国税庁HPのQ&Aのコーナー、「タックスアンサー」でも触れられています。「親から毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受ける場合には、各年の受贈額が110万円の基礎控除額以下ですので、贈与税がかからないことになりますか」という問いに対し、次のように答えています。

「定期金給付契約に基づくものではなく、毎年贈与契約を結び、それに基づき毎年贈与が行われ、各年の受贈額が110万円以下の基礎控除額以下である場合には、贈与税がかかりませんので申告は必要ありません。ただし、毎年100万円ずつ10年間にわたって贈与を受けることが、贈与者との間で契約(約束)されている場合には、契約をした年に、定期金給付契約に基づく定期金に関する権利(10年間にわたり100万円ずつの給付を受ける契約に係る権利)の贈与を受けたものとして贈与税がかかります。なお、その贈与者からの贈与について相続時精算課税を選択している場合には、贈与税がかかるか否かにかかわらず申告が必要です。」

この「定期金給付契約」というのがポイントです。要するに、偶然110万円未満の金額を贈与されたのではなく、もともとそれ以上の金額を単に分割して渡す約束だったと判断された場合、その合計額で課税されてしまうというわけです。これを「連年贈与」といいます。

贈る金額、時期を不定期にすると、連年贈与ではないとされることが多いので、気を付けるとよいでしょう。(提供: IFAオンライン

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