本記事は、新井 亨、鄭 剣豪氏の著書『シン・華僑の教え』(フォレスト出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
負けない戦い方
華僑が海外ビジネスで成功する確率が90%以上 ―― 。なぜこのような結果を出せるのかについて話していきたいと思います。
利益(儲け) = 売上(財布に入るお金) − 費用(財布から出ていくお金)
まずここでは「費用」について解説をしていきます。費用が売上より大きいと、利益は出ず、赤字になります。異国でのビジネスをする華僑にとって、利益を出すしか生き残る方法はありません。
商売を野球やサッカーにたとえるなら、売上が攻撃で、費用が防御です。
負けないためには、失点をしない鉄壁の防御を整えることが重要です。
野球でもサッカーでも、失点が0なら負けることはありません。そのため、売上だけでなく、しっかりと防御である費用の本質を理解する必要があります。
間違いだらけの「コストカット」の正しい考え方
ここで、あなたに質問です。
費用を下げるためには、何をすればいいですか?
費用を下げることを「コストカット」と言いますが、ビジネスでコストカットをどのように行なうかを、あなたは理解しているでしょうか?
実は99%の日本人がコストカットの正しい考え方を理解していません。
日本の多くの人は、コストカットというと、「取引先に無理な値下げ交渉を迫る」とか、「使っている物を安い物に切り替える」といったことを考えがちですが、これは大きな間違いです。
そもそも「コスト」とは、「作業にかかった費用」のことを言います。人が動くからコスト(作業コスト)が発生するのです。
つまり、人が動くことでコストが発生するので、正しいコストカットとは、「利益にならない作業を減らす」、または「作業自体をやめること」なのです。
利益体質の集団に変える方法
コストカットは、節約とは全く違います。
利益体質にするには、スタッフが人件費(人が動くと発生するコスト)以上に売上をつくり、全員がしっかり利益が出る状態にしてあればいいだけです。
言うのは簡単だけど、では何をすればいいのか?
まずは、1日にスタッフそれぞれが何をしているのかを、しっかり抜き出すところからスタートする必要があります。
1日の作業は「どんな流れ」で、「それにどれだけ時間をかけているか」を把握し、「作業時間の多いもの」から並べ、「時間をかけているのに利益につながっていない作業」があれば、それを減らすか、完全にカットします。
わかりやすく言うなら、「利益にならない作業」を減らすか、やめるのです。
実際に、華僑の考え方を実践した事例をご紹介します。
【コストカット事例】美容室経営
美容室A店では、営業終了後のタオル洗濯を2回して店内に干す作業を、スタッフ5名で平均2.5時間しているところに、無駄があることがわかりました。実践したのは、「利益にならない作業をやめる」ことです。業務終了後の洗濯は1円も利益にならないのでやめると決断。そしてお店の営業時間を1.5時間延ばして、洗濯は業者に1日5,000円でお願いすることにしました。
これによりスタッフは今までより1時間早く退社ができるようになり、洗濯する作業から解放され、タオルが半乾きだという悩みもなりました。さらに、雑用から解放されて退社時間が早くなり、離職率も大幅に下がりました。
営業時間が1.5時間延びたことにより、1日当たり4万円売上が伸びただけでなく、お客様の利便性が増したのです。
整理すると、スタッフは雑用から解放され、離職率は大幅に下がり、お店の売上は120万円増加。洗濯に関しては外注をしたため、費用は15万円増加したものの、結果的に105万円の増収で、お客様の満足度も増しました。
スタッフ各人が、売上や利益につながる作業をする企業体質をつくれれば、自然と利益が生まれ、どの行動がどれだけの粗利をもたらすのかを正確に把握することで、透明化した経営ができるようになります。
中国・北京へ留学し、現地で富裕層向け美容室事業、貿易事業、不動産事業など複数事業を成功へ導く。2024年には東京証券取引所へ新規上場を果たす。サブスク事業やSaas事業のクライアントのマネタイズ実績は累計1000億円以上。本書共著者の鄭剣豪氏と日本AIロボット株式会社を創業し、日本一のサブスクを決めるサブスク大賞2024にて「AIロボットのサブスク」が特別賞を受賞。医療法人理事に就任し、「新宿クリニック」「新宿消化器内科クリニック」「表参道総合クリニック」「クロト薬局」の経営もしている。国内外の華僑ビジネスにも深く精通しており、「華僑経営オンラインスクール」の塾長もしている。
アジア貿易、投資ファンド運営、企業M&A、工業団地開発、文化交流事業、不動産開発管理など多岐に事業を行ない、寧波、香港、北京、東京、大阪、北九州など各地に法人を運営。2014年に神戸にあるP&Gジャパンの30階建ての本社ビルを買収したことは日本でも大きな話題となった。経営者として活躍するほか、20年間以上日中友好交流活動に力を入れ、両国のマスコミを通じ、日中友好論者として積極的に活動を展開している。
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