光化門広場で罷免の決定に湧く(反朴の)市民たち (写真=筆者)
光化門広場で罷免の決定に湧く(反朴の)市民たち (写真=筆者)

2017年3月10日午前、韓国の憲法裁判所は全員一致で朴槿恵大統領の罷免を認める決定を言い渡した。韓国憲政史上初めて弾劾により失職した大統領となった。

テレビ局のネットサイトが接続できなくなったり、光化門の方からは怒号が聞こえてきたりと、韓国ソウルが大きく揺れた1日となったようだ。韓国在住の筆者が一夜あけたソウルの様子を見てきた。

昼休みに街が閑散とした理由

弾劾審判の決定がなされる午前11時過ぎ、テレビ局のインターネットサイトはアクセスが集中したのか、接続できなくなった。新聞の速報は決定が宣告された午前11時21分。ソウルの会社員は多くが長い昼休みを取り、食事を早々に済ませたあとカフェでコーヒーを飲みながら談笑するのが日常光景だが、この日ばかりは違った。昼休みのオフィス街の閑散とし、早々に事務所に戻ってニュースに釘づけになったのだろう。

毎週土曜日に「ろうそく集会」が開かれる光化門の方からは怒号が聞こえてきたが、午後のオフィス街は人が少ないことを除くと冷静で、退勤時は光化門広場方面に向かう地下鉄が多少混雑した程度。足早に家に帰る人が多かったと思われる。

歓迎する反朴派と殺気立つ親朴派

韓国のデモは、会場となる地域を管轄する警察への事前申請が義務付けられており、警察は毎夕、翌日のデモの場所と時間を公表する。公表する内容は時間と場所と予定人数で、主催者や目的は発表されないが、大統領の弾劾に関するデモは予想がつく。

ソウル市庁舎横で親朴派の集会を見守る機動隊(写真=筆者)
ソウル市庁舎横で親朴派の集会を見守る機動隊(写真=筆者)

憲法裁判所の決定が下された翌日11日は光化門広場で13時から、ソウル市庁前広場では14時からデモの予定があったが、日本大使館よりデモに近づかないよう警告が発せられていたこともあり、離れた駅で地下鉄を降りて向かった。

デモ開始予定時刻の30分前、周辺道路は100台をはるかに超える警察車両が並び、機動隊員が準備を進めていたほかは、いつもの休日とかわらない。朴槿恵大統領の退陣を求める「ろうそく集会」が行われた光化門広場に集う人々には緊張感は感じられない。

光化門広場のシンボルでもある世宗大王像には花束が並び、合奏の準備をする吹奏楽団や着ぐるみを並べるグループ、記念写真を撮るグループなど祭りに近いような雰囲気だ。13時を過ぎた頃、学生の団体が隊列を作って演奏を披露し、参加者たちはビデオを向けるなど、和気藹々とした雰囲気だ。

ソウル市庁前広場で憲法裁判所の決定に納得できない親朴派 (写真=筆者)
ソウル市庁前広場で憲法裁判所の決定に納得できない親朴派 (写真=筆者)

光化門広場から南に300mほどで道路は封鎖され、機動隊がバリケードを作っている。親朴派のデモ会場である。韓国の国旗である太極旗を掲げた人々が集っている。人数はこちらの方が多く、年齢層も高い。カメラを向けると主催スタッフと思われる人に囲まれ、外国人とわかった時点で解放された。若い世代は多くが朴大統領の退陣を祝い、年配者は憂う人が多い傾向が見てとれる。

60日以内に次の大統領選が行われる。有力なのは5月9日

憲法裁判所が罷免を認める決定を行ったことで、大統領は即日、罷免となる。大統領は5年の任期を終えて退任すると、月額約1200万ウォン(約120万円)の年金と、秘書官3人、運転手1人の賃金、国公立病院の無料診療、交通・通信、事務室の費用、死去後は国立顕忠院への埋葬や記念事業などといった支援を受けるが、弾劾によって罷免されると、すべてを失い、最長10年間の警護のみとなる。現職大統領に保証されている刑事上の不訴追特権も消え、検察の捜査を避けることはできない。

大統領の罷免により、60日以内に次の大統領選が行われる。5月はじめの飛び石連休明けの9日が有力だ。(佐々木和義、韓国在住CFP)

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