株価は、毎日上がったり下がったりします。投資家は「もう少し上がるかな?」「これ以上は下がらないだろう」なんて言いながら、売買のタイミングを見計らいます。

でも株価は、いたずらに上がったり下がったりするわけではありません。「何か」を機に、下降傾向あるいは上昇傾向に転じます。その「何か」は、時代背景や銘柄の特徴によってまちまちですが、必ずきっかけがあります。

実は、株価には「このラインを越えて下がると、もう上がってくることができない」、という恐ろしいラインがあります。業界では「サポート・ライン(下値抵抗線)」と呼ばれています。これを下回ると、その株は残念ながら下がる一方です。

もちろん、上昇傾向に入る場合も、何か「きっかけ」があります。そして「このラインを越えると、あとは昇り調子一本」というラインを「レジスタント・ライン(上値抵抗線)」と言い、これを越えると株価は面白いように上がります。

(本記事は、菅下清廣氏の著書『今こそ「お金の教養」を身につけなさい 稼ぎ、貯め、殖やす人の”37のルール”』(PHPビジネス新書)の中から一部を抜粋・編集しています)

お金持ち,富裕層
(写真=Thinkstock/Getty Images)

人生を上昇させるきっかけ、下降させるきっかけ

この動き、私は人間の人生にも似ていると思います。事実、私も新たな挑戦をしたいと思うきっかけがあって大和証券を辞め、その後もある先輩からメリルリンチを紹介されるというきっかけがあって、ウォール街に身を置くことになりました。そんな多くの「きっかけ」で紆余曲折して、その度に人生を上昇気流に乗せることができたと感じます。

逆に、一流企業を無目的で退職すれば、下降傾向に入ってしまう人もいるでしょう。人生を上昇させるきっかけ、下降させるきっかけ。どんなきっかけかは人それぞれですが、貯金がそのきっかけになることもあると、私は思います。

あなたと同じ時期に入社した同僚を見渡してみてください。スタートラインは同じだったのに、もらった給料を「ストレス発散」と言いながらお酒やパチンコに使った人は、人生の「下降傾向」を自らつくっていませんか?

でも、そんなふうにお金を使っても、ストレスは解決できません。ですから、この人はますますお金を使います。結果として、消費者ローンに手を出します。

こうなったら、人生は下降する一方です。もしお酒やパチンコに使っていたお金を自分に投資していたなら、将来回収できる目途もたちますが、これではあっさりとサポート・ラインを超えてしまうでしょう。サポート・ラインを越えてしまったら、人生、急降下。

一方、自分のお金の使い方にきちんとコンセプトをもって、こつこつと貯金をしていた人はどうでしょうか? いざとなったら、お金を使って能力アップもできます。

自分への投資として、飛行機はファーストクラスに乗り、ディナーはペニンシュラ・ホテルで食べる。少なくとも、居酒屋にしか出入りしない人より、高い意識を持てるでしょう。すると良質のスパイラルに乗りながら、いつかレジスタント・ラインを越えます。

人生にサポート・ラインもレジスタント・ラインもあるか、と思われますか? でも、人が30代にもなると、その人が将来出世する人物かどうか、幸せな人生を歩みそうかどうか、あなたもなんとなくわかりませんか?

上昇気流に乗っているか、乱気流に巻き込まれているか、なんとなく「匂う」はずです。その匂いの素(もと)が、周囲の人脈だったり、出入りする場所だったり、その人の精神状態だったりするわけです。そして、その匂いの素(もと)をつくりあげているのが、私は貯金だと思うのです。

上昇気流は貯金から「最低1年、理想3年、マッチベターが5年」

貯金は、「何かあったときの備え」です。上司と気が合わなくてクビになったとしても、最低1年、理想は3年くらい、路頭に迷わないだけの蓄えは欲しいところ。5年分あればマッチベターでしょう。

そして、何度も申し上げますが、「恒産なくして恒心なし」。貯金があれば、最低限の精神の安定がもたらされるので、サポート・ラインを越えるようなことをしなくて済みます。その貯金をよき場所に投じることで、人生を上昇気流に乗せることもできます。

一定の恒産は、人生を「守る」だけでなく、「攻め」に転じさせることもできるのです。

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お金持ちは「貯めっぱなし」せず「投資」する

お金持ちは、「貯めっぱなし」にしない。
お金は見て楽しむものではない。
貯めて安心するためのものでもない。

ジョージ・ソロスという投資家がいます。最大のヘッジファンド、クオンタム・ファンドを率いた人で、史上最強の相場師と呼ばれた大物です。ハンガリーに生まれたユダヤ移民で、ゼロから約2兆円とも言われる資産を築きました。

しかし、このとんでもない成功者である彼がお金を増やした方法は、たった3つ。株や不動産などへの投資、事業への投資(もしくは起業)、有望な人への投資。この3つです。

元になるお金はコツコツ貯めたとしても、お金持ちは「貯めっぱなし」にはしません。貯金の一部を元手に、必ず何かに投資します。

近ごろ、先行きの見えない不安から、お金を使わない人が増えています。お金がなくなるのが心配なんだそうです。なかには、銀行で記帳して、徐々に増えていくお金を見ると安心できる、なんて人もいます。

趣味だというのなら仕方がないですが、それでは、「小銭持ち」にはなれても「お金持ち」にはなれません。お金は、見て楽しむものではないのです。何度も申し上げますが、年収1年分、できれば3年分の恒産は絶対に必要です。恒産ができるまでは、石にかじりついてもお金を貯めることです。

その間だけは、貯金通帳を見て少し微笑んでみてもいいですが、恒産ができたら、是非「攻め」に転じていただきたい。お金をいくら眺めても、数えて微笑んでも、その恒産は活きないのですから。

1度、お金を貯め始めると「習慣化」する

攻めの方法は、やはり投資です。投資の世界には「三分法」という考えがあります。給料や資産の3分の1はキャッシュ、3分の1は金融商品、3分の1は不動産で保有するという考えです。もちろん、最初からこれをすすめるわけではありませんが、何かしらの「投資」はオススメします。

投資と言うと、多くの方は株式投資を思い浮かべますが、それに限りません。

まず自分への投資。資格をとって、より高給な仕事についてもいいでしょう。肉体労働をしている方は、職種を頭脳労働に転換すべく、勉強しましょう。やりたいことがある人は、起業もいいでしょう。週末起業なんて言葉もある通り、最近は正社員として企業に勤めながら、インターネットを使ったビジネスを興す人もいます。

もちろん、株式や投資信託への投資をしてもOK。最初は、安全で換金性に富んだものに投資したらよいでしょう。国債や銀行預金より利率がよく、失敗リスクが少ないもの。次の段階で、リートのようなものも考えます。

恒産ができたら、それを眺めるのではなく、アクションに移すことが大切です。

そしてアクションは、続けることに意味があります。継続こそ命です。スポーツ選手のなかには、いつも安定した結果を出す選手がいますね。イチロー選手も例年のように200本打ちますし、王選手にしても、張本選手にしても、記録に残る結果は「1年だけ」のものではありません。

あなたの周りに、毎月のようにトップセールスの人がいませんか?
1回だけでも大変なトップセールスを、なぜ継続できるのでしょう。理由は簡単。トップセールスになる方法を、「体得した」からです。1度トップセールスになると、それが習慣化するのです。

投資の世界でも、同じことが言えます。預金ゼロの人は、増やすための打法を知りません。ですから、やみくもにバットを振り回して、空振り三振、バッターアウト。お金の増やし方も、自分で行動して体得しましょう。王選手も長嶋選手も、毎日夜中まで素振りをしました。やり続けることが大切です。

私の本を100回読んでいただく、それはとても嬉しいことですが、リテラシーを蓄積したら、あとは実践あるのみ、です。

菅下 清廣
スガシタパートナーズ株式会社代表取締役。国際金融コンサルタント、投資家。立命館アジア太平洋大学学長特別顧問。

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