CMなどで最近よく耳にするNISA(ニーサ)ですが、制度の概要を知っている人は意外と少ないようです。NISAの制度は「なんだか難しそう」「手間がかかりそう」と利用を諦めてしまうにはもったいないものであるとも考えられます。その概要から節税効果までを詳しく解説します。

NISAとは

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(写真=Billion Photos/Shutterstock.com)

株式や投資信託などの金融商品への投資をした場合、譲渡益や配当金に対して税金が課せられるのが一般的です。しかし、NISA口座で少額投資非課税制度を利用すると、年間120万円までの金融商品(株や投資信託など)が購入でき、配当金や売却益について最長5年間非課税になるのです。ちなみに、NISAは「Nippon Individual Savings Account」の略で、イギリスの個人貯蓄口座(ISA)をモデルにして作られた制度です。

NISAは、2014年1月にスタートした制度です。利用するには、証券会社や銀行などの金融機関でNISA口座を開設する必要があります。日本在住の20歳以上の方であれば、NISA口座を開設することができますが、NISA口座は1人1口座しか開設できないので注意が必要です。また、20歳未満の方には「ジュニアNISA」という制度があります。

NISA対象の金融商品

NISAで購入対象となる金融商品は、上場株式、ETF、REITなどです。それぞれの金融商品について、概要をご説明します。

上場株式は、東京証券取引所などに上場している株式のことです。一般的に株の取引と言えばこれを指します。

ETFは上場株式同様、東京証券取引所などに上場している投資信託のことです。その性質から上場投資信託と呼ばれることもあります。ETFは一般的に、日経平均やTOPIXなどの指数に連動して運用されるという特徴があります。

REITは「不動産投資信託」と呼ばれるものです。多数の投資家から資金を集め、その資金をオフィスビルやマンションなど、不動産の運用にあてます。一般的なREITは上場しているため、証券会社などを利用することで投資できます。

NISAの対象となる金融商品は種類が多いため紹介しきれませんが、このほかに株式投資信託や外国株、海外REITなどがあります。気になる場合はFPなどに相談してみるのもよいでしょう。

節税に効果的な理由

株式や投資信託などを売却して得られる譲渡益と、株式や投資信託を保有している間に受け取る配当金とに分けて、NISAがなぜ節税に効果的なのかを説明しましょう。

株式や投資信託が購入時よりも値上がりした状態で売却すると、譲渡益が生じます。通常、その譲渡益には約20%の税金が課せられます。株価1,200円の株式を1,000株購入し、株価が1,500円に値上がりしたときに売却するケースを考えてみましょう。その場合30万円の譲渡益が得られますが(便宜上、取引手数料は考慮しません)、NISAの制度を利用しない場合は、その30万円に対して約20%、つまり約6万円の税金が課せられます。ところが、NISA口座には年間120万円までの非課税投資枠があるため、株価1,200円で購入した1,000株(120万円)に対する譲渡益は購入から5年を超えない限り非課税扱いとなります。よって、約6万円の節税効果が見込めるのです。

株式や投資信託を購入すると、定期的に配当金や分配金を受け取ることができます。通常であれば、配当金や分配金にも約20%の税金が課せられますが、NISA口座の120万円までの非課税投資枠を利用して購入した金融商品からの配当金や分配金は、非課税扱いとなります。120万円の金融商品から毎年3%の配当金を5年間受け取った場合、約3万6,000円の節税効果が期待できるでしょう。

ただし、NISA口座で得た配当金を非課税にするには、配当金の受取り方法を「株式数比例配分方式」にする必要がありますので、注意が必要です。

資産形成にNISAを活用しよう

NISAの非課税投資枠は、2016年に100万円から120万円に拡大されました。しかも、非課税投資枠は毎年付与されるため、最大で5年間、合計600万円の非課税投資枠を確保することができます。つまり、NISAの制度を利用すれば、高い節税効果が見込めるのです。

期待通りの譲渡益や運用益が得られない場合もありますが、使い方次第では価値のある制度といえます。NISAの制度を活用した資産形成を検討してみてはいかがでしょうか。