近年はIPOなども盛んに行われており、新興企業が続々と出てきているイメージがあるかもしれない。しかしながら、老舗と呼ばれるまで残る企業は、ほんの一握りである。

では、どうして老舗企業は老舗と呼ばれるまでに存続しているのか。とりわけ老舗企業は、長らく成長を続けている。実は、その成長を支えるのは本業だけではない。近年不動産事業も展開しつつ、事業拡大を進める老舗企業は少なくないのである。

長寿企業は資産運用に消極的?

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(写真=Fotoluminate LLC/Shutterstock.com)

老舗と呼ばれる長寿企業は、資産運用に消極的だと言われることがある。地方優良企業には、上場していない企業も多く、流動性を嫌うところもあるようだ。また、都心を中心としたストロー現象も進んでおり、地方には優良物件が少ないことも不動産経営を敬遠する要因といえるだろう。

何より現実問題として、素人による資産運用はリスクを伴う。これは個人であっても法人であってもしかりである。老舗と呼ばれる企業の多くは、自分たちの得意分野を伸ばしてきたからこそ生き残ってきた企業ばかりだ。必然的にリスクは最小限に抑えようとする企業心理が働くのである。

しかし、最近は本業以外に事業を持たないことこそがリスクであると考える企業も少なくない。先行き不透明な時代、個人も法人も複業化することが生き残る戦略の一つと考えているのである。

100年企業になるためのこれからの投資とは

今後100年続く企業になるためには、事業の多角化は避けて通れないと言っていいだろう。2016年に上場したJR九州も、「ななつ星」という高級寝台列車で収益を上げている印象が強いが、事業で高収益を出しているのは不動産事業である。

日本郵便も福岡や名古屋にJPタワーをオープンさせており、建物および土地活用は企業において事業の中核を担いつつある。

本業以外に不動産収益を確保する流れは今後も加速すると考えられているが、100年企業に重要なのは、あくまでも不動産事業はリスクヘッジの一環であることだ。すなわち、本業の収益を上げるために、安定的な資産形成として選択されるものである。したがって、不動産はキャピタルゲインを得るものではなくて、安定的なキャッシュをもたらす投資として選ばれているのだ。

100年続く企業はリスクを最小限に抑えることと、インカムゲインを重視した、経営の一環として不動産事業に取り組んでいる。

不動産の中でも貸事務所経営が優れている理由

そこで老舗企業は、貸事務所経営をするところが多い。これは、マンション一棟投資とは異なり、区分所有のワンルームから始められるためだ。一棟からだとリスク分散ができず、空室ができると一気に収益を失う危険性がある。

その点貸事務所経営なら、ワンルームから始められるため低リスクであるといえる。区分所有であれば、もし売却するとしても売りに出しやすい。何より、経営が軌道にのれば、複数の事務所を持つこともできる。事業を縮小する場合も拡大する場合もどちらも身動きがとりやすいのが大きなメリットだ。

また、企業は必ず事務所経営を経験している。立地など事務所に最適な物件を見極める目を持つ社員もいるだろう。法人の不動産事業を代行してくれる専門業者もあり、すでにノウハウが確立しているため、初期費用を抑えられるのも魅力だ。何より貸事務所経営なら、地方企業でも都心の物件を持つことができる。高立地の物件を持つことができれば、安定的な不動産経営を行うことも可能である。

投資で企業を成長させるために

今後、不動産事業を含む多角的経営を行う企業は増えていくだろう。老舗企業も本業以外に不動産事業を組み込んでいく可能性は高い。

ただし、投資で企業を成長させるためには、本業の邪魔をしない程度に不動産事業を行うことだ。不動産事業はあくまでも安定的収益を得るための手段というスタンスで投資できるかが、企業成長のカギともいえるだろう。(提供: 百計オンライン

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