ホンダジェットの技術

ホンダジェットの試験飛行では、最高速度348ノット(644km/h)、最高高度1万5000フィート(約4700m)を記録しました。HACIの藤野社長は、ホンダジェットは物作りにかける情熱の結晶、と語り、最先端の小型ビジネスジェット機をお届けできる、と自信を見せています。既に触れたエンジンを主翼の上に配置するという独自の設計は、空気抵抗を軽減し、燃費性能を向上させただけではなく、騒音の低減も実現しています。また、ボディにカーボン複合素材を採用することで、軽量化と高剛性化も可能にしました。エンジンはGE・ホンダ・エアロ・エンジン製のHF120型を搭載していますが、このエンジンは米国の航空機製造会社であるスペクトラム・エアロノーティカル社のFreedom S.40という9人乗りジェット機にも搭載されています。このエンジンも、同水準の推力を持つ他社製品に対して、小型軽量で低燃費を実現しています。


創業者本田宗一郎の夢

ホンダジェットには、ホンダの創業者である本田宗一郎氏の「いつかは空へ羽ばたきたい」という夢が引き継がれていると言えます。ホンダのオートバイのエンブレムがウイングマークであるのは、その夢が込められているからだとも言われています。そのため、ホンダの航空機事業への参入宣言はなんと1962年で、1986年には本格的に航空機研究を開始するために和光基礎技術研究センターが開設されています。1989年(平成元年)には米ミシシッピ州立大学ラスペット飛行研究所と提携し、エンジンは他社製ではありましたが、4年後の1993年には小型実験機の初飛行を成功させています。残念ながら、本田宗一郎氏はこれを見る事無く2年前に亡くなっています。その後ホンダはエンジンも自社製としてのホンダジェットを開発し、2003年12月に一般発表されました。2010年12月に量産型認定用機体の初飛行に成功し、2012年には量産ラインでの組み立てが開始されています。そして今回の量産1号機の初飛行に至ったのです。


2015年3月頃から納入

HACIは2015年1月から3月までには、顧客への納入を始めたい考えで、既に量産機10機が最終組み立ての段階にあります。後はホンダジェットにFAA(米国連邦航空局)のパイロットが搭乗して認定飛行試験が行われた上で、TC(型式証明)を取得できれば、顧客への引き渡しが開始できます。HACIはホンダジェットを、かつて米自動車業界で大きなブームをもたらしたホンダの小型車に喩え、ホンダジェットで「航空業界のシビック」を目指すとしています。

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