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2008年のリーマンショックから6年が立ちました。当時は1920年以来の大恐慌が再び来るとの見解もありましたが、各国が協力して行った経済対策も功を奏し回避されました。しかし、その後もギリシャ発端の欧州債務危機などいまだ停滞感は拭えません。そんな中でも堅調に経済指標を上げ続けている地域があります。それが今回とりあげるASEANです。


ASEANと日本

日本は戦後、ASEANに対しODAなどを通じ多大な支援を行ってきました。1977年には当時の福田総理がマニラで「福田ドクトリン」を表明、他国に先駆けASEAN首脳会議も開催。以降、日本とASEANとはかけがえのない深い関係を築くことができました。現在では私達の暮らしに直結する食料品はASEANからの輸入品が大きなシェアを占めています。また、日用品から家電、自動車製品などの多くがASEANで製造されており、日本メーカーの工場としても重要な地域です。日本に来る留学生も増加傾向にあり、人的・文化交流も活発です。投資対象としても注目されるようになり、2012年には東京証券取引所においてASEAN投資祭りが開催され好評を博しました。

ではなぜ投資の対象としてASEANなのでしょうか?


なぜASEANなのか

まずはその人口に裏打ちされた潜在能力です。ASEANの人口はEUよりも多い6億人超です。現在、もしくは近い将来に人口構造が人口ボーナス期となる国が多いことも特筆すべき点です。さらに国連では2030年には人口7億人を超えるとの予測をしています。

人口が多いことが貧困につながりマイナスイメージとなることも一昔前ならありました。しかし、グローバル化した現代では先進国からの技術移転などによる発展期間はどんどん短縮されており、ASEANの場合は人口構造黄金期であることからも、そのスピードはさらに加速するでしょうASEANの対外政策が開放的なことも大きな後押しとなります。

またASEANはリーマンショックの後、世界でもいち早く経済回復してみせました。1990年代のアジア通貨危機以後、ASEAN全体では貿易黒字が続き外貨準備高が増えているため、海外マネーが逃げても持ちこたえることができます。リーマンショック直前からの各国の株価指数騰落率ランキングを見てもフィリピンやタイなどASEAN各国が上位にくい込んでいることからも、その経済力の底堅さが窺えます。さらにはASEANは2015年に「ASEAN経済共同体」の発足を目指し新たなる飛躍への一歩を踏み出しました。


各国の個別事情

東南アジア10か国から成るASEAN。それぞれの国にはどんな特長や銘柄があるのでしょうか。主要4か国を簡単にですが見ていきたいと思います。ASEAN本部があるのはインドネシアです。人口は2億人を超え世界4位の規模で、その多くがイスラム教徒で世界最大のイスラム人口国です。日本に輸入される液化天然ガスの50%はASEANが占めていますが、中でもインドネシアはエネルギー供給国の代表格です。また、エネルギー資源のみならず、米などの食物資源や天然ゴムなどの農産物資源など色々な保有資源があるため、何か1つの要因で相場が乱高下するリスクが回避されやすいと言えます。国内最大の自動車メーカー、アストラインターナショナル(ティッカー:ASII)や国営商業銀行バンクマンディリ(ティッカー:BMRI)などが有望株です。

東南アジアの経済の中心と言えばシンガポールです。人口は500万人を超える程度で大きさも東京23区と同程度。決して恵まれている状況ではありません。しかし、その地の利を生かした物流機能は「アジアのハブ」とも呼ばれ群を抜いています。また法人設立コストが低く、税も優遇されることから海外企業の誘致にも成功。国際金融センター発展指数でも東京に次ぐポイントを得ています。国民一人あたりのGDPは先進国と比較しても遜色ありません。新興国としての今後の成長と先進国としての安定、それぞれのいい部分が見事に合致しています。この国に本部を置くアジア最大規模の不動産会社キャピタランド(ティッカー:CATL)は中国、オーストラリアでのプロジェクトも成功し着実に売上を伸ばす注目株です。

昨今よく耳にするのがチャイナプラスワンです。その核として注目を浴びているのがタイです。現在、日本のメーカーがASEANの中で最も多く進出している国でもあります。大洪水や政治的混迷もありましたが、経済は底堅く成長してきました。2011年にはタイ史上初となる女性首相も誕生、2014年以降も4%を超える実質GDP成長率が見込まれています。有名な銘柄はタイ最大のモバイル通信企業、アドバンストインフォサービス(ティッカー:ADVANC)で、昨年末に契約者数4000万人を突破しネット手数料が増加すると期待されています。

最後に紹介するのはマレーシアです。もともと農作物の生産が盛んでしたが、海外企業の工場誘致に成功、インフラの充実にも取組み現在はIT大国へと舵を切っています。1990年からの実質GDP成長率を見てもアジア通貨危機とリーマンショック以外はすべてプラス成長、かつ毎年5~10%の高い水準を維持しています。さらなる施策として「新経済モデル」「第10次マレーシア計画」が発表ました。2020年まで年6%の経済成長を維持し先進国を目指すことが謳われています。マラヤンバンキング(ティッカー:MBBM)はこの国において時価総額最大の総合金融会社で、マレーシア、インドネシア、シンガポールを中心に世界20か国で業務を行っています。