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量産1号機が初飛行

6月27日に、本田技研工業の米国子会社ホンダ・エアクラフト・カンパニー(HACI)は、小型ジェット機の「ホンダジェット(HondaJet)」の量産1号機が、米国での初飛行に成功したと発表しました。今後は2015年の納入を目指して、米国当局から運航に必要な「型式証明」の取得手続きを進めます。この初飛行でホンダジェットは、米ノースカロライナ州グリーンズボロ市のピードモントトライアッド国際空港を離陸した後、約84分の飛行で各システムが正常に作動することを確認する試験を行った後、1000人以上の同社従業員が見守る中、問題が発見されることなく着陸しました。この日試験飛行したホンダジェットは、パールグリーンにメタリックゴールドのストライプの塗装が施されたタイプでした。


既に100機以上を受注

ホンダジェットの製造はHACIが手がけ、エンジンの開発と生産は米ゼネラル・エレクトリック(GE)と合弁で行っています。ホンダジェットはパイロットを含めた7人乗りで、エンジンを翼の上に配置するなど独自の設計によって室内空間を広くし、燃費効率向上を可能にしていることが注目されています。しかも他社の競合機種よりも広い客室空間と燃費性能を実現したにも関わらず、価格は450万ドル(約4億5000万円)と他社と同レベルに抑えられているため人気が高く、既に米国や欧州の富裕層や企業から100機以上が注文されています。ホンダジェットの売れ行きには関係者も驚いており、2006年10月に開催された全米ビジネス航空機協会ショーでは、初日からの3日間で既に100機の受注を超える事態になり、まるでパンケーキのように売れていくじゃないか、との声も上がったほどです。

ホンダジェットの量産機には、今回試験飛行したカラーの他、銀、赤、黄、青のバリエーションが用意されています。HACIの藤野道格(みちまさ)社長は、こんな美しい飛行機は見たことがない、との賛辞が最も嬉しかったと言います。このホンダジェット独特のデザインは、2012年9月18に米国航空宇宙学会から「エアクラフトデザインアワード2012」を受賞されています。この独特なエンジン位置を見つけたことで、驚異的な空力性能が発揮され、同クラスの競合機に比較して、燃費性能は約15%向上し、速度は約10%上がり、客室スペースも約15~20%広く確保できるようになったと言います。

しかし価格は競合機と同等であるため、富裕層にビジネスジェット機を販売している業者の一人は、業界の常識を変えた、と驚嘆しています。しかもこの高性能をもたらした独特なデザインについては、既に特許を取得したため、競合他社は取り入れることはできません。つまり、10年は競争優位を保てるのだ、と藤野社長は言います。富裕層にビジネスジェット機を販売している業者の一人は、ホンダジェットの参入が、既に競合他社の値下げを余儀なくしていると語っています。