佐川急便グループの不動産マネジメント会社がホテル開発に乗り出した。新大阪駅徒歩4分の好立地に地上24階建て、客室398室のタワーホテルを19年末にオープンする予定だ。デリバリー、ロジスティックの拠点として好立地の事業用不動産を多数保有するSGグループの不動産CRE戦略がいよいよ物流以外の分野へも動き始めた。

SGリアルティが大阪にホテル開業

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(写真=Thampapon/Shutterstock.com)

7月20日、佐川急便を中核にもつ持ち株会社SGホールディングスで不動産事業を手掛けるSGリアルティ社が、リクルート <6098> のビル事業部の流れをもつ不動産マネジメントのザイマックス社と共同で、新大阪のホテル開発に着手することを発表した。

場所は大阪市淀川区宮原3丁目で、新大阪駅北西徒歩4分ほどの好立地。もともとSGグループが保有していた事業用土地2080㎡の再開発で、高さ95m、地上24階、延床面積1万8450㎡、客室398室のタワーホテル「からくさホテルズ新大阪プレミア」を19年末に開業するプロジェクトだ。

オペレーションは、ザイマックスが100%出資する子会社の「からくさホテルズ」が行う。「からくさホテルズ」は現在、札幌、京都、なんば、心斎橋などに5ホテルを運営している

新大阪は関西交通のハブであり、関西国際空港からも1時間程度のアクセスでインバウンド需要にとっても好立地にある。計画では大型バスが乗り入れ可能な車寄せを備えた「からくさホテルズ」の旗艦ホテルとなる見込みだ。インバウンド観光客の、大阪、神戸、京都、奈良など関西観光のゲートウェイとして機能することだろう。

CRE戦略に乗り出すSGグループ

SGリアルティは、これまでは2007年に設立された佐川急便グループの不動産マネジメントを行う会社だ。グループ内のCRE戦略を担っている。

CREとは企業不動産(Corporate Real Estate)の略。CRE戦略は、企業不動産を有効活用する経営戦略のことだ。日本企業のバランスシートの約3分の1は、本社、営業拠点、工場といった不動産が占めている。かつては、CREの有効活用についてはあまり意識されていなかったが、株主に対して企業価値の最大化に努力するスチュワードシップ・コードが重要視されるようになり、CRE戦略は上場企業に欠かせないものなってきた。具体的には、所有不動産を、集約、スクラップ&ビルド、流動化、証券化するなどで有効活用し収益を最大化する。保有不動産をREITに売却するのも戦略の一環だ。

SGリアルティはこれまで物流不動産を投資対象にしてきていた。今回はその枠を超えて、保有土地の有効活用をはかるCRE戦略の一環としてホテル開発に進出する。

SGリアルティは、SGグループの物流施設を主とする約330件の不動産を所有している。グループ内物流の施設だけでなく、外部向けの大型物流施設も有している。今後もこういった開発案件が増えてくる可能性も高いだろう。

物流REIT人気

消費のオンライン化、EC化が進んでいる。アマゾンに見られるように巨大な物流施設の必要性は今後も高まるだろう。個別企業においては、物流のアウトソーシングも加速していくことだろう。物流施設の再開発やスクラップ&ビルドのCRE戦略の必要性はSGグループ以外でもさらに高まることだろう。保有している不動産やビルをREITに売却する動きも本格化することだろう。

現在東証REIT市場には58銘柄が上場している。そのうち物流施設をメインに投資するREITだけでも、日本プロロジスリート <3283> 、GLP <3281> など5銘柄がある。 日系では、三井物産系、三井不動産系の物流REITが上場している。

運用資産最大の日本プロロジスリート <3283> は米プロロジス社が運用を行っており、29年5月期末のポートフォリオは物流施設35件で運用資産は4663億円に達している。7月28日時点での予想分配金利回りは3.8%。物流施設は、通常の住居用や商業用のビルに比べ、減価償却が大きく計上でき修繕費用は小さいため。手元資金が厚くなり利益超過分配を行うことも多い。 佐川急便グループ以外にもCRE戦略にも注目したい。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

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