はじめに
日本全体の産業のなかで、比較的元気のいい観光業界。これも円安と訪日外国人観光客の激増に支えられている。ビジネスチャンスをつかむなら、インバウンドの増加に伴う伸びを予測することが必要だ。その参考になるように、観光客増加に伴う日本の動向をご紹介する。
2020年東京五輪からスポーツツーリズムへの飛躍
2020年東京オリンピック・パラリンピックは、多くの分野にビジネスチャンスをもたらしている。なかでも最大のプラス材料は、観光・ビジネスで訪日する外国人が大幅に増加することだ。
というのも、2012年に開催されたロンドンオリンピックの翌年、2013年にロンドンを訪れた観光客は、2012年度比で130万人増加の1680万人だったということが、公的機関(ONS)によって報告されているからである。
日本の観光庁も2020年までに訪日外国人旅行者を4000万人に増やすという目標を設定している。観光産業は宿泊、土産物、飲食、交通機関、旅行代理店など関わる企業の裾野が広い。オリンピック開催を機に発展を遂げるロンドンに続けるかどうかが注目される。
しかし、4000万人もの外国人旅行者を首都圏だけでまかなうことは難しい。その受け皿として注目されているのが、スポーツツーリズムだ。
新たなビジネスチャンスとして注目されるスポーツツーリズム
「スポーツツーリズム」とは、スポーツと観光旅行(ツーリズム)を融合させた新たな観光スタイルである。スポーツを通じて新しい旅行の魅力を創り出し、新たなビジネス、環境を創出することが目的だ。
政府は2025年までにスポーツ産業の市場規模を15.2兆円に拡大する目標を掲げており、スポーツツーリズムなどに代表される「スポーツと他産業との融合」が4.9兆円と潜在力が高く、最も伸びる分野と見込まれている。そこで、企業・スポーツ団体・観光団体が連携し、スポーツの振興のみならず、訪日外国人の誘致や国際イベントの開催など、官民一体となってさまざまな施策を進めているのだ。