「手土産は接待される側がもらうモノ」、そんなイメージを持っていないだろうか。

筆者は高級ギフトショップを運営している立場上、これまで売上3兆円を超える超大手企業の秘書室や、芸能プロダクション社長、コンサルティング事務所の経営者を始め、数百社の接待手土産に携わってきた。「一流の経営者」には共通して、接待される側にも関わらず、手土産を準備する人が多い。なぜ接待される側にも関わらず、手土産を用意するのだろうか。そんな疑問に答えていきたい。

一流の経営者はギフトの達人

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

テレビや雑誌のインタビューなどで取り上げられるような右肩上がりの成長を続ける会社の一流経営者は、日常的に贈り物を上手に活用してビジネスを円滑にすすめる「ギフトの達人」とも言うべき人たちだ。

取引先と良好な関係を築くための強力なビジネスツールになりうる手土産を単に「形式的に贈るもの」と考えがちだが、接待における手土産は実はとても奥が深い。

相手の記憶に残る手土産を贈ることができれば、「この方はセンスが良い!!」と一目置かれる存在になり、どこでも買えるありきたりの物では受け取る方はガッカリしてしまう。かと言って、高級ブランド全面に押し出した手土産では「次の契約もください」という下心がミエミエと捉えられかねない。

ギフトの達人に学ぶ 成功するための「ビジネス哲学」

接待をされる側が手土産を用意する理由は、彼(彼女)らが持っているビジネス哲学にある。一流経営者は「与える>もらう」人たちであり、言い換えれば「先行投資」が上手な人たちともいえる。

世の中、「相手がくれたら返す」というスタンスの人は多い。ビジネス上でも「まず自分の商品を買ってほしい」という「もらう思考」のビジネスパーソンが目立つだろう。それは安い交流会などの場に行けば一目瞭然で、会場で名刺を配り「誰か買ってほしい。契約が欲しい」と自社商品の売り込みに熱心になっている人がとても多いことに気づくだろう。

そこへいくと一流経営者は違う。筆者も「こんな大物からこんなにしてもらっていいのだろうか?」と思えるくらいの惜しみない支援をしてもらった経験が何度もある。もちろん「相手は誰かれ構わず」というわけではなく、「この人は!」と思える人にはこちらのビジネスがうまくいくように必要なサービスや、商品、人材を惜しみなく提供してくれる。

まず自分が相手に与えることで、大きな信用や高い評判を呼び、後々になって与える以上に返ってくるというわけだ。

相手の心をつかむ手土産のポイント

一流経営者が手土産を贈るのは「あなたを大切に想っています」というメッセージを伝えることに他ならない。決して「手土産を使ってビジネスを有利に進めたいから」という自分本位の理由は先立たない。手土産で相手の心をつかみ、その結果ビジネスを有利に運ぶ。この点にこそ、彼らの先に「与える」ビジネス哲学が活きている。しかし、本来は接待を受ける側なので、接待をする側のメンツを潰さず、相手の心をつかむにはいくつかポイントがある。

手土産の品は決して接待する側の手土産より上であってはならない。そうなるとネットや雑誌で紹介されている老舗ブランドや、高級店の「鉄板手土産」は使えない。かといって安すぎず、手頃な価格の贈り物を選ぶことが必要となる。

渡すタイミングも重要で、接待する側が手土産を渡すよりも「後」でなければ相手のメンツを潰すことになりかねない。そして何より一番重要なのは「贈る相手」だ。一流経営者は接待をする目の前の相手ではなく、その家族に贈り物をするという行動を取る。

筆者がある経営者から実際に聞いた話を紹介しよう。
飲み会の席でそろそろ帰ろうかという時に「今日は来てくれてありがとう。これ奥さんへどうぞ!」とお菓子の贈り物をさっと渡した。値段はものすごく高価というわけではなく、全国区での知名度はないが地元では人気の高い逸品で品質はしっかりしている。また、接待の相手本人ではなく、その妻への贈り物というのがポイントだ。自分の家族を大切にしてくれる人に好意を抱かないわけがない。

帰宅して妻へのプレゼントを渡したところ、「あなたはこんな素敵な心遣いをしてくれる人とお付き合いしているのね!」と家庭内での評価がアップ。このように接待をする本人ではなく、その家族へ手土産を贈ることで、気を使わせずに「あなたは自分にとって大切な人間だ」というメッセージを手土産に乗せて贈ることになる。一流経営者はビジネス取引だけでなく、手土産でも相手の心をグッと掴んで離さないのだ。

黒坂岳央
高級フルーツギフトショップ「水菓子肥後庵」代表
シカゴの大学へ留学し会計学を学ぶ。大学卒業後、ブルームバーグLP、セブン&アイ、コカ・コーラボトラーズジャパン勤務を経て独立。フルーツギフトのビジネスに乗り出し、「高級フルーツギフト水菓子肥後庵」を運営。投資・ギフト・経営者や医師などエグゼクティブの顧客にも利用されている。Yahooニュース、アゴラ、グノシー、FMラジオ、テレビ番組、雑誌などメディア掲載多数。ブログでも情報発信中。

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