株式投資の証券口座には一般口座・特定口座があり、後者は税金を証券会社のほうで徴収するかも選べる。源泉徴収あり特定口座を選ぶと申告不要制度が活用できるが、これを上手に活用することで、税やそれ以外でメリットも生まれることを説明したい。

源泉徴収(所得税・住民税の天引き)されない口座に潜む盲点

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(写真=PIXTA)

一般口座や源泉徴収なしの特定口座を選択する理由として、「本業の勤め先で年末調整を受けているから、株の売買益が20万円以下なら申告しなくてもいい」ということがよく挙げられるが、注意が必要だ。

まず年収2000万円超のサラリーマンは、制度上勤め先で年末調整できないことになっている。確定申告をするのであれば、源泉徴収あり特定口座でない場合、株の売買益にあたる株式等の譲渡所得は20万円以下であろうと申告対象となる。

これが勤め先で年末調整してもらっているサラリーマンなら、税務署で行う所得税の確定申告は不要だが、住んでいる自治体に対して行う住民税の申告は売買益1円であろうと必要である。申告漏れにならないよう注意したい。

なお所得税の確定申告と住民税申告は別物であるが、前者の確定申告をした時点で、住民税の申告もしたことになる。

源泉徴収される特定口座の上手な活用例

源泉徴収あり特定口座を選択すると、売却益に対しても所得税15.315%、住民税5%分の税金が徴収されて口座に入金される。

例えば2017年の確定申告において、A社口座で上場株売買につき100万円の利益があったとすると、すでに所得税15万3150円、住民税5万円が源泉徴収されている。

2017年における他社口座の損失、もしくは2014年~2016年分で申告した繰越損失がなければ、この分は確定申告しても納税・還付とも無い。また年収2,000万円超のサラリーマン等を含め、どのケースでも確定申告・住民税申告の対象としなくても良いので、申告方法に選択肢が生まれる。

確定申告・住民税申告ともに不要であることのメリットを、児童手当の所得制限と給付額を例にとって見ていきたい。夫が大黒柱である専業主婦世帯で3歳未満の子どもが2人いる場合、原則として児童手当が月1万5000円×2=3万円(年間36万円)もらえる。

児童手当の給付には所得制限があり、扶養親族等が3人の場合、児童手当の所得制限上限額は年額736万円である。所得制限の基準となる夫の所得において、上場株の売買益(譲渡所得)が20万円、それ以外の所得が720万円であるとしよう。

株取引の口座が源泉徴収されない口座であれば、20万円の売買益について確定申告は不要になるケースもあるが、住民税申告は必要だ。自治体等の給付金における所得制限は住民税申告ベースで判断される。

住民税申告した場合、基準となる所得は740万円と上限額736万円を超える。この場合制度上、児童手当は月5000円×2=1万円(年間12万円)と年24万円減額される。20万円の売買益より不利益をこうむるのだ。

源泉徴収あり口座であれば、20万円の売買益については住民税申告も不要であり、基準となる所得は720万円と上限額736万円の枠内におさまる。株の売買益はさらに儲かって100万円単位に膨らんだり逆にそれだけの損失を抱えたりと予見が難しいため、所得制限と切り離せるのは助かる。

所得税と住民税で異なる課税方式の申告も活用したい

上で見てきた申告不要制度については、さらに上手に活用していく方法もある。株の売買益20万円が、2つの源泉徴収あり特定口座の合算であった場合を見ていく。

A社口座:50万円利益(所得税7万6575円・住民税2万5000円源泉徴収)
B社口座:30万円損失

このような場合は申告対象とすれば、すでに源泉徴収されている税金のうち、所得税4万5945円(30万円×15.315%)・住民税1万5000円(30万円×5%)は還付されるか、もしくは他の所得から発生した所得税・住民税額から控除される。

ただ上記の児童手当給付のようなケースを想定した場合、申告対象とすることで所得制限限度額を超える危険性もある。これに関しては所得税の確定申告の前に、住民税の申告を先に行うことで回避できる。

住民税申告では申告不要制度を活用し、所得税の確定申告では申告対象とするのだ。住民税1万5000円の還付・引き下げはできなくなるが、所得税4万5945円の還付・引き下げはできる。

従来からできた方法ではあるが国民には周知されず、2017年度税制改正でこのような方式を明確化するとされた。2018年からでもこのような形で申告も考えたい。(石谷彰彦、ファイナンシャルプランナー)

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