ビジネスにおいて、いつも先手となる人と、いつも後手後手に回ってしまう人がいます。その『差』は一体どこにいあるのでしょうか。段取り力で、時間を自分の味方にするために、日々努力できることは少なくありません。さぁ、今日から毎日10分早く帰り、自分のために時間を使ってみましょう。

(本記事は、伊庭 正康氏の著書『 会社では教えてもらえない 残業ゼロの人の段取りのキホン 』すばる舎(2017年7月11日)の中から一部を抜粋・編集しています)

自分の予定に上手に合わせてもらう方法

段取りのキホン,書籍
(画像=Webサイトより)

人の要望に合わせることは決して悪いことではありません。ただ、自分を犠牲にしてまで、相手に合わせすぎる必要はありません。わかりやすいのはアポイントの調整。お互いが忙しい中で調整をするわけですが、ここで、大事なことは、相手にアポイントの選択権を委ねないことです。キーワードは「先手必勝」。ステップを紹介しましょう。

【アポイント調整のステップ】
STEP1:まず、アポイントの合意をとる
STEP2:合意がとれたら、こちらから「3つの希望日時」を提示する

段取りの良い人と悪い人の差を見ると、わかりやすいかもしれません。こちらから候補日を示すことについて、少し強引に思われるかもしれませんが、それは「伝え方の問題」です。以下は、私が実際に送っているメールです。

例)3つの希望日時を伝えるメール文例
お世話になっております。 らしさラボの伊庭でございます。
勝手を申しますが、以下のご都合はいかがでございましょうか?
A:5/17(水) 10:00-12:00
B:5/18(木) 13:00-15:00
C:5/19(金) 10:00-12:00
ご都合が合わないようでしたら、おっしゃってくださいませ。 いつもありがとうございます。 よろしくお願い申し上げます。

いかがですか?「なんだ、この無礼なメールは!」と思われました?メールを始めて約20年。お叱りを受けたことはありませんので、大丈夫でしょう。

さて、ここでの注意は2つだけ。1つは「恐縮」と「感謝」を伝えること。やはり、時間をとっていただくのは、相手にとっても負担なことには間違いありません。この気持ちは絶対に伝えるべき。

もう1つは、滅多にないケースですが、相手がVIP(滅多に会えない方)の時。この場合は、相手から候補日時を待ったほうが良い、ということ。たとえば、こちらが営業担当として、相手が従業員規模1万人の会社の社長だとしましょう。その場合は、意図的に候補日を待つほうがスマートです。ただ、日常の打合せ、商用のケースであれば、先手必勝で問題ありません。柔軟に相手に合わせることは必要ですが、必要以上に犠牲になるのは得策ではありません。お互いが納得できる合意点に導くのも、段取りを考える上では重要です。

段取りのキホン(5)の画像
(画像=本誌より (C) 村山宇希)

頼まれ仕事で段取りがなし崩しに…

私見ですが、自分が考えた「段取り」は、多少崩しても良いと思っています。柔軟に対応すべきだと考えるからです。ただ、「ついつい人の頼みを断れずに、いつも段取りがなし崩しになる……」というのは問題です。

柔軟に対応するというのは、相手への「やさしさ」によるものですが、断れないのは、「やさしさ」ではなく「不安」によるものでしょう。NOと言ったら、もう仕事を回してもらえないかもしれない、評価が下がるかもしれないという不安がそうさせます。

これって、何かに似ていると思いませんか。

そう、「パシリ」です。断ると仲間はずれにされるかもと思い、小走りで先輩のパンを買いに行く、あのパシリです。悲しいのは、パシッたところで、周囲の評価は高まらないということです。むしろ、逆です。NOと言うべき時はNOと言う。それが、自分の評価を高めることにもなるのです。

代替案を出すのがポイント

ただし、うまくやる必要はあります。次のようにしてみてください。

【うまくNOと言う手順】
STEP1:いきなりNOとは言わない
STEP2:今は、受けられない事情があることを説明する(具体的な理由は言わなくても良い)
STEP3:代替策を示す
ちょっと、やってみましょう。19時に友人との約束がある際、上司から「この資料を急ぎでお願いしたい」と言われたシーン。

上司 :「明日までに、このレポートをまとめてくれないかな?」
あなた :「いかがされたのですか? なるほど、このレポートですね。そうか……、う~ん、 すみません。実は、19時からどうしても断れない所用が入っておりまして……。明後日までお時間をいただけると助かるのですが、いかがでしょうか?」
上司 :「そうか、了解。では、他にあたってみるよ」
あなた :「すみません!」

いかがでしょう。

このことで、上司から低い評価を受けると思いますか?まず、受けないでしょう。上司はこう思うだけです。「そりゃそうだよな……、他の人にもお願いして、ダメだったら自分でやろう」と。

1つ、追加。

いくら仕事だからといって、友人との約束をドタキャンするのは、信用をなくす最悪の行為です。絶対にやってはいけません。やる時は、よほどの時だけです。誰かが目の前で倒れたので助けなければならない、そんな緊急事態だけ。仕事ができる人は、些細な約束であっても、必ず守ろうとします。それが信用になり、好循環が回るからです。

まずはもっと周りを頼ろう

なかなか人にお願いできない人は、だいたい、この2つに分かれます。

  • 「自分がやったほうが速い」「説明が面倒だ」というタイプ
  • 「お願いするのは申し訳ない」「遠慮してしまう」というタイプ

でも共通することは、どちらも「心のどこかで人を信頼していない」ということ。先に結論を言います。「怖がらずに、もっと人を信じること」これが、他人にお願いできる人になれるマインドセットです。

まずは、「自分がやったほうが速い」と思っているタイプについて説明します。たしかに、誰かに任せずに自分でやったほうが早く終わるかもしれません。けれど、何度か人に任せることで、「今は未熟でも、その人が将来的に自分と同じくらいにできるようになる」とは、考えていないわけです。

もっと言うと、「自分のやり方以外は間違い」だと考えていることだってあります。「遠慮してしまう」タイプについても考えてみましょう。これも問題。「時間をとらせて悪いな」と思っているわけです。でも本当に、そうなのでしょうか。相手がそのことを知ったら、「もっと気軽に頼ってよ」と思うことではないでしょうか。少なくとも私の周りは、そう思っている人ばかりです。それがチームだからです。

この構造って、「嫁姑問題」と一緒だと思いませんか?だって、任せられないのは、ちょっとした遠慮が問題を引き起こしているのと一緒。なので、失礼を承知で断言します。「任せられない問題」は、「職場の嫁姑問題」と一緒だと。いわば、「任せられない心理」は、職場不全を招く温床だということ。ぜひ、人に任せることにあえて積極的にトライしてみてください。きっと、周囲の人は、それを歓迎してくれるでしょう。

伊庭正康
1991年リクルートグループ入社。営業職としては致命的な人見知りを4万件を超える訪問活動を通して克服。その後は、プレイヤー部門とマネージャー部門の両部門で年間全国トップ表彰4回、累計40回以上の社内表彰を受けた。営業部長、(株)フロムエーキャリアの代表取締役を歴任。2011年、研修会社(株)らしさラボを設立

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