東京株式市場では、日経平均株価が11/7(火)にバブル崩壊以降の高値である22,666円80銭を上回るなど上昇基調が続いています。ただ、11/9(木)には、午前中に一時前日比468円高水準まで上昇し、取引時間中としては25年10ヵ月ぶりに2万3千円台を回復したものの、午後には同390円安水準まで下落、翌日の11/10(金)も売りが大きく先行するなど、高値波乱の兆しも見せています。

順調に上昇してきた株式相場ですが、押し目が形成される可能性もありそうです。そこで今回の「日本株投資戦略」では押し目が買い好機になりそうな好業績・割安銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行ってみました。

押し目が買い好機となりそうな好業績・割安銘柄を探る

(写真=PIXTA)

それではさっそく、押し目が買い好機になりそうな銘柄を抽出すべく、スクリーニングを行ってみたいと思います。

(1)時価総額300億円以上(10/20現在)の上場銘柄であること (2)3月決算銘柄(実績ベース)であること (3)金融以外の銘柄であること (4)11/8(水)までに2017年4~9月期の決算発表が終わっている銘柄であること (5)2人以上のアナリストが業績予想を公表している銘柄であること (6)今期予想PER(市場コンセンサス)が20倍未満(ただし最終損益が黒字予想)の銘柄であること (7)第2四半期累計(2017年4~9月期)の営業利益が事前の市場コンセンサスを上回っている銘柄であること (8)今期(2018年3月期)の予想営業利益について、市場コンセンサスが会社予想を上回っている銘柄であること (9)今期(2018年3月期)の予想営業利益(市場コンセンサス)が前期比5%超の営業増益予想の銘柄であること (10)来期(2019年3月期)の予想営業利益(市場コンセンサス)が今期比5%超の営業増益予想の銘柄であること (11)今期の予想EPS(市場コンセンサス)が過去4週間で1%超上昇している銘柄であること

上記の全条件を満たす銘柄を、(7)で計算した数字(第2四半期累計の営業利益が市場コンセンサスを何%上回っているのか)の大きい順に10銘柄を掲載したものが表1となっています。掲載された銘柄は、今後株価に押し目が形成された時が買い好機になりやすいと「日本株投資戦略」では考えています。

スクリーニング条件が多いので、難しく感じられる投資家の方も多いかもしれません。しかし、狙いは単純で「アナリストが好業績を予想しているものの、予想PERがあまり高くなく、割安感も感じられる銘柄の抽出を狙っています。

アナリストは担当銘柄について、年度単位のみならず、四半期や半期単位でも業績見通しを行っていることが多いと考えられます。したがって、上記の(7)の条件を満たしているということは、通期でも業績が市場コンセンサスを上回る可能性が相対的に高くなると考えられます。抽出銘柄は(8)の条件も満たしているため、結果的に通期の営業利益は会社計画を上回るペースになる可能性が大きく、そのことが株価を押し上げる要因になるとみられます。

日本株投資戦略
(画像=SBI証券)

スクリーニングの注意点は?

表1で最上位に掲載されたのは日本曹達 <4041> です。上半期(2017年4~9月)の営業利益に関し、事前の市場コンセンサスは11億円超でしたが、実績は22.4億円と大きく上振れとなりました。通期(2018年3月期)の営業利益については、56億円(前期比4.4%増)というのが会社予想で、今回の決算発表を経ても上方修正されませんでしたが、一般的には「保守的」と理解されやすい業績予想だと思われます。ただ、持分法適用関連会社の減益等もあり、上半期の経常利益は微増益でした。また、もともと中間期の会社予想が未公表であることからも、中間期等の業績はぶれやすい面があるのかもしれません。なお、同社は11/7(火)に決算を発表し、11/8(水)はそれが好感される形で大幅高となるなど、織り込みは進みつつあるようです。

また第2位に掲載されたアルプス電気 <6770> はすでに10/30(月)に決算発表を実施。上半期(2017年4~9月)の営業利益は事前の市場コンセンサス240億円超に対し、実績は305億円と大きく上振れとなりました。会社側はこれを受け、通期の予想営業利益を610億円から673億円に上方修正しました。これを好感し、同社の株価は10/31(火)から6営業日続伸となり、12%も上昇しました。その後は、市場全般で上昇が止まったことを受け、同社株も落ち着きを取り戻しています。

以上のように、上半期の業績がもつ重要性も企業によって異なることがあります。また、営業利益以外の項目に注意を要する場合もあります。さらに、好業績が株価に織り込まれつつある銘柄もあります。第3四半期以降、事業環境の悪化から急速に業績が悪化するケースもあります。それらの点には十分ご注意頂ければと存じます。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません

鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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