2017年下半期、7月から11月までの上場銘柄を見ていこう。上半期(1~6月)はスシロー、力の源HD(一風堂)、ほぼ日、マクロミル、ユーザーローカルなどの注目銘柄があった。果たして後半はどうだったのだろうか?(現在の株価は全て12月4日執筆時点の終値)

【前編】2017年1~67月の上場企業はこちら

7月 ソウルドアウト、ユニフォームネクスト など

地方や中小企業向けにWebマーケティングを展開 ソウルドアウト

7月12日に東証マザーズに上場したのがソウルドアウト <6553> だ。同社は地方や中堅、中小企業に特化したWebマーケティング支援やIT化支援などのネットビジネス支援が柱だ。2013年に電通と合弁会社を設立、2016年にはバイドゥと業務提携を行なうなど大企業や海外との提携にも積極的だ。公募価格1200円に対し、初値は1.76倍の2113円を付けた。現在の株価は2186円だ。

作業用ユニフォームのネット通販 ユニフォームネクスト

7月19日に東証マザーズに上場したのがユニフォームネクスト <3566> だ。同社は飲食店や医療現場、オフィス用途などのユニフォームをインターネットでの通信販売を活用し販売している。中小企業が主な顧客だ。医療であれば「クリニックユニフォーム」、事務服であれば「オフィスユニフォーム」というようにそれぞれの分野ごとに専用の通信販売サイトを運営している。公募価格2800円に対し、初値は2.37倍の6640円を付けた。現在の株価は3600円だ。

ジュエリー・パーツの製造販売 クロスフォー

7月20日にJASDAQスタンダードに上場したのがクロスフォー <7810> だ。同社は独自の特許技術であるダイヤモンド加工技術を用いたジュエリー・パーツの製造販売を行なう。日本だけでなく海外でも特許を取得。今後さらに特許未取得の国で申請・取得を目指す。自社ブランドも展開している。公募価格730円に対し、初値は1.44倍の1051円を付けた。現在の株価は1540円だ。

学生向け賃貸物件の運営が主力 ジェイ・エス・ビー

7月20日に東証2部に上場したのがジェイ・エス・ビー <3480> だ。同社は学生向けの賃貸マンションの企画開発・仲介・運営管理を主に手掛ける。「UniLife」ブランドで不動産オーナーに企画提案をし、建物竣工後に一括借り上げや家賃保証を同社が行なう。2012年からは高齢者住宅事業にも参入し、高齢者住宅の提供や介護サービスなども手掛ける。公募価格3200円に対し、初値は1.34倍の4280円を付けた。現在の株価は4475円だ。

8月 UUUM、トランザス など

生活密着型のサービスマッチングサイト シェアリングテクノロジー

8月3日に東証マザーズと名証セントレックスに上場を果たしたのがシェアリングテクノロジー <3989> だ。同社は「日本最大級のライフサービスシェアリングプラットフォーム」を掲げ、水回りの修理や鍵の修理、リフォーム、害虫駆除などの生活に密着したサービスを提供する事業者と顧客とのマッチングを図るWebサービス「生活110番」を運営する。施行金額に応じた成果報酬が同社の収益の柱だ。24時間365日対応のコールセンターを設置するなどサービスも充実させている。公募価格1600円に対し、初値は1.87倍の2990円を付けた。現在の株価は2869円だ。

IoT端末の製造販売が主力 トランザス

8月9日に東証マザーズに上場したのがトランザス <6696> だ。同社はIoT端末の製造販売が主力だ。VOD配信用STB(セットトップボックス)やデジタルサイネージなどを手掛ける。設計から保守・運用までを一貫して請け負うことも強みだ。今後の事業の柱としてウェアラブルデバイスの開発にも注力している。その他にシステムの受託開発なども手掛ける。公募価格1300円に対し、初値は2.7倍の3510円を付けた。現在の株価は2415円だ。

YouTuberのサポート事業 UUUM

8月30日に東証マザーズに上場したのがUUUM <3990> だ。同社は無料動画配信サイト「YouTube」上で動画配信を行ないファンを集めるいわゆる「YouTuber(ユーチューバー)」の支援を行なうマネジメントプロダクションだ。所属ユーチューバーには「HIKAKIN(ヒカキン)」「はじめしゃちょー」などの人気ユーチューバーが在籍している。収益の柱は動画の視聴回数に応じてYouTubeから受け取る広告収入やタイアップ動画の配信などでメーカーから受け取る広告収入などである。公募価格2050円に対し、初値は3.27倍の6700円を付けた。現在の株価は5040円だ。

9月 ウォンテッドリー、PKSHA、マネーフォワード……注目銘柄多数

技術者派遣事業とコンサルティング事業が柱 エスユーエス

9月13日に東証マザーズに上場したのがエスユーエス <6554> だ。同社は技術者派遣事業とコンサルティング事業が収益の柱だ。派遣事業の契約形態は派遣と請負をおこなっており、派遣事業だけで全体の売り上げの8割を占める。コンサル事業では人事分野を中心とするビジネスコンサルティングとERP導入などのシステムコンサルティングも手掛ける。公募価格2300円に対し、初値は2.16倍の4970円を付けた。現在の株価は3790円だ。

初値は公募価格の5.1倍 ウォンテッドリー

9月14日に東証マザーズに上場を果たしたのがウォンテッドリー <3991> だ。同社はビジネスSNS「Wantedly」を運営している。主なサービスに会社訪問マッチングサービス「Wantedly Visit」や、名刺管理アプリ「Wantedly People」、ビジネスチャットアプリ「Wantedly CHAT」などがある。

同社は上場前にIPO上場の批判的ブログの削除を意図的に行っているとの疑惑が上がり、一部で不信感もあったが、上場初日は買い注文が殺到し値がつかず、翌日後場になって公募価格1000円に対し、初値が5.01倍の5010円を付け心配は杞憂に終わった。現在の株価は3025円(株式分割あり)だ。

業務系システム開発が主力 ニーズウェル

9月20日にJASDAQスタンダードに上場を果たしたのがニーズウェル <3992> だ。同社は業務系システム開発を主に基盤構築や組み込み系開発も手掛ける。主力のシステム開発は金融、通信、流通、サービスなど幅広い分野で顧客を獲得している。システム納入後も顧客企業に常駐し保守やシステム開発を行なう点が特徴だ。公募価格1670円に対し、初値は2.31倍の3850円を付けた。現在の株価は2797円だ。

アルゴリズムの開発やライセンスを提供 PKSHA Technology

9月22日に東証マザーズに上場したのがPKSHA Technology <3993> だ。同社は機械学習技術などを活用したアルゴリズムの開発やライセンスの提供が柱だ。主な収益は企業がアルゴリズムソフト・ハードを導入する際の初期設定費用や導入後のサービス利用料、保守運用費用だ。取引先としてNTTドコモ <9437> やリクルートホールディングス <6098> 、電通 <4324> などがある。公募価格2400円に対し、初値は2.28倍の5480円を付けた。現在の株価は1万1110円だ。

スターウォーズなどのホビー関連グッズを製造・販売 壽屋

9月26日にJASDAQスタンダードに上場したのが壽屋 <7809> だ。同社は人気アニメや映画の版権を取得し、フィギュアやプラモデル、雑貨などのホビー関連グッズの企画・製造・販売を手掛ける。エヴァンゲリヲンや刀剣乱舞などの国内作品のみならず、海外作品もスターウォーズやスパイダーマン、バットマンシリーズなどの人気シリーズがラインアップとしてある。北米やアジアを中心に世界へ自社製品の輸出も強化している。公募価格2000円に対して、初値は1.33倍の2650円を付けた。現在の株価は3045円だ。

不動産投資が主力 ロードスターキャピタル

9月28日に東証マザーズに上場したのがロードスターキャピタルだ。同社は不動産投資を主に手掛ける。不動産投資と不動産賃貸からなるコーポレートファンディング事業が収益の要だ。同社の主な投資対象は東京23区内の中規模オフィスビルであり、低稼働率や権利関係が複雑な物件に強みをもつ。「1万円からはじめる不動産投資」を掲げOwnersBookという名称の不動産に特化したクラウドファンディングサービスも提供しており、2017年11月からは同サービスの全国展開も開始している。公募価格1820円に対し、初値は2501円を付けた。現在の株価は3145円だ。

家計簿アプリ首位 550万人が利用 マネーフォワード

9月29日に東証マザーズに上場したのがマネーフォワード <3994> だ。同社は個人向けに自動家計簿・資産管理サービス「マネーフォワード」を提供している。スマートフォン向け家計簿アプリでは550万人以上が利用し業界首位だ。

同アプリでは金融機関の口座やクレジットカードと連携することで自動的に家計簿を作成する機能を有する。現金での支出の場合もレシートをスマートフォンで撮影するだけでアプリが認識し、家計簿に自動的に記帳してくれる。食費や光熱費などのカテゴリ分けも自動でアプリが行い、支出の内訳も分かりやすく表示される。

個人事業主や法人向けには「MFクラウド会計・確定申告」や「MFクラウドファイナンス」といったクラウドサービスも提供している。提供サービスにITと金融との融合であるフィンテックの技術を取り入れ、フィンテック企業の雄としても注目を集めている。主な収益源は提供サービスの月額課金だ。公募価格1550円に対し、初値は1.94倍の3000円を付けた。現在の株価は3180円だ。

日本食を海外で販売 西本Wismettacホールディングス

9月29日に東証1部に上場したのが西本Wismettacホールディングス <9260> だ。グループ会社に西本貿易、Wismettacフーズ、Wismettac Asian Foodsなどを持つ同社は、日本食を中心としたアジアの食品や食材を「Shirakiku」のブランドで米国を中心に販売を手掛けるアジアグローバル食事業が柱だ。同事業が同社の売り上げの7割近くを占める。その他にも農水産商社事業なども行っている。公募価格4750円に対し、初値は4465円を付け、公募価格を下回るスタートとなった。現在の株価は4135円だ。

10月 大阪油化、MS&Consulting など

化学素材の精密蒸留専業 大阪油化工業

10月5日にJASDAQスタンダードに上場したのが大阪油化工業 <4124> だ。同社は様々な化学素材から目的物質を分離・精製する精密蒸溜が専業だ。同社がこれまで高純度精製を行ってきた数は1000品目以上あり、試験も含めれば3000品目以上と精密蒸留には自信がみられる。公募価格1860円に対し、初値は1.67倍の3100円を付けた。現在の株価は3840円だ。

障害福祉サービス事業が柱 ウェルビー

10月5日に東証マザーズに上場したのがウェルビー <6556> だ。Webサイトにも「本当に就職したい 障害のある方のための就労移行支援事業所です」と掲げている同社は、障害福祉サービスのうち、就労移行支援事業として就労移行支援事業所の運営を主に手掛けている。全国に50以上のセンターを構えており、就労移行支援事業所を運営、利用者を受け入れることによって国民健康保険団体連合会などの行政から訓練費や助成金などを得ている。2016年度の就職定着率は83%を誇るという。その他に療育事業として児童発達支援事業所や放課後などデイサービス事業所も手掛ける。公募価格2580円に対し、初値は1.28倍の3305円を付けた。現在の株価は3030円だ。

顧客満足度の覆面調査 MS&Consulting

10月5日に東証マザーズに上場したのがMS&Consulting <6555> だ。同社は依頼企業に覆面調査員を派遣し、顧客満足度の評価をおこなう顧客満足度覆面調査「ミステリーショッピングリサーチ」が主力だ。年間6万店以上もの調査を行ない、飲食店から小売り、自動車、美容など様々な業種から依頼がある。ほかにも「働きたい店舗アワード」なるものを発表したり、「サービスチーム力診断」を提供したりしている。要は、顧客満足度・従業員満足度の向上のためのリサーチ業務及び経営コンサルティングに関する業務に取り組んでいるということだ。公募価格1280円に対し、初値は0.98倍の1250円を付けわずかに公募価格を下回った。現在の株価は1162円だ。

高齢者向け配食サービスをFC展開 シルバーライフ

10月25日に東証マザーズに上場したのがシルバーライフ <9262> だ。同社は高齢者向けの配食サービス「まごころ弁当」と「配食のふれ愛」の2つのブランドを展開し、フランチャイズ本部の運営を主にフランチャイズ加盟店への調理済み食材の販売を手掛けている。高齢者向け、高齢者施設向けに限らず、子供向けの配食サービスや、オフィス向けのランチ宅配弁当サービスも提供している。公募価格2500円に対し、初値は1.85倍の4630円を付けた。現在の株価は4750円だ。

飲食店向けの店舗賃貸に特化 テンポイノベーション

10月25日に東証マザーズに上場したのがテンポイノベーション <3484> だ。同社は飲食店向けの不動産賃貸が主な事業だ。不動産オーナーから賃貸した物件を店舗出店者に転貸し、初期費用や毎月の賃貸収入で収益を上げている。「店舗買い取り.com」や「居抜き店舗.com」という分かりやすい名称のWebサイトを運営するなど、“居抜き”に着目して店舗開発をサポートしている。同社公式サイトによると、「居抜き店舗.com」は2009年6月にオープンして以来、毎月500社以上、登録会員数が増えているという。公募価格3100円に対し、初値は1.94倍の6000円を付けた。現在の株価は5150円だ。

アーティストやクリエイターのファン向けサービス「ファンテック」企業 SKIYAKI

10月26日に東証マザーズに上場したのがSKIYAKI <3995> だ。同社は今話題の「FinTech」(フィンテック)ならむ「FanTech」(ファンテック)を掲げて、ファンとクリエイターや企業との間で新しい関係をつくることをめざしている。マンガ、アニメ、音楽、演劇などのアーティストやクリエイターのファン向けにファンクラブサービスやグッズ展開を手掛ける。現在までで350サイト以上100万人を超える会員数が実績としてある。公募価格3400円に対し、初値は2.47倍の8400円を付けた。現在の株価は7180円だ。

家賃債務補償サービスを提供 Casa

10月31日に東証2部に上場したのがCasa <7196> だ。同社は特に不動産管理会社を用いない自主管理家主市場において家賃債務保証サービスを手掛ける。主な収益源は家賃保証サービスを契約する際の初回保証料と年間保証料だ。公募価格2270円に対し、初値は1.03倍の2331円を付けた。現在の株価は2296円だ。

11月 トレードワークス、クックビズ など

プレカット木材の加工販売 シー・エス・ランバー

11月15日にJASDAQスタンダードに上場したのがシー・エス・ランバー <7808> だ。千葉市に本社を構える同社は、首都圏を中心にプレカット木材の加工販売を主に手掛ける。プレカットとは、工場で材木や合板などの原材料を必要寸法に切断したり、材木と材木の接合部分を機械加工したりすることだという(同社Webサイトより)。従来は建築現場で行っていたが、経験がない大工ではできなかったり無駄が生じたり、また天候に左右されていたが、工場で正確に行えるプレカット加工なら、こうした問題がクリアできるという。その他の事業としては戸建て住宅建築請負や不動産賃貸も行う。公募価格1480円に対し、初値は1.84倍の2724円を付けた。現在の株価は1872円だ。

金融機関、官公庁向けのコンサル サインポスト

11月21日に東証マザーズに上場したのがサインポスト <3996> だ。同社はシステムコンサルティングやプロジェクト支援を通して顧客の経営目標達成を支援する企業で、主に金融機関や官公庁、地方自治体向けにコンサルティング事業を主に行なっている。売上の99%がコンサルティング事業で占められているが、その他事業として金融機関が実施する企業の事業性評価の支援や人口知能システム開発なども手掛ける。公募価格2200円に対し、初値は3.88倍の8530円を付けた。現在の株価は1万2780円だ。

福祉用具の製造販売が柱 幸和製作所

11月28日にJASDAQスタンダードに上場したのが幸和製作所 <7807> だ。同社はシルバーカーや歩行補助に使う歩行車、杖などの福祉用具を主に製造販売している。本社は大阪市で、設立は1987年と比較的歴史のある会社だ。「TacaoF」(テイコブ)、「GENTILMARRONE」(ジェンティルマローネ)という名のブランドを展開している。製造した商品は代理店を通じホームセンターや福祉施設、スーパーなどで販売されている。公募価格3520円に対し、初値は2.27倍の7980円を付けた。現在の株価は9400円だ。

飲食業界に特化した求人情報サイトを運営 クックビズ

11月28日に東証マザーズに上場したのがクックビズ <6558> だ。同社は飲食業界に特化した求人情報サイト「cook+biz」を運営している。ビジョンは「フード産業を人気業種にする」というもの。求人広告サービスのほか、人材紹介、スカウト、研修サービスなどを提供。主な収益は企業から受け取る人材紹介の手数料と求人広告収入だ。公募価格2250円に対し、初値は2.35倍の5280円を付けた。現在の株価は4880円だ。

エネルギー関連機器や船舶用機械などを製造販売 ポエック

11月28日にJASDAQスタンダードに上場したのがポエック <9264> だ。同社はエネルギー関連機器としてポンプ類や熱交換器の製造や船舶用機械などの動力・重機関連機器の製造販売を手掛ける。その他にも消火栓などの防災・安全関連機器も手掛けている。公募価格750円に対し、初値は4.37倍の3280円を付けた。現在の株価は2060円だ。

初値が公募価格の6.18倍 トレードワークス

11月29日にJASDAQスタンダードに上場したのがトレードワークス <3997> だ。同社は証券システム開発が事業の柱だ。FXシステムやセキュリティ診断なども手掛ける。主要顧客にはカブドットコム証券 <8703> がある。最近の好調な株式市場環境を受け、公募価格2200円に対し初値は6.18倍の13600円を付け、現時点で2017年の暫定トップの値上がりとなった。現在の株価は1万2030円だ。

12月も多数予定されている上場

下半期のうち11月までに上場した企業をみてきた。残された12月も、東証には既にヤマシタヘルスケアホールディングス <9265> が東証1部に乗除湯している。11日以降も南陽 <7417> やジーニー <6562> 、すららネット <3998>(以上マザーズ)、カチタス <8919> 、SGホールディングス <9143> アルヒ <7198>(以上東証1部)など注目の銘柄が多数上場する。

2017年7月から11月までのIPOでは28社中26社の初値が公募価格を上回る結果となり、約92.9%の企業が上昇した。2017年の1月から6月までのIPO企業が約89.7%上昇したことを合わせて考えても現時点では好調なIPO環境にあると言えるようだ。今後のIPOにも期待が持てるのではないだろうか。(右田創一朗、元証券マンのフリーライター)