Facebook、Amazon、Appleなど大手IT企業の代表=CEOというイメージが定着としているようだが、これらの巨大企業を実質上所有しているのは一体だれなのか。どのような人物が最大の権限をもち、経済的な利益を得ているのだろう。

個人投資家による株式保有率から3社の勢力図が浮かび上がる。Facebook、Amazonともに現時点(2018年2月20日)ではマーク・ザッカーバーグCEOとジェフ・ベゾスCEOがケタ違いの保有率を誇るが、Appleのティム・クックCEOは二番手で、最大の株主は「Appleの影の大黒柱」レビンソン博士である。

ノーベル平和賞を受賞した元米国副大統領や弁護士など、IT株とは縁が薄そうな「意外な大株主」もいる。

Facebook——最大の株主ザッカーバーグCEO、最高128億ドル相当を売却予定?

Facebookの株保有率に関しては現在大きく変動中かと思われる。昨年9月、最大の個人株主であったマーク・ザッカーバーグCEOが今後1年半にわたり、3500万〜7500万株(60億〜128億ドル相当)を売却すると米国証券取引委員会に申請したのだ。売却で得た資金は、ザッカーバーグ夫妻が2015年に設立した財団チャン・ザッカーバーグ・イニシアティブ に寄付される(CNBC2017年9月22日付記事 )。

金融情報サイト「The First Million is the Hardest 」2017年1月4日 のデータからこの発表以前の保有率を見てみると、ザッカーバーグCEOは28.2%(当時の価値で290億ドル相当)を保有していた。

同じくFacebookの共同設立者ダスティン・モスコービッツ氏は7.6%(76億ドル相当)、エドゥアルド・サベリン氏は5%(52億ドル相当)、クリス・ヒューズ氏が1%(10.4億ドル相当)、初代CEOを務めたショーン・パーカー氏も4%(41.6億ドル相当)を保有。

ザッカーバーグCEOに次ぐ第2の株主は、ベンチャー・キャピタリストのジム・ブレイヤー氏だ。パートナー企業であるアクセル・パートナーズや2006年に自ら立ち上げたブレイヤー・キャピタルを通し、2005年のシリーズA調達ラウンド でFacebookに出資。10%(104億ドル相当)の株を保有している。ブレイヤー・キャピタルではEtsyやCircleといった人気スタートアップにも投資しており、自身はフォーブス誌の「世界で最も影響力のある投資家」の10位に選ばれている。

ほかにはPayPalの共同設立者として知られる著名投資家ピーター・ティール氏が、2004年から2.5%(26億ドル相当)を保有。企業ではMicrosoftが2008年から1.6% (16.6億ドル相当)、ロシアのITベンチャー・キャピタル企業デジタル・スカイ・テクノロジーズが5.4%(56億ドル相当)という保有率だ。

ナスダック2018年2月21日のデータ によると、株式発行数は16.9億株(3012億ドル相当)。機関投資家の保有率は70.87%とのこと。

Amazon ——クラウドサービスAWSのジャシーCEOが第2の株主

ナスダック2月21日のデータによると、発行株数は2.9億株(総額4206億ドル相当)。そのうち59.97%を機関投資家が保有している。

最大の個人株主はジェフ・ベゾスCEOで、2017年11月の時点で7889万株(1143億ドル相当)。次いでAmazonのクラウドサービスAWSのアンディー・ジャシーCEOが8.3万株(1.2億ドル相当)、ビジネス開発部門のシニア・ヴァイス・プレジデント、ジェフリー・ブラックバーン氏が5.5万株、弁護士兼マドロネ・インベストメント・パートナーズの設立者トム・アルバーグ氏 が1.7万株を保有(Investopedia2018年2月2日付記事 )。

ジャシーCEOは2013年に自ら出資してAWSを立ち上げ、60億ドルのビジネスに成長させた凄腕実業家だ。ブラックバーン氏はスタンフォード経営大学でMBA、ダートマス大学でBA取得後、 モルガン・グレンフェル銀行でアシスタント・ヴァイスプレジデントと務めたエリート。アルバーグ氏はAmazonの初期投資家で、ハーバード大学で国際情勢、コロンビア大学で法律を学んだ。シアトルを拠点とするマドロネ・インベストメント・パートナーズや同社が出資しているSNUPIテクノロジーズで、マネージング・ディレクターも務めている。

株価の価値は、ナスダック2月16日の株価(1株当たり1448.69ドル)に基づいて算出した。

Apple ——「Appleに多大な貢献をした人物」レビンソン博士が個人筆頭株主

発行数は31億株(総額5336億ドル相当)。機関投資家による保有率は61%。

個人投資家では、2000年社外取締役会会長に就任したアーサー・レビンソン博士 が113万株(1.9億ドル相当)保有している。ティム・クックCEOは90万株(1.5億ドル相当)、ソフトウェアエンジニアリング部門シニア・ヴァイスプレジデント、クレイグ・フェデリギ氏が42.2万株(7252万ドル相当)、「インターネットを普及させた元米国副大統領」アル・ゴア氏 が23万株(3953万ドル)、元リーガル・アンド・グローバル・セキュリティー部門シニア・ヴァイスプレジデント、ブルース・シューエル氏が17.2万株(2956万ドル)という保有率だ(Investopedia2018年1月17日付記事 )。

2013年、Googleとの医療ベンチャー、Calico共同設立で話題を呼んだアーサー・レビンソン博士は、バイオ化学分野の権威。クックCEOが「Appleに多大な貢献をした人物」と敬意を示す、同社の影の大黒柱だ。

故スティーブ・ジョブズ氏がAppleから一時身をひいていた際に設立したIT企業NeXTで、WebObjects関連の開発を担当していたフェデリギ氏は、NeXT買収とともにAppleに入社。一度Appleを退社するものの10年という月日を経て2009年に復職した。

シューエル氏は2009年にAppleに入社する以前Intelで上席弁護士を務めるなど、長年にわたりキャリアに専念してきたが、昨年シニア・ヴァイスプレジデントの任務から退く意向を表明した(コーポレートカウンシル2017年10月9日付記事 )。

ゴア氏は政治家という異色のキャリアのもち主だが、2003年からAppleの役員を務めているほか、2004年には投資企業ジェネラル・インベストメント・マネージメントを設立。環境啓蒙活動ノーベル平和賞も受賞している。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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