新型コロナに翻弄された2020年。世界最悪の感染地となったアメリカでは多数の人が感染し、亡くなる事態となった。経済も悪化し2020年4月の全米雇用レポートによると「2,000万人以上が職を失う 」という前代未聞の状況の中にあっても、アメリカ株式市場は好調に推移している。2020年11月24日にニューヨーク証券取引所では、ダウ平均株価が史上初めて3万米ドルを突破した。

アメリカの株価が2021年も順調に推移すると見込まれる中、日本でもアメリカ株に対する関心が高まっている。この記事では、初めてアメリカ株に投資をする人を対象にアメリカ株投資の基本を解説する。

アメリカ株式市場の基礎知識

アメリカ株,始め方
(画像=PIXTA)

アメリカ株式市場は、世界最大の市場だ。2018年末時点のニューヨーク証券取引所で取引されているすべての株式の合計時価総額は約28兆5,000億米ドル(1米ドル105円換算で約2,993兆円)だった。2019年末時点のNASDAQで取引されているすべての株式の合計時価総額は9兆8,000億米ドル(約1,029兆円)のため、合計38兆3,000億米ドル(約4,022兆円)というすさまじい数字となっている。

なおアメリカ株式市場とは、アメリカ国内の証券取引所(Stock Exchange)でのすべての取引の総称だ。アメリカの証券取引所には以下のようなものがあり、各種株式などが売買されている。

・ニューヨーク証券取引所
・NASDAQ
・シカゴ証券取引所
・ボストン証券取引所
・マイアミ証券取引所
・フィラデルフィア証券取引所
・ナショナル証券 取引所など

アメリカの2つの主な証券取引所

アメリカの証券取引所中でも代表的な証券所は 、ニューヨーク証券取引所とNASDAQの2つだ。

ニューヨーク証券取引所の歴史

ニューヨーク証券取引所(略称NYSE)の歴史は古く創設は1792年5月17日。ニューヨークのウォール街に24人の株式ブローカーが集まり売買手数料などの取引に関する基本的な契約に署名したのが始まりとされている。1817年3月8日には、正式にニューヨーク証券取引所として組織化され現在の原型がスタートした。

ニューヨーク証券取引所は、組織化後すぐにアメリカ最大の証券取引所となり「世界恐慌」「2つの世界大戦」「リーマンショック」などを経て2006年にユーロネクストと合併した。2008年にアメリカン証券取引所を買収するなどして現在に至っている。

ニューヨーク証券取引所は、2020年時点で世界最大の証券取引所だ。取引ボリュームは、アメリカの年間GDPに匹敵し全世界のGDPの 20%に達している。

NASDAQの歴史

NASDAQの歴史は、ニューヨーク証券取引所に比べて浅く創設は1971年2月8日。「世界初の電子証券取引所」としてアメリカ証券取引協会(National Association of Securities Dealers)が設立した。設立目的の通り株式を物理的に取引するのではなくコンピューターネットワークを通じて電子的に行うことを最大の特徴としている。

また、NASDAQはニューヨーク証券取引所などと異なりディーラー方式で売買されることも特徴の一つだ。ニューヨーク証券取引所では、オークション方式で株価が決定され売買されるが、NASDAQはディーラー同士がマーケットメーカーを通じて売買を行う。そのためオークション方式よりも迅速な取引ができ高い流動性を確保することが期待できると言われている。

NASDAQには、AppleやGoogle、マイクロソフトなどのテック企業が多数上場しており、売買される株式の時価総額はニューヨーク証券取引所に次いで世界 第2位となっている。

アメリカ株式の代表的な株価指数

アメリカ株式には、代表的な株価指数があります。「NYダウ」「NASDAQ総合指数」「S&P500」の3つだ。

NYダウ

NYダウの正式な訳語は、ダウ・ジョーンズ工業株価平均 (The Dow Jones Industrial Average)で単に「ダウ」「ダウ平均」と略されることもある。「ウォールストリートジャーナル」の発行元であるダウ・ジョーンズ社が選ぶアメリカの大手有力企業30社の株価で構成された株価指数だ。Apple、ボーイング、IBM、インテル、マイクロソフトなどのアメリカを代表する企業の銘柄が広く採用され、世界で最も引用される株価指数とされている。

NASDAQ総合指数

NASDAQ総合指数は、NASDAQ Composite Indexの訳語だ。NASDAQに上場するすべての銘柄を時価総額加重平均で算出した指数である。構成銘柄には、アメリカ以外に本社を置く外国企業の銘柄も含まれている。ソフトウェアやバイオテック、半導体などのテック系の銘柄を多く含むため、ハイテク業界の動向を示す指数としても利用されている

S&P500

S&P500は、The Standard and Poor’s 500を略したものでニューヨーク証券取引所およびNASDAQに上場している500社の銘柄によって構成された株式指数。構成銘柄は時価総額、流動性、業績などを勘案して決定されるが時価総額のウェイトが高いため、AppleやAmazon、マイクロソフト、アルファベット(Google持株会社)などのテック系企業が多く組み入れられている。

アメリカ株を購入するメリット

アメリカ株を買うことで得られるメリットには、どのようなものがあるのだろうか。

大きなリターンが狙える

アメリカ株を買う最大のメリットは、何といっても大きなリターンが狙えることだ。2020年にアメリカ株式市場では「ドアダッシュ(DoorDash)」「エアビーアンドビー(AirBnB)」といった大型IPO(新規株式公開)が続いた。いずれもIPO当日の取引では、公開価格を大きく上回る高値で取引を終えている。

ドアダッシュの筆頭株主のソフトバンクは、ドアダッシュのIPOにより推定 で1兆円を超える含み益を獲得したとされている。2021年もロブロックスなどの大型ユニコーン企業のIPOが予定されており投資家の期待を集めている。

世界的な大企業へ投資できる

アメリカ株では、Google、Apple、Amazon、Facebookといった世界をリードする大企業へ投資することができる。ダウやS&P500を大きく上回るパフォーマンスを誇るそうした優良企業へ投資できることは、アメリカ株投資の大きな醍醐味だ。

高配当が受けられる

日本株よりも比較的高配当が受けられることもアメリカ株を買うメリットの一つだ。3~5%程度、中には10%を超える配当利回りの銘柄もあり、多くの銘柄で年 4回配当が支払われる。複数の銘柄に分散投資すれば配当を毎月受け取ることも可能だ。

また連続増配銘柄も多く例えばコカ・コーラは57年、マクドナルドは43年、ジョンソンエンドジョンソンは57 年連続で増配を続けている。

1株から購入できる

日本株へ投資する場合、日本株には単元株制度があるため、原則1単元100株単位で取引することが必要となる。しかし、アメリカ株ではそうした単元株制度がないので1株から購入できる。比較的少額の資金で株式投資ができるのもアメリカ株へ投資する一つのメリットだ。

アメリカ証券取引所の取引時間

アメリカ証券取引所の取引時間は、ニューヨーク証券取引所、NASDAQともにアメリカ東部標準時で平日の9時30分~16時までとなっている。日本時間では23時30分~翌日6時、夏時間では22時30分~翌日5時までだ。またニューヨーク証券取引所では、6時30分~9時30分までプレオープニングセッション、16~20時まで延長セッションが行われている。

NASDAQでは、4~9時30分までプレオープニングセッション、16~20時までが延長セッションだ。

日本株とアメリカ株の違い

日本株とアメリカ株の主な違いにはどういったものがあるのだろうか。

単元株制度

上述したように日本株へ投資する場合、1単元単位で投資するケースが多くなる。一方、アメリカ株は単元株制度がないため、1株から投資することができる。

配当のタイミング

配当のタイミングも日本株とアメリカ株では異なる。日本株の多くの銘柄では、配当は年に1度、多い銘柄の場合4度支払われる傾向がある。 しかし、アメリカ株の多くの銘柄では年に4回支払われる。また配当性向もアメリカ株のほうが高い傾向にある。

ストップ高・ストップ安がない

アメリカ株には、日本株のようなストップ高・ストップ安がない。そのためダイナミックに市場が動くことが特徴だ。

アメリカ株はネット証券アプリで気軽に買える

アメリカ株は、ネット証券アプリで気軽に買えることを知っているだろうか。2020年時点で以下のようなネット証券のアプリでアメリカ株を購入することができる。

・SBI証券
・楽天証券
・マネックス証券
・IG証 券など

例えば、マネックス証券は、アメリカ株専用のスマホアプリ「トレードステーションアメリカ株スマートフォン」を提供しており、アプリにログインするだけでアメリカ株の売買が簡単にできる。特にこれからアメリカ株式を始める人にはおすすめのアプリといえるだろう。

少額から始められるアメリカ株投資

上述の通りアメリカ株は1株から購入が可能だ。例えば大手通信企業AT&Tなら1株3,651円、大手エネルギー企業エクソンモービルなら1株8,092円で購入可能できる。なお、AT&Tは6.03%、エクソンモービルは4.64%の配当利回りを誇る高配当企業でもある。1万円程度の資金があれば相応の投資ができ、高配当を受けることが可能になる(米国現地7月25日終値ベース、1ドル=108円換算。)。

アメリカ株式売買時にかかる手数料

では、実際にアメリカ株を売買した際にかかる手数料はどの程度なのだろうか。

マネックス証券

マネックス証券の手数料は、約定金額の0.495%(税込み)で最大20米ドルだ。例えば約定代金が1万円の場合、手数料は45円、約定代金50万円の場合、手数料は2,000円となる。(いずれも1米ドル100円で計算)また売却時にスプレッド (為替手数料)25銭が必要となる。

楽天証券

楽天証券の手数料は、2.22米ドル超~4,444.45米ドル未満の場合、約定金額の0.495%(税込み)となる。4,444.45米ドル以上の場合、手数料はフラットの22米ドル。また売却時に「ドルベース約定代金×0.0000221米ドル」の証券 取引所手数料が必要になる。

SBI証券

SBI証券の手数料は、約定金額の0.495%(税込み)で上限が22米ドル。楽天証券とほぼ同一の手数料だがSBI証券の場合、S&P500に連動する一部のETFなどの買付手数料が無料となっている。

アメリカ株に投資する際の注意点

なおアメリカ株に投資する際は、以下の点に注意が必要だ。

投資する企業の情報収集と分析を行う

ニューヨーク証券取引所とNASDAQでは、合わせて約 6,000社の株が売買されている。その多くは、日本人にとってなじみのない会社だ。中には何を事業にしているのかわからない会社もあるだろう。また中には経営破綻するリスクを抱えた会社もあるかもしれない。情報の多くは、英語で発信されているため分析が難しい可能性もある。

そのため、アメリカ株投資に詳しい人に相談するなどしてできるだけ情報を集めるようにした方がよいだろう。

為替差損に注意する

アメリカ株への投資は当然米ドルで行うため、売買の間隔が開いた場合、為替差益や為替差損が生じる可能性がある。為替差益が出ればまだよいが相応の為替差損が生じるなど場合によっては株式の譲渡益を相殺する可能性もある。特にアメリカ株への長期投資を検討する場合には注意が必要だ。

実際にアメリカ株投資を始めてみよう

アメリカ株投資を理解するには、実際にアメリカ株投資を始めてみるのが一番だ。始め方は、簡単で好きなネット証券のホームページやスマホアプリから口座開設を申し込めばよい。口座が開設されたらスマホかパソコンの個人アカウントにログインし、口座へ投資資金を入金して準備完了だ。後は、画面の指示に従って投資を開始してみればよいだろう。