マイホームの購入は、費用のかかるライフイベントのひとつである。人生で誰もが必ず経験するイベントではないかもしれないが、いつかマイホームを手に入れたいと思う人は多いだろう。

その一方、資産か負債かという観点でマイホームを見るとどうだろうか。一般的に証券、土地、建物、自動車など万一のときに現金化できるものは「資産」と言われている。これに当てはめるとマイホームや土地などの不動産も資産とみなせるだろう。

しかし、多額の負債を抱えて手に入れるマイホームは、はたして資産と呼べるのであろうか。この記事では、マイホームは資産か負債かを考えながら、マイホームを購入する価値について考察していく。

マイホームは資産か負債か

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(写真=PIXTA)

マイホームを購入するには多額の資金が必要になる。マイホーム購入代金とは別に、印紙税、登記のための費用、火災保険、地震保険、仲介手数料などがかかる。国税庁が発表している「平成28年分民間給与実態統計調査結果について」によると、2016年 (平成28年) の日本人の平均年収は421.6万円であった。一般的に最低でも数千万円が必要になるマイホーム購入を、給料による貯蓄だけで支払うのは難しい。

そこで、住宅ローンを組んでマイホームを購入する場合が多いだろう。ローンを利用すると、上記に加えて融資手数料がかかる他、毎月の金利負担が発生する。ローン期間や金利水準によって異なるものの、購入価格と同じくらいの金額が金利負担としてかかるケースもある。

住んでいる間、住宅を修理したり、リフォームすると修繕費はかさんでいく。マンションの場合、管理費やマンション自体の修繕積立金の支払いもあり、賃貸住宅に住んでいた場合には支払う必要のなかった固定資産税も支払わなければならない。

多額の費用をかけて手に入れたマイホームは多くの場合、価値が徐々に下がる。20年後や30年後、ローンの返済を終えて、自分の所有物になった頃には、マイホーム (建物) そのものに資産価値はほとんどなくなる。さらにマイホームは実需として利用している限りキャッシュを生まない。むしろ定期的なキャッシュアウトが発生する。

ローン残高の有無で変わるマイホームの価値

以上のことから考えると、マイホームは資産と言い切れない気もしてくる。ローン残高があるかないかで状況は大きく変わってくるので、このふたつは切り離して考えてみよう。

まずローンを完済していたり、キャッシュで購入している場合だ。マイホームは完全にオーナーのものであるので、個人のバランスシート (B / S) 上でも資産に計上されるとともに、B / Sの右側には「純資産」として計上される。銀行から融資を受けて事業を興したり、収益資産を購入する場合、綺麗なバランスシートをもつこと自体が個人にとっては大きな資産になる。

では、ローン残高がある場合はどうだろうか。マイホームをローンで購入した場合でも、個人のB / Sでは資産として計上される。しかし、その右側には「負債」が計上される。長い時間をかけて、その負債を純資産に振り替える作業がローン返済だ。

マイホーム購入時のローンは、完済するその日まで毎月支払わなければならない。しかし、返済には必ず終わりがある。完済日を迎えれば支払いは終わり、自身の資産となる。一方、賃貸住宅は住んでいる限り、家賃を払い続ける必要がある。家賃をいくら払っても自分のものにはならず、大家から借りているということに変わりはない。また、ローンを予定通り返済し続けているというクレジットヒストリーを作ることが金融機関からの信用につながる場合もある。

ローン残高の有無に関わらず、マイホームは生まれてくる子どもの「実家」であり、家族団らんの場であり、家族がいつでも帰ってこれる場所である。その思い出は、自身や子どもが何歳になっても色褪せることはないだろう。その思い出の場所を自身から子どもへ、子どもから孫へ、代々受け継がせることも可能だ。マイホームには、そのようなプライスレスな価値があることも忘れてはいけないだろう。

多面的な角度からマイホーム購入を検討しよう

結論として、ローンを伴わないマイホーム購入は資産として計上されるが、単体ではキャッシュを生まないどころか、定期的なキャッシュアウトが発生する資産を買う行為だ。ローンによるマイホーム購入は、B / S上の資産は大幅に増えるものの、同時に負債も増やす行為と言えるだろう。当然、B / Sやキャシュフローは悪化する。

マイホーム購入は人生の一大イベントだ。愛する家族のことを考えれば、多少の損得は優先順位が下がる場合もあるだろう。マイホームが個人のB / Sに与える影響やプライスレスな部分を考慮しながら、多面的な角度からマイホーム購入を検討したい。(提供:大和ネクスト銀行


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