少子高齢化がますます進むなか、年金など将来に不安を抱いている人は多いのではないでしょうか。30〜40年後、日本がどうなっているかは誰にも予測できないことです。年金制度が破綻し、1円も受け取れなくなるとは考えられないものの、現在の受給額の水準は期待できないでしょう。

しかし、将来の年金額を心配するよりも、いざという時にも自分たちで生活できるように今から準備しておいた方が、よほど人生に余裕が持てます。ここでは老後の準備の一つとして、iDeCo(個人型確定拠出年金:イデコ)による資産形成について紹介します。

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(写真=PIXTA)

老後資金の蓄えとしてiDeCoを活用しよう

老後の生活費が心配といっても、具体的にどうやって備えれば良いのか分からないという人は多いでしょう。そのような人こそ、iDeCoを検討してみてはいかがでしょうか。

iDeCoは、加入者自身がコツコツと積み立てて資産運用をすることで、公的年金にプラスして給付を受けられる私的年金の一つです。iDeCoのそもそもの目的は老後資産形成にあり、長期運用による節税メリットが非常に大きな制度なのです。

2017年1月からは加入対象者の幅が広がり、企業年金を採用している会社勤めのサラリーマンや公務員、専業主婦など、公的年金に加入している人なら原則誰でも加入できるようになりました。

夫婦2人の老後の生活費はいくらだろうか?

ここで、退職後の生活では夫婦2人でどのぐらいのお金がかかるのか確認しておきましょう。

公益財団法人生命保険文化センターの「平成28年度 生活保障に関する調査」によると、夫婦2人で老後生活を送る上で必要と考えられている最低日常生活費は、月額で約22万円となっています。

これに、旅行やレジャー、身内との付き合い、趣味や教養のための費用を上乗せすると、ゆとりある老後生活費は月額で約34万9,000円となります。

一方、厚生労働省が2016年に行った「年金制度基礎調査」によると、現在厚生年金を受け取っている人の平均年金額は151万2,000円(男性195万3,000円、女性115万5,000円)となっています。夫婦共働きの場合、月額にすると25万円程度になる計算です。

iDeCoを資産運用の選択肢の一つにしよう

将来の年金の財源がどうなるかわかりませんが、仮に現在の給付額から5万円減って、夫婦共働きの場合の年金額が月20万円程度になるとして、将来必要な額を見てみましょう。

旅行やレジャー、趣味を満喫するとはいかないまでも、ある程度生活にゆとりを求めるなら、年金に加えてあと10万円は必要になると考えるとします。

厚生労働省が発表した「平成28年簡易生命表」によると、日本人の65歳の平均余命は、男性19.55歳、女性24.38歳となっていますので、平均して65歳以降22年は生活が続くことになります。

つまり、老後までに自分たちで用意しておきたい額は、月10万円 × 12ヵ月 × 22年 = 2,640万円。これに予備資金や整理資金などを加え、3,000万円という額が一つの目安になります。

これだけの額を5年10年で用意することは大変ですので、20代30代からある程度計画的に準備する必要があります。

iDeCoが老後資金の準備に向いているのは、さまざまな税制優遇はもちろんなのですが、コツコツと積立方式で貯めていけるからです。一般的に投資というと何百万というお金が必要になるイメージですが、iDeCoでは月々5,000円から始められます。少しずつでも無理なく準備を始めることができるのです。

また、60歳まで引き出せないことも、確実に老後資金を貯めるメリットと見ることができます。目標金額から逆算して必要な掛金を拠出していれば、例えば必要以上に豪華な家や、高級車を買うのを考え直す基準にもなります。

ご長寿国家の日本 今からコツコツと

日本は世界でも有数の長寿国ですので、退職してからの生活が長く、高齢者も元気な人が多いので、老後からでもできることはたくさんあります。もちろん現役時代の生活も大切ですが、充実した老後を送るためには、今からコツコツと計画的にお金を準備しておきましょう。そのために、老後資金の形成に非常に有利なiDeCoという制度を、ぜひうまく利用してみてください。