日本市場において、スマートスピーカー(AIスピーカー)と言えば、グーグルホーム、アマゾンエコー、LINE Clova、が代表的存在だろう。おとなりの中国市場はどのような状況にあるのだろうか。これまではよく分からなかった。そんなおり、経済サイト「投資界」がAIスピーカー市場を特集した。2018年の展望も載せている。中国AIスピーカー市場の内情を探ってみよう(1元=17.09日本円)。

3月一斉に新製品をリリース

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(画像=アリババの天猫精霊X1(画像=Webサイトより))

2018年3月末までに、アリババ、バイドゥ(百度) シャオミ(小米)、猎豹の4社が相次いでスマートスピーカーを発表した。ほとんど間を置かず、一斉にという感じである。

2017年、スマートスピーカー各社の置かれた状況はそれぞれ異なっていた。それが2018年3月に入り4社一斉に、グレードアップした商品を発表したのは、遅れをとるわけにはいかないからに違いない。しかしこれでスマートスピーカー2.0時代に突入したと言うことはできない。基礎的な技術だけでなく、他の製品とのネットワーク、顧客への初歩教育など、多方面のアプローチを必要とするからだ。それはまだできていない。

各社はどのようなビジョンを描いているのだろうか。

アリババ 「天猫精霊X1」は売り上げ200万台

社内の人工智能実験室(A.I.labs)で開発した初のAIスピーカー「天猫精霊X1」は、売上げ200万台を突破した。価格は499元である。しかしアリババはそれで満足していない。

今年に入り、音声入力システムの「AliGenie」を更新した。これを利用した図書を読む「精霊火眼」を発表している。音声技術の上に視覚の技術を重ねたものだ。これら技術と技術の融合は、AIスピーカーにも新しいステージを開くことになるという。

しかし更新にあたり、アリババの内部では大きな議論があった。ディスプレーを必要とするかどうかの問題である。これに対しては、スマホ、テレビ、パソコンディスプレーなど外部機器と連携する方針とした。

具体的に発表された新製品は「天猫精霊M1」で、5110円(299元)で販売する。

バイドゥ ディスプレー付きに固執

百度の思考回路はアリババと逆である。百度はディスプレー付きスマートスピーカーに固執した。ロボットメーカーの「小魚」と百度は、「小魚在家」という製品を共同出品した。百度の対話式AIシステムを搭載し、音声認識、高品質なスピーカーとタッチスクリーンを備えている。

百度ではこれを“新物種”と呼んでいる。スピーカー、カメラ、ディスプレーが結合した、スマートスピーカーというより、独創的な新製品という思いを込めているようだ。

百度はこれまで、買収した渡鴉科技の開発したRaven HというAIスピーカーを、2万9036円(1699元)で販売していた。今回の小度在家は1万237円(599元)で販売すると発表し、業界を驚かせた。

シャオミ、猎豹、その他メーカー 1万円以下で次々と

シャオミは、昨年から「小愛同学」という商品を5110円(299元)で販売していた。今年からは「小愛mini」を3401円(199元)で発売すると発表した。100万個の予約が殺到するなど人気を集めている。

ネットセーフティーから発した北京の企業「猎豹」は「小豹AI音箱」という製品を8528円(499元)で発売する。

3月に発表した4社の製品は以上の内容で、ディスプレー付きの百度「小魚在家」が599元、ディスプレーなしは499元以下での戦いとなった。

それ以外では、騰訊(テンセント)の「Qrobot」が2799元、聯想(レノボ)の「聯想智能音箱」が899元などとなっており、このままでは戦えそうにない。早急に立て直しを図ってていくことだろう。

海外勢はカヤの外

GoogleやAmazonなどの海外勢はどうなっているのだろうか。

グーグルは2017年5月から提携相手を募集している。記事では、中国語版を市場へ出すには、中国のスマートスピーカー工場を提携先としなければならないだろうとあり、市場への投入はまだ先になりそうだ。また米国では80%というアマゾンエコーの知名度が、中国では20%にも満たないという。

ドイツの市場調査会社GFK(中国)の「中国智能音箱市場分析」によると、2017年、中国のスマートスピーカーの売上は150万台だった。2017年発売のアリババ精霊X1は、200万台販売したと発表しており、どうもこの資料とは整合性は取れない。それはともかくお値打ちな新製品に出そろった2018年、スマートスピーカーは、大きく台数を伸ばすに違いない。海外勢のいない間に、アリババを中心としたシェアが固まるのだろう。いつか見た風景である。(高野悠介、中国貿易コンサルタント)