はじめに
中国にはバイドゥ(百度)、アリババ(阿里巴巴)、テンセント(騰訊)という3大IT企業があり、それぞれの頭文字をとって「BAT」と呼ばれる。彼らは中国の経済だけでなく、社会、文化にも大きな影響力を持っている。
BATは中国において、どのような存在なのか、そして、今後どのような役割を果たしていくのか。BATの現状と今後について探っていきたい。
進むIT企業によるAI技術の囲い込み
中国の清華大学世界産業研究院は2018年6月上旬、米国のAI投資戦略について寄稿した。グーグルなど米国のIT大手企業は、欧州のAIとロボット産業を重視している。2012~2017年に欧州のAI創業会社19社を買収した。これは全体投資額の31%に及んでいるという。
また市場調査会社CBインサイツのレポートでは、2011~2016年にかけて、世界140社のAI関連会社が買収されている。中でも2016年は40社を数える。もちろん中国の大手IT企業であるBAT(バイドゥ、アリババ、テンセント)も買収者に名を連ねる。技術の世界的な囲い込み合戦は、激化する一方だ。
科学技術サイト「雷鋒網」の分析から、BATの海外投資戦略をみてみよう。
バイドゥ――3社買収、18社に投資
バイドゥは「自動運転」で国家AIプロジェクトの指定を受けた。2014年以降、AI関連の3社(米国2社、中国1社)を買収、18社(米国5社、中国12社、イスラエル1社)に投資を行った。海外企業は以下の通り。
18年3月 More Health(米国、AI医療、投資)
18年3月 Atomwise(米国、医薬品、投資)
18年2月 Lightelligennce (米国、AI光学、投資)
17年9月 TigerGraph(米国、AI平台、投資)
17年7月 Dinamic Yield(イスラエル、ロボット、投資)
17年7月 KITT.AI(米国、語音識別、買収)
17年4月 XPerception (米国、ハード、買収)
16年7月 ZestFinance(米国、フィンテック、買収)
2017年以降スピードを増した。無人運転のアポロ計画が本格化したころである。