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IT企業の参入で過熱する保険業界
中国ネット通販2位の京東(JD)は2018 年4月中旬、安聯財産保険(中国)に5億3700万元を出資すると発表した。第2位の大株主になる。安聯とはドイツに本拠をおく世界有数の金融グループ、アリアンツの中国法人である。京東は、オンライン保険販売のブランドを手に入れた。それも極めて強力な看板である。
中国のIT巨頭は、ほとんどすべて保険業に切り込んでいる。「中国保険業は沸点に達し“大爆発”の前夜にある」というタイトルで、経済サイト「投資界」が、分析を行った。中国の保険業界はどこへ向かうのか。記事をもとに探ってみよう。
保険の改革促すネット保険
従来型の保険業では、省をまたぐ営業活動をするために、各省に販売会社を設立しなければならなかった。販売会社は2年間、省内の営業で実績を積み、初めて省外への展開を許される。
オンライン保険会社は、規定の範囲内の保険販売なら、この手続きを踏む必要はない。いきなり全国営業が可能となる。つまり従来型保険会社の側からも、オンライン販売の需要は大きいのである。そして効率の高いオンライン販売の増加によって、市場競争は激化する。
中国保険監督管理委員会(保監会)のデータによれば、オンライン保険業務を行う会社は大幅に増加している。2012年には39の保険機構がオンライン保険を運営していた。これが2016年には117社へと増加した。
一方、中国保険行業協会の発表によれば、2017年のオンライン保険の収入見通しは2496億6000万元で、2016年比で6.37%の伸びだった。あまり伸びていないように見える。
これは2016年以来、「保険公司股権管理弁法」の改正が相次ぎ、参入のハードルが高くなり、行政の管理も厳重になったこと、新会社各社の体制がまだ整っていなかったことの影響もあるとみられる。