アリババ, クラウド, アマゾン
(画像=feelphoto / shutterstock.com アリババのジャック・マー会長)

目次

  1. 世界でアマゾンやグーグルと競うアリババ
  2. 国内シェア45%を占めるアリババクラウド
  3. 世界市場の状況は?
  4. 米国勢に挑む
  5. 研究開発への積極的投資でアマゾン追う

世界でアマゾンやグーグルと競うアリババ

中国のネットニュースでは、アリババと創業者・馬雲(ジャック・マー)の名を見ない日は一日もない。本業のネット通販をはじめとする小売業界だけでなく、金融界、AI界、メーカー、地方政府など中国全土にくまなく影響を及ぼしている。

そのアリババは、2009年に2つの重要決定を行った。1つ目は、同年11月11日に初の「独身の日セール」を打ったこと。2009年に取引額5000万元からスタートしたこのセールは、2017年11月11日には1682億元と3364倍にまで成長し、アリババ躍進の原動力となった。

2つめは、クラウドコンピューティングへの進出を決定したことである。今やアリババのクラウドサービスは中国市場の45%を抑えたという。もはや国内に敵はなく、ライバルは、アマゾン、マイクロソフト、IBM、グーグルなど米国勢だ。 中国での報道を手掛かりに、アリババのクラウドサービスの躍進について詳しく見ていこう。

国内シェア45%を占めるアリババクラウド

アリババは2009年9月、クラウドコンピューティング及び人工知能(AI)を扱う子会社・アリババクラウド(阿里雲)を設立した。これは慧眼だった。中国IT3巨頭BATの中では群を抜いて早かった。

クラウド事業でテンセントが子会社を設立したのは2013年、バイドゥが子会社を設立したのは2016年である。2012年に始まったクラウドサービス市場急拡大に、しっかり対応できたのはアリババだけだった。

現在、アリババクラウドのサービスは、メーカー、金融、政府機関、交通、医療、電信、エネルギーなど、さまざまな領域に拡大している。代表企業は、電信三大運営会社の一つ「中国聯通」、中国鉄道総公司の予約発券システム「12306」、石油大手の「中国石油」と「中国石化」、「フィリップス(中国)」、それに四大銀行の1つ「中国建設銀行」や納税額最大の「中国煙草総公司」などである。すでに国有大企業の基幹システムを掌握しているといってよい。その他、ウェイボー(微博)、チーフ―(知乎)などの先進ネット企業も採用している。

アリババクラウドは、「独身の日セール」の巨額売上を、テクニカル面で支えた。また12306システムでは、春節期ピーク時の予約処理を問題なくこなしている。ビッグイベントを的確に運用し、大きな成功を収めた。また「城市大脳(都市AI化)計画」が、国家AIプロジェクト採用された。国内シェア45%はそれらの結果といってよい。

世界市場の状況は?