大手自動車メーカー間で、電気自動車(EV)とSUVを融合させた「EV SUV」開発競走が加速している。EV SUV(Model X)で優位に立つかと予想されていたテスラが生産延滞に陥る中、日産、メルセデス、ジャガー、ゼネラル・モーターズ、ホンダなどライバルが、着々と市場参入に向け準備を進めている。

年内発売予定のアウディ「e-tronクワトロ」、ジャガー「I-PACE」、中国市場に専念するホンダなど、8メーカーのEV SUV動向を見てみよう。

テスラ:Model 3の基盤採用「Model Y」

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(画像=Webサイトより)

2015年の発売以来、4万台を売り上げたEV SUV「Model X」で既に一歩先をいくテスラ。同社第2弾となる低価格帯EV SUV 「Model Y」を開発中だ。

しかしModel 3の生産遅延の影響から、生産開始予定は2020年前半にずれ込むことがイーロン・マスクCEOの発言から明らかになっている。専用の電動プラットフォームを開発する代わりにModel 3の基盤を採用する戦略に切り替えるなど対応策を講じていることから、ドライブトレインもModel 3と同様の仕様になりそうだ(オート・エクスプレス2018年5月6日付記事 )。

日産:和を感じさせるシンプルなデザイン「IMx」( EVクロスオーバーSUV)」

2018年3月、完全自動運転技術搭載のクロスオーバーEVの生産を発表。2017年秋に公開したコンセプトカーIMxから発想を得た次世代EV SUVで、2020年に市場へ投入されるとみられている。

日産のサイト によると、EVパワートレインには160kW出力のモーター2基を前後に搭載したツインモーター4WDを採用。1回の充電による航続距離は600km以上。自動運転モード「プロパイロット」と、マニュアル運転モード「マニュアルドライブ」を搭載している。和を感じさせるシンプルで洗練されたデザインも魅力的だ。

メルセデス・ベンツ:ジェネレーションEQが原型「EQ C」

メルセデス・ベンツのEVブランド「EQ」から発売されるSUV「EQ C」。プロトタイプの画像が2018年ジュネーブモーターショーで初めて公開された。2016年パリモーターショーでお披露目となった「ジェネレーションEQ」が原型で、電気モーター2機、最高出力300kWというパワフルな走りが自慢だ。1回の充電による航続距離は最大500km。

シルバーを基調としたデザインにブルーのライトが映える。2019年後半の市場投入を予定しており、価格は5.5万ドル前後になるとの予想だ(Carwow2018年1月19日付記事)。

アウディ:ソーラーパネル一体型屋根タイル装備「e-tronクワアトロ」

高級SUV「e-tron」は、アウディが発売を予定している3種類のEVシリーズの第1弾となる。3月には動画が公開されたほか、8月にはコンセプトカーの正式なお披露目となる予定だ。

サイトの情報によると、最高出力320kW(ブーストモードでは370kW)、バッテリー容量95kWh 。1回の充電による航続距離は500km。「ソーラーパネル一体型屋根タイル」や独自のドライブセレクトシステムを搭載している。

年内の発売が予定されており、価格は6万ドル前後になりそうだ。同シリーズとして、「e-tron スポーツバック」と「e-tron GT」の開発も予定している。

ジャガー:フォームラEのレーシングカーの技術採用「I-PACE」

ジャガー特有の走行感とスポーツカーに負けない加速を、バッテリー式電気自動車でも再現した「I-PACE」。たった4.8秒で100km/hに達するパワフルさが自慢だ。永久磁石同期式電動モーター2機に加え、フォームラEのレーシングカーと同じ技術を採用し、最高出力400PS、最大トルク696Nmを実現。

90kWhバッテリーは、パウチセル型のリチウムイオン電池で、長寿命を配慮した独自の設計と温度管理システムを採用している。米国では2018年後半以降に出荷予定で、価格は6.95万ドルから(Engadget2018年3月6日付記事)。

フォルクス・ワーゲン:2種類のSUVを開発「I.D.Crozz」

2020年までに20種類のSUV販売を目指 すVWは、「I.D.Crozz」タイプを市場に投入する予定だ。「I.D.Crozz」は2017年に上海モーターショーでコンセプトカーが発表された4ドアクーペSUVクロスオーバで、最高速度180km/h、最大航続距離は500km。高速充電システムを使えば、30分で80%充電できる。(Electrek2017年11月29日付記事)。VWは正式な価格を公表していないが、「手頃な価格になる予定」とのことだ(Carwowより)。

ホンダ:中国市場専用「理念EXコンセプト」

ホンダは2018年4月、北京モーターショーで、中国市場専用のEVコンセプトカー「理念EXコンセプト」を初公開した。本田技研科技有限公司とホンダ、広汽ホンダが共同開発したもので、年内に市場販売される予定だ。

2017年からホンダが出資する中国のカーシェアリング・スタートアップ、リーチスターのサービスを通し、シェアEVとしても活用されるそうだ(CNET2018年4月25日付記事)。ホンダは2025年までに20種類のEV発表 を目指している。

ゼネラル・モーターズ:EV計画第1・2弾はSUV「ビュイック・エンスパイア」

GMは2017年10月 、EV計画の一環として、当時から18カ月以内に2種類、5年以内に20種類の導入を目指すと発表。第1・2弾がEV SUVになることは、11月にニューヨークで開催されたオートイベントでメアリー・バッラCEOが認めていた。(Electrek2017年11月15日付記事) 。

2018年4月の北京モーターショーでは、EV SUVであるビュイック「エンスパイア」の概要を明らかにした。パワフルなEVコンセプトカーが売りで、4秒以内に最高100km/hまで加速するほか、最大600kmの航続距離を実現している(Electrek2018年4月19日付記事)。80%までを40分で高速充電することも可能だ。

発売日などの詳細は発表されていないが、2020年との見方が強い。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)