スーパーカーブランドの挑戦始まる
SUV市場の拡大が目覚ましい。日本国内では販売台数は40万台と、5年前の2倍以上になり、米国市場でもSUVやクロスオーバー車は2010年に比べ倍増している。
そんな中で、SUVのイメージとは程遠いスーパーカーのメーカーもSUV市場に参戦した。話題になっているのが、超高級車メーカー・ランボルギーニが発売している新型SUV「ウルス」だ。価格は約2600万円にも関わらず現在納車は3年待ちだそうだ。
スーパーカーメーカーのSVUへの挑戦を追ってみよう。
フェラーリが真似できないスーパーカーを創る
1963年、農業用トラクターの製造・販売で成功を収めたフェルッチョ・ランボルギーニは自動車製造会社ランボルギーニ・アウトモビリを立ち上げた。
この情熱家で人情に厚い典型的なイタリア人が「フェラーリに負けないスーパーカーを創るんだ」と言い始めたときには、さすがに周囲もあきれ果てたらしい。今まで築いてきた資財をすべてドブに捨てるのかと、友人たちは止めた。
フェルッチョは、フェラーリのエンジンを産み出したジョット・ビザリーニを引き抜き、開発にあたらせた。ボディ製作は、若きエンジニアの2人、ジャンパオロ・ダッラーラとジャンパオロ・スタンツァーニに任された。
こうしてトリノ・モーターショーに登場した350GTは、バランスの取れた居住性抜群のボディに320馬力を誇る12気筒3.5リッターのエンジンを載せ、来場者の注目を一身に浴びた。車体には、おうし座生まれのフェルッチョにちなみ、ゴールドの牡牛があしらわれる。
350GTの遺伝子は、引き継がれていく。1966年にはエンジンをボディ中央に置いたミッドシップタイプ、時速280kmを誇るミウラ(闘牛の家)を登場させた。1973年には、時速300kmのカウンタックLP400が登場する。その馬力も凄いが、スーパーカーの象徴にもなったガルウイングドアの威容は、当時の少年たちを熱狂させる。
ちなみに池沢さとしが描いた漫画「サーキットの狼」では、プロレーサー飛鳥ミノルの愛車としてミウラが登場する。カウンタックも「ハマの黒ヒョウ」が派手なクラッシュを演じている。