目次

  1. ジョージ・ソロスの先見の明
  2. 米国のイラン核合意離脱が引き金となる?
  3. 欧州で吹き荒れる反EU勢力
  4. ソロス氏が提案するEU崩壊・経済危機回避策
  5. 新たな金融危機の震源地は中国?
  6. ダリオ氏、エラリアン氏は2019年後半と予想

ジョージ・ソロスの先見の明

前回【第1回】ではジョージ・ソロスの投資家としての基盤、生い立ちについて紹介した。今回【第2回】ではより投資に直接的に関連する内容で、なおかつ最近の話題について紹介する。ソロス氏が「大規模な金融危機」に対して警鐘を鳴らしていることについてだ。

こういったソロス氏の鋭い市場分析やリスク管理の考え方も、原点は前回【第1回】で紹介したソロス氏の経験に基づく。ソロス氏の過去、現在、未来をつなげて同氏の経験や言動について注目したい。

米国のイラン核合意離脱が引き金となる?

ジョージ・ソロス氏が、「大規模な金融危機が近づいている可能性がある」との警鐘を鳴らした。米によるイランとの核合意破棄、勢力を拡大する反EU主義、ドル高、新興市場に対する投資家の弱気などがその理由だ。

2018年5月29日、パリで開催された「European Council on Foreign Relations(ECFR)」の年次集会に参加したソロス氏は、合意破棄と欧米の同盟関係の崩壊が、新興市場の通貨下落など欧州経済に悪影響をおよぼす可能性を警告し、「我々は次の大きな金融危機に向かっているかもしれない」と述べた(ブルームバーグ2018年5月29日付記事)。

米国のイラン核合意離脱は、合意全体を崩壊させる危険性をはらんでいる。この合意は2015年にイラン・米・英・仏・露・中・独の6カ国間で結ばれたもので、イランに対する経済制裁の一部緩和と核開発の制限を条件としている。

欧州で吹き荒れる反EU勢力