著名投資家ジョージ・ソロス氏が自身の設立したソロス・ファンド・マネージメントからオープン・ソシエティ財団に、総額180億ドルを移転させていたことが欧米メディアの報道から明らかになった。
ビル・ゲイツ氏やウォーレン・バフェット氏など、慈善団体に多額の資産を寄付するお金持ちは多いが、ソロス氏に関しては「慈善団体への寄付を悪用した税金逃れ」との批判が高まっている。

252億ドルの資産のほとんどを財団に寄付する意向

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(写真=Thinkstock/Getty Images)

フォーブス誌 の世界長者番付29位、資産総額252億ドル(2017年3月データ)といわれるソロス氏が、資産のほとんどを財団に寄付する意向を示していることは、財団の広報部もAP通信の取材で認めている。

オープン・ソシエティ財団は1979年、世界中の市民社会支援を目的で設立された 。現在はビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団に次ぐ、世界第2規模の慈善団体に成長している。「世界中のあらゆることに精通している」というフォード財団のダレン・ウォーカー社長の言葉通り、「世界で最も影響力のある財団」だ。

パナマ文書漏洩やグルジアの政変の火付け役疑惑など、様々な「事件」の裏にソロス氏の影が見え隠れし、その影響力と活動規模の大きさゆえに、一部の資産家や政府から煙たがられている。
その傾向は昨年11月、米国大統領選でトランプ氏が勝利して以来、さらに強まっているようだ。ソロス氏が財団を通じて行っている活動はリベラル的な印象が強く、トランプ政権誕生が象徴するポピュリズム勢とは反意するものである。

ソロス氏への反発は加速し、今年8月には同氏をテロリストと認定し、資産・財産の没収を要請する嘆願書ががホワイトハウスに提出されるほどに過熱している(ウィー・ザ・ピープルより )。同氏の活動を「米国を不安定化させ、政府への扇動行為を意図するテロリズム」と見なす10万人以上が署名したものだ 。

慈善団体に多額の資産を寄付するお金持ちが増えた理由とは?

それでは今回の「税金逃れ批判」は、こうした反勢力派による根も葉もない中傷なのだろうか。

米国では2008年以降、オフショアファンドの手数料収入に対する税金を繰り延べる行為が禁止されている。ブルームバーグの報じたところでは 、ソロス氏自身を含むヘッジファンド運用者に、未納分の税金納付期限が迫っていることは確かである。これらの運用者のオフショア資金は総額1000億ドル以上と見積もられており、ニューヨーク在勤者には最高所得税(39.6%)の支払い義務が生じるほか、州および市の課税対象となる可能性もある。

近年、慈善団体に多額の資産を寄付するお金持ちがさらに増えているのは、こうした事情と無関係ではないだろう。
ソロス氏も例にもれず「数年にわたり総額180億ドルを財団に移転させた」と、財団の関係者が証言している。同氏はそれまでも年間8〜9億ドルを移転させていたが、数年前に遺産計画の一部として移転分を増額させた。さらに今後数年で最低20億ドルを移転させる予定だ。

ソロス氏と話す機会が多い財団のヴァイス・プレジデント、パトリック・ギャスパード氏は、「批判を含めた社会的圧力が、財団のリーダーシップを揺るがす心配はない」と断言している。(アレン・琴子、英国在住フリーランスライター)

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