社名メルカリ(mercari)は、ラテン語で「商いする」を意味だが、この言葉を深掘りすると奥深い。mercariと同じ語幹の言葉には、mercy(慈悲・情け)、Mercury(水星)、Mercurius(ローマ神話オリンポス12神の一つ・商業神)がある。

ちなみにMercuriusが持つ杖は、指すものを目覚めさせ、希望の光を放つそうだ。一橋大学の校章も、この杖を象っている。そんな由来のメルカリを社名に冠したのは、「個人間で、あんしん・あんぜんに取引を行えるマーケットにしていきたい」との想いからだ。

メルカリ,IPO
(画像=Getty Images)

フリマアプリで成功

メルカリは、フリーマーケットアプリ運営のフロントランナーだ。2017年には日米合わせて1億ダウンロードを達成、同じタイミングでプロサッカーのネイマール選手とのグローバルアンバサダー契約締結を発表するなど、話題には事欠かない。

メルカリのビジネスモデルは高く評価され、今年2月の第4回「日本ベンチャー大賞」では、社会的インパクトをもたらしたビジネスモデルとして内閣総理大臣賞を受賞した。

安倍首相も表彰あいさつで、「これからも果敢に挑戦を続け、日本経済をけん引するようなビジネスに成長してほしい」と、成長の起爆剤としてベンチャー企業への期待の大きさをにじませた。

3億円が450億円に

そんなメルカリが、株式市場で話題を呼んでいる。同社は6月に東証のマザーズ市場でIPO(新規株式公開)を実施、ブックビルディングでは個人投資家が殺到し、抽選倍率が50倍に達した。

最社は不調が予測された海外投資家も、フィデリティ、ブラックロック等が高い関心を示すなど、良い意味で予測が外れた。こちらの倍率も20倍だ。

公開価格も、仮条件(2700円-3000円)の上限で決まった。メルカリの発行株式は、今回の公募株式0.18億株をくわえて1.35億株となり、時価総額は、4000億円を超える。LINE(時価総額6930億円)に次ぐ大型IPOに市場は沸き立つ。

筆頭株主かつファウンダーである山田進太郎の保有持株割合28.83%であり、株式評価額は1170億円に達する。ドル換算で10億を超え、ビリオネアに名を連ねた。今回のIPOで一部115万株を売却し34億円を手にしたようだが、引き続き筆頭株主の座を確保する。

巨額の資産を手にしたのは、山田氏だけではない。主要株主第2位のユナイテッド社は、ネット広告やベンチャー投資を主なドメインとする企業だ。同社は、メルカリの創業当初(2013年)に3億円を出資した。

「あの時に出資要請を受けたのは間違いではなかった」と同社の金子陽三社長は述懐する。あの時の3億円は、現在150倍の450億円に跳ね上がった。ユナイテッド社は、今回のIPOで450万株を放出する、手にするキャッシュは135億円だ。同社は現在、投資先として新たな成長企業を探している。

日本では、2000年前後にITブームでベンチャー投資やIPOが盛り上がったが、その後の株式市場低迷やライブドア事件で低迷した。それが、今回のメルカリIPOの成功を目にした起業家・ベンチャー投資家の間では、後に続けとの期待が盛り上がっている。

それでも課題は残る

懸念材料はいくつかある。まず一つは、過熱気味で不安定なIPO市場だ。

メルカリも、上場初日は売買代金が1900億円(3600万株)まで膨らみ、初値は5000円をつけた後6000円まで上昇した。ところが2日目には早くも値を下げ、終値は4910円の初値割れだ。その後も、同社株は4日連続で続落、25日終値は4270円まで落ち込んだ。

上場初日に高値掴みした個人投資家が、損切り承知で手じまい下格好だ。今回のメルカリ上場では、「初値天井」のジンクスを破れるかが注目されたが、現時点では果たせていない。

メルカリ自体の業績も、売上高が急速に伸びている一方で、まだまだ赤字が続く。それでも投資家が米国での成長に期待をかけているのだ。かりにもし米国事業がコケるような事態になれば、株式市場にも失望感が拡がるだろう。(ZUU online 編集部)