人生の三大資金といえば一般的に住宅・教育・老後資金。この中でも、住宅購入の悩みとしてよく聞かれるのが、「戸建てとマンションではどちらを購入するべきか」という質問です。

この選択における絶対的な答えはなく、その人ごとの価値観や家族構成によって判断する必要があります。そこで今回は、戸建てとマンションのメリット・デメリットについて、お金の面から考えてみました。

戸建て,マンション
(画像=PIXTA)

戸建てのメリット

戸建てのメリットは、ローン期間さえ終われば土地・建物はすべて自分もしくは家族のものになる(借地権ケースを除く)ことです。築年数が経過しても、土地価格が変わらなければ土地の資産価値は保つことができます。場合によっては更地にして売却することも可能です。

また、マンションとは異なり、毎月の管理費や修繕積立金、駐車場代金などの固定費がかからないため、住宅ローン返済後のキャッシュフローには余裕が出る可能性があります。もし土地を広く購入した場合は、住宅だけではなく庭で遊んだり、荷物置き場などを確保できるなど、余計なコストをかけずに自由かつ、効率良く自分の生活を堪能できるのも魅力です。

戸建てのデメリット

戸建てのデメリットの一つは、同じ立地条件のマンションと比較した場合、土地付きということもあり、どうしても購入価格が高くなることです。

また、資金面で問題となるのは修繕費で、自分で計画的に準備しておく必要があります。共用部分の多いマンションでは、かかる費用を話し合って按分できる可能性もありますが、戸建ての場合は全てが自己資金です。具体的には、10年単位での外壁の塗り替えはもちろんのこと、もっと築年数が経過すれば建て替えも検討が必要になるかもしれません。修繕や建て替えを依頼する業者の検討も、時間とコストを要することでしょう。

もし、売却を検討する場合は、立地条件が良ければ簡単に売却できる可能性が高まりますが、メンテナンス状況によってはなかなか買い手が見つからない、ということもあり得ます。特に、人口減少が激しい地域などは注意が必要です。

購入時は、どうしても建物や土地の価格ばかりに目がいきがちですが、将来のランニングコストやライフステージの変化も想定して精査しなければいけません。

マンションのメリット

マンションのメリットは、戸建てよりも比較的安く手に入れられることです。同じ立地で比較した場合、一般的にマンションのほうが物件価格が安いのが一番の特徴です。

マンションの共用部や周辺一帯は管理会社がきれいに清掃してくれるため、手間がかからない点もメリットでしょう。修繕に関しては計画に基づき修繕積立金を計上していくため、物件の状態維持という面でも魅力的です。

また、高層階のマンションであれば見晴らしの良さも資産価値が高くなる条件のひとつです。さらに、駅からアクセスしやすいなど立地条件の良い場所に建っていることも多いことから、分譲マンションとして売却しやすいという一面もあるでしょう。実際に首都圏においては、新築物件よりも中古物件の成約数が上回ったという調査結果もあり、中古物件の需要の高さがうかがえます。(国土交通省/平成29年版土地白書より)

マンションのデメリット

マンションのデメリットは、管理費や修繕積立金、駐車場代など、毎月かかる固定費が多く、住宅ローン返済後も発生してしまいます。

特に修繕積立金に関しては、当初から計画的に積み立てできている場合は問題ありませんが、積立不足により突然値上げするといったケースもゼロではありません。共用部分が多いマンションの修繕においては、オーナーや管理組合との合意が必要になり、調整する時間もかかります。

また、高層階のマンションでは、下におりるまでに時間がかかるという機会損失も忘れてはなりません。「たかが数分の話」と思われるかもしれませんが、それが毎日、数十年と積み重なれば非常に大きいものになります。

失敗しない住宅選びは、家族が幸せに暮らせること

住宅選びには、それぞれメリット・デメリットがあり、住みはじめてからのランニングコストも違ってきます。また、選択肢には戸建てとマンション、新築と中古など、様々なパターンがありますが、なによりも大切なのは家族の幸せです。家族のライフプランに合ったタイプをしっかりと検討し、後悔しない住宅選びをしましょう。(提供=auじぶん銀行)

執筆者:伊藤亮太(ファイナンシャルプランナー)

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