笑いとソーシャルビジネスのコラボレーション

吉本興業,ソーシャルビジネス
(画像=The 21 online)

グラミン銀行創設者であり、2006年にノーベル平和賞を受賞したバングラデシュの経済学者・ムハマド・ユヌス氏が提唱する「ユヌス・ソーシャルビジネス」。

これは、利益の最大化を追求する従来型のビジネスモデルではなく、社会的課題の解決を目的としたビジネスモデル。投資家への配当金がない代わりに、世界中の貧しい人々の手に届く価格で製品やサービスを提供することを実現する、あるいは、彼ら自身がソーシャルビジネスの所有者となることで利益を得られるというものだ。

この「ユヌス・ソーシャルビジネス」の実践と普及に向けて、日本を代表するエンタテインメント企業である吉本興業が、100%子会社の「ユヌス・よしもとソーシャルアクション株式会社(yySA)」を立ち上げた。

吉本興業では地域活性化の一環で、2011年より、「住みます芸人」として全国47都道府県に所属の芸人が移住、活動している。そして、農業や伝統工芸の後継者問題、子育て問題、少子高齢化問題、環境問題など、彼らの活動の中で様々な地元の課題に直面してきた。 それらの課題に対して、先進的な取り組みを行なうIT起業家やスタートアップ企業などをマッチングしていくことで、それまでにない新しい視点や未来からのアプローチで問題解決を目指していくという。

ビジネスを通じて貧困問題などに取り組んできたユヌス氏の知見と、吉本興業の「笑い」の力をもって社会問題の解決を図り、さらに「ソーシャルビジネスを日本のお茶の間に届ける」ことがyySAの使命。一部の社会起業家だけでなく、カルチャーとして展開、大衆化させるための仕組みを作り、いずれはアジア各国にも広げていく予定だ。

今後は、自立を目指すソーシャルビジネス・カンパニーに対する支援やコンサルティング、そのための資金提供を行なうファンドの設立も予定されているという。

ソーシャルビジネスと笑いのコラボレーションがどのような展開を見せるのか、今後が楽しみである。(『The 21 online』2018年2月号より)

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