日経平均株価が1/23(火)に付けた年初来高値に迫ってきました。9/21(金)の東京株式市場では、日経平均株価高寄与度銘柄の他、下げていた半導体関連株にも買いが入っているようです。

こうした中、株式市場で今後は出遅れ銘柄に対する関心が強まってきそうです。そこで、「日本株投資戦略」では「インバウンド関連銘柄」に改めて注目したいと思います。政府は2020年に「訪日外国人4,000万人」を目指しており、訪日外国人(インバウンド)の増加は引き続き「国策」となっているからです。

確かに、この「国策」は2018年試練を迎えているようです。大阪北部地震(6/18)、西日本豪雨(6/28~7/8)、台風21号の上陸(9/4)、北海道胆振東部地震(9/6)等の自然災害が相次ぎ、人的・物的被害が拡大し、訪日を予定した外国人のキャンセルが相次いでいます。これを嫌気して「インバウンド関連銘柄」で下げる銘柄が多くなっています。足元、多くの銘柄で株価が上昇に転じる中でも、「インバウンド関連銘柄」には冴えない銘柄が目立っているようです。

しかし「インバウンド関連銘柄」については、今後数字面で悪材料が出た場面や、株価が下げた局面は投資のチャンスになるかもしれません。投資家の関心も徐々に戻りつつあると考えられます。

出遅れテーマ株として注目したい「インバウンド関連銘柄」

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(画像=PIXTA)

それではさっそく、「インバウンド関連銘柄」について考えてみたいと思います。そもそも、「インバウンド関連銘柄」にはどのような銘柄があるのでしょうか。特定の投資テーマから関連銘柄を抽出する方法としては、SBI証券の株式検索機能を利用するのが便利です。「国内株式」のページで検索ウィンドウに「インバウンド」と入力し、「検索」をクリックすると多くの銘柄が表になって出てまいります。

また、上記の検索ウィンドウの下に、「テーマ投資」という単語がありますので、そこをクリックすることも有効です。そうすれば「テーマキラー!」のコーナーに移ることができます。ここでは、様々な投資テーマをご紹介するとともに、その関連銘柄をご紹介しています。さらに、ご予算に合わせ、関連銘柄をパッケージで売買できる仕組みもご提供しています。「インバウンド」は主要投資テーマのひとつで、現在でも「アクセスランキング」の第4位(9/21現在)になっています。

「日本株投資戦略」では、銘柄検索ウィンドウ入力で検索されるか、または「テーマキラー!」のコーナーで紹介されている「インバウンド関連銘柄」のうち、東証に上場されている時価総額1千億円以上の銘柄について、その株株価変動率を調べてみました。冒頭で触れた4つの自然災害のうち、もっとも早い「大阪北部地震」の起こった前日(6/15)から9/19(水)までの株価騰落率を調べ、その下落率が大きい順に20銘柄を並べたものが表1となります。

注意点としては、決算や業績修正、月次収益、等の発表、または証券アナリストのレポート等の形で、自然災害等の影響が表面化した「悪材料」が今後も出てくる可能性があることです。悪材料の表面化とともに、株価が下がるリスクも残ります。

ただ、そうした形で悪材料が出る場合、その銘柄にとっては文字通り「アク抜け」接近となる可能性が大きく、株価下落はむしろ投資チャンスになる可能性があると考えられます。

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(画像=SBI証券)

表1:主要インバウンド関連銘柄で株価下落率の大きい銘柄

コード / 銘柄名 / 株価(9/19) / 騰落率(6/15~) / 投資ポイント
<4927> / ポーラ・オルビスホールディングス / 3,805 / -27.1% / 海外店舗を訪れる人も増加傾向
<9616> / ※共立メンテナンス / 4,675 / -24.8% / インバウンド比率95%のホテルも
<4922> / コーセー / 20,160 / -21.7% / 中国人リピーターの増加が下支え
<2222> / 寿スピリッツ / 4,865 / -21.3% / 免税エリア等での販売強化が奏功
<4924> / シーズ・ホールディングス / 3,985 / -20.1% / 卸売事業にインバウンド需要
<4967> / 小林製薬 / 8,200 / -17.6% / 中国人に人気の「神薬」をそろえる
<3088> / マツモトキヨシホールディングス / 4,450 / -15.2% / ホテル内出店でインバウンド需要取り込み
<3048> / ※ビックカメラ / 1,526 / -13.1% / 訪日外国人の買い物の人気スポット
<4911> / ※資生堂 / 7,928 / -11.8% / 前期はインバウンドが7割増
<9706> / ※日本空港ビルデング / 5,050 / -10.1% / 羽田ターミナルビル家主。成田免税店も
<8244> / 近鉄百貨店 / 3,725 / -10.1% / 前期はインバウンド効果で大幅増益
<9048> / 名古屋鉄道 / 2,729 / -10.1% / インバウンド需要が下支え要因に
<8251> / パルコ / 1,248 / -9.7% / 外国人接客で映像通訳サービス
<9044> / 南海電気鉄道 / 2,942 / -9.3% / 関西国際空港や高野山等を鉄道で結ぶ
<4921> / ファンケル / 5,200 / -9.1% / インバウンド想定以上で上方修正
<3086> / J.フロント リテイリング / 1,654 / -9.1% / 大丸心斎橋店本館を建て替え
<9708> / 帝国ホテル / 1,990 / -8.7% / 日比谷再開発の恩恵も
<9001> / 東武鉄道 / 3,405 / -5.5% / 日光、浅草、スカイツリー等が観光資源
<3099> / ※三越伊勢丹ホールディングス / 1,351 / -5.2% / 百貨店首位。新宿伊勢丹、銀座三越有す
<9041> > / 近鉄グループホールディングス / 4,505 / -5.0% / 奈良・大阪が地盤も営業距離国内最大

※Bloombergデータ、各種資料をもとにSBI証券が作成。表1はあくまで、客観的データの提供を目的としており、銘柄の推奨を意図したものではありません。

「インバウンド関連銘柄」の考え方

冒頭でもご説明した通り、政府は2020年に「訪日外国人4,000万人」を目指しており、訪日外国人(インバウンド)の増加は引き続き「国策」となっています。株式市場では「国策に売りなし」という格言があります。自民党総裁選挙が終わり、再び安倍政権の経済対策にスポットが当たってくると考えられますが、インバウンドの増大はその目標達成に現実味がある政策として、今後も株式市場で注目を集め続けていくと考えられます。

そうした中、2018年半ば以降、大阪北部地震(6/18)、西日本豪雨(6/28~7/8)、台風21号の上陸(9/4)、北海道胆振東部地震(9/6)等の自然災害が相次いでいます。これらを受け、人的・物的被害が拡大し、訪日を予定した外国人のキャンセルが相次いでいます。これらの動きを嫌気して「インバウンド関連銘柄」で下げる銘柄が多くなっています。

特に株価下落率の大きいのが化粧品関連株のように思われます。インバウンド需要の増大を受け、もっとも恩恵を受ける分野として、(1)化粧品、(2)最高級ブランド品、(3)婦人・服飾雑貨等が指摘されており、関連銘柄の業績は拡大してきました。相次ぐ自然災害を受け、その反動が一気に表れた格好です。表1で最上位にあげたポーラ・オルビスホールディングス <4927> の株価は2016年11月から2018年5月まで2.9倍となり、5,410円まで上昇しました。その後9/10(月)に3,415円の安値を付けるまで37%下落となりました。大幅上昇後に反動安は一巡したでしょうか。

類似銘柄としては、コーセー <4922> 、シーズ・ホールディングス <4924> 、ファンケル <4921> 他があげられます。ただ、最近は帰国した中国の消費者等が自国でリピーターとなる動きもあります。将来的には、自然災害等による訪日外国人増減等の影響を受けにくくなるかもしれません。

なお、地震、豪雨、台風など近畿地方への自然災害が続き、特にこの方面での悪影響が心配されています。格安航空会社の多くが関西国際空港を利用し、同空港は南海電気鉄道 <9044> 等を通じ大阪なんばに通じます。関西国際空港の機能不全や、南海電気鉄道空港線の不通が心配されましたが、早期に回復の方向となり、安心感が戻りつつあります。なんば等大阪主要都市の影響が限定的なものにとどまれば、J.フロント リテイリング <3086> や近鉄百貨店 <8244> への投資家の不安も少なくなると考えられます。

図1:訪日外国人数(万人)

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(画像=SBI証券)

図2:訪日外国人の増減(前年同月比・%)

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(画像=SBI証券)
※日本政府観光局のデータをもとにSBI証券が作成。図1の2018年の数字が8月までの数字を年換算した推定値であり、今後変化する可能性があります。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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鈴木英之 SBI証券 投資調査部

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