最大の情報源は企業の「年次報告書」
「世界最高の投資家」「投資の神様」「オマハの賢人」――。輝かしいばかりの呼称を持つウォーレン・バフェット。株式投資をしている人なら、何度もその名前を耳にしたことがるはずだ。現在のバフェットの個人資産は約900億ドル(1兆円超)。いったい、どのような投資スタイルでここまでの巨額資産を築き上げてきたのだろうか。
バフェットをはじめ、著名投資家に詳しい太田忠投資評価研究所代表の太田忠さんは、バフェットの投資スタイルについてこう話す。
「バフェットは、バリュー(割安)株投資のベンジャミン・グレアムと、グロース(成長)株投資のフィリップ・フィッシャーを自らの師としています。株価の割安感を意識しつつ、長期成長が見込める銘柄に投資するというのが彼の投資の基本です」
バフェットが初めて「投資」に手を染めたのは11歳の頃。公益企業の株に投資し、3ドルの〝儲け〟を手にする。ほかにも、祖父の店からコカ・コーラ半ダースを25セントで仕入れて1本5セントで販売するなど様々なビジネスを手掛けた。
20代の頃に「証券分析の祖」と呼ばれるベンジャミン・グレアムと出会い、グレアムの分析手法を学ぶ。グレアムは経営者へのインタビューなどは行わず、公表されている数字を徹底的に分析する手法で知られる人物。当時学んだことは現在もバフェットの中に息づいているようだ。
「彼の一番の情報源は企業が発行する『年次報告書』。目を付けた企業の年次報告書とライバル企業のそれを熟読するんです。米国の年次報告書には定性的情報(ビジネスモデルや将来性など数字には表れないもの)についての記述がかなりあるので、それを徹底的に読み、分析します。経営陣が優秀であることも重視していて、いくら株価が割安でも経営陣が優秀でなければ再建は難しいという考えです」
今年に入ってアップル株の第3位株主に急浮上!
バフェットは今年に入り、筆頭株主であり最高経営責任者(CEO)でもあるバークシャー・ハザウェイ社を通して米国のアップルを7500万株購入。年半ばまでにさらに2億5200万株まで買い増し、第3位株主に躍り出ている。バフェットはアップル株について「株式の100%保有してもいい」と公言し、市場でも話題となった。