東京株式市場では株価の下落局面が続いています。日経平均株価は10/2(火)に一時24,448円07銭を付けた後は下落基調となり、10/26(金)には一時20,971円93銭まで下落しました。この間の下落率は14.2%に達しています。

「米中」を中心に、米国と他の国々との貿易摩擦問題が懸念され、すでに中国や欧州では株価が下落基調に転じていましたが、米国や日本でも本格的な株価下落局面になっています。特に足元では、一部企業で業績の先行き見通しが悪化するケースが表面化し、株価下落が加速する場面が増えています。

米トランプ大統領の通商政策は当初、中間選挙をにらんだ一時的な対応との見方もありましたが、中国が政治・経済・軍事等で米国に代わり覇権を握るのを防ぐことが目的との見方もあり、米中対立は長期化する可能性もありそうです。しかし、株価は短期的に「下げ過ぎ」を示唆する材料が増えていると考えられ、いつ反発に転じても不思議ではないと考えられます。

そこで、今回の「日本株投資戦略」では、時価総額が大きい主力銘柄の中から、PBR(株価純資産倍率)が低く割安感が強まっている銘柄を抽出してみました。

「解散価値」割れ主力銘柄はコチラ!?

日本株投資戦略,解散価値割れ主力銘柄
(画像=PIXTA)

冒頭でご説明したように、株価下落の背景にあるのは米中貿易摩擦問題ですが、同問題自体は長期化する可能性があり、そのため株価下落局面も長期化する恐れがあります。しかし、株価は短期的に「下げ過ぎ」を示唆する材料が増えていると考えられ、いつ反発に転じても不思議ではないと考えられます。

そこで、今回の「日本株投資戦略」では、時価総額が大きい主力銘柄の中から、PBR(株価純資産倍率)が低く割安感が強まっている銘柄を抽出してみました。「時価総額が大きい主力銘柄」について「日本株投資戦略」では1,000億円を基準にすることが多いですが、市場が荒れているので今回は2,000億円に引き上げてみました。その分、市場から得る信用度は大きくなっていると考えられます。

スクリーニング条件は以下の通りです。

(1)東証1部上場銘柄であること
(2)アナリスト2名以上が業績予想を公表している銘柄であること
(3)時価総額2,000億円以上の銘柄であること
(4)10/29(月)~10/31(水)に決算発表を予定していないこと
(5)今期予想純利益(市場コンセンサス)が黒字であること
(6)銀行・証券を除く業種であること

上記の全条件を満たした銘柄を、予想PBR(株価純資産倍率)の低い順に10銘柄を並べたものが表1となります。「日本株投資戦略」では、これらの銘柄は、足元の株価下落を通じ、さらに割安感が強まっていると考えています。

なお、スクリーニング条件の中には特に、「解散価値割れ」(PBR1倍割れ)という項目を入れていませんが、スクリーニングの結果、表1に掲載された銘柄はすべてが「解散価値割れ」となっています。

なお、スクリーニング項目のうち、(6)がなかった場合、ランキング上位は軒並み地銀を中心とする銀行株に偏ってしまうという点にもご注意ください。

「解散価値」割れ主力銘柄はコチラ
(画像=SBI証券)

表1:「解散価値」割れ主力銘柄はコチラ!?
コード / 銘柄名 / 株価(10/25) / PBR(倍) / 株価下落率(10/2~) / 決算発表予定日
<6178> / 日本郵政 / 1,319 / 0.40 / -2.8% / 11/14
<7911> / 凸版印刷 / 1,538 / 0.41 / -16.0% / 11/9
<5711> / 三菱マテリアル / 3,085 / 0.53 / -11.0% / 11/6
<7240> / NOK / 1,529 / 0.53 / -21.4% / 11/9
<5401> / 新日鐵住金 / 2,046.5 / 0.55 / -15.3% / 11/2
<9401> / 東京放送ホールディングス / 2,090 / 0.61 / -11.3% / 11/1
<1605> / 国際石油開発帝石 / 1,318.5 / 0.61 / -9.7% / 11/7
<4676> / フジ・メディア・ホールディングス / 1,888 / 0.61 / -6.4% / 11/1
<8253> / クレディセゾン / 1,690 / 0.65 / -10.6% / 11/13
<9409> / テレビ朝日ホールディングス / 2,072 / 0.66 / -6.2% / 11/6

※Bloombergおよび会社公表データを用いてSBI証券が作成。PBRは前期実績純資産をもとに計算。なお、決算発表予定日は予告なく変更される場合もあります。また、株価は決算発表以外のニュース等でも大きく変動することがありますので、ご注意ください。

株価は短期的に「下げ過ぎ」で、反発に転ずる可能性も!?

日経平均株価は10/2(火)に一時24,448円07銭を付けた後は下落基調となり、10/26(金)には一時20,971円93銭まで下落しました。この間の下落率は14.2%に達しています。

「日本株投資戦略」では以下の理由から、日本株(日経平均株価)には「下げ過ぎ」を示唆する材料が目立っており、いつ反発に転じても不思議ではないと考えています。

(1)日経平均株価の25日移動平均線からのかい離率が「下げ過ぎ」を示唆するマイナス7~8%を超えてきたこと
(2)日経平均株価のRSIが「下げ過ぎ」を示唆する30%を割り込み、19.6%まで低下(10/25)したこと
(3)日経平均株価の予想PERが一時、本年最低水準(12.22倍)まで低下したと考えられること
(4)日経平均株価(月足)の24ヵ月(2年)移動平均線が21,000円前後であり、株価がその水準に到達してきたこと

10/25(木)には日経平均株価が前日比822円45銭安となり、東証1部の値下がり銘柄数は2,072となりましたが、これは推定で過去最多とみられます。日経平均採用銘柄の騰落レシオも「下げ過ぎ」を示唆する水準に低下してきたと推測されます。

なお、スクリーニングのタイミングと決算発表のタイミングが接近しており、業績変動リスクがあるため、10/29(月)~10/31(水)発表予定の銘柄を除いています。今回の決算発表では業績予想の下方修正等も増えると予想されるため、決算発表の時点で買い持ちとする場合は十分注意が必要と考えられます。

※本ページでご紹介する個別銘柄及び各情報は、投資の勧誘や個別銘柄の売買を推奨するものではありません。

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鈴木英之
SBI証券 投資調査部

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