(本記事は、中根一氏の著書『世界基準のビジネスエリートが実践している 最強の体調管理』KADOKAWA、2018年11月8日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

「朝の緑茶」はコーヒーの10倍パフォーマンスを上げる

(画像=g-stockstudio/Shutterstock.com)

私の鍼灸院を訪れるビジネスマンには、「会社では、コーヒーばかり飲んでいます」という方がたくさんいらっしゃいます。

世界で最もコーヒー消費量が多いのは、アメリカ。次いでブラジル、3位のドイツに続いて日本は第4位です。

日本のコーヒー消費量は、1日あたり平均で約3杯。日本で最も消費量が多い京都では、約4杯だと言われています。

確かにコーヒーが焙煎された香りは素敵ですが、苦味は毒物としてのサインだということが旭川医科大学の研究でわかっています。本能的に人が好む味ではないはずですが、嗜好品として世界中ですっかり定着しています。

人々の生活に定着しているコーヒーですが、クロロゲン酸・リンゴ酸・クエン酸やコーヒー豆の微粒子などによって残る独特の口臭は、気になる人も多いのではないでしょうか。

緑茶はもともと漢方薬として伝来

コーヒーのカフェインに覚醒する作用があることは確かです。

ただし、カフェインの作用以外の効能や、身体全体の気の巡りで考えると、同じカフェインを含む飲みものなら、緑茶のほうが日本人の食生活のバランスに合っています。

もともと緑茶は、解熱・眠気さまし・胸の病や心身の滋養強壮に使われる漢方薬の一種として、鎌倉時代に日本にもたらされました。僧侶・栄西が深酒の癖があった源頼朝に献上したという記録があります。

緑茶には、咳、高血圧、寝汗といった症状を抑える薬効があり、体内の熱を下げる利尿作用、胃の働きを活発化させるという生理的な反応を利用した胃薬と同じような効果があります。

また、緑茶の苦味は、食欲を増進させる効果も期待できます。

2015年には「国立がん研究センター」の予防研究グループが、緑茶を飲む量が多い人ほど心疾患・脳血管障害・呼吸器疾患による死亡リスクが低くなるというデータを発表しました。

また2013年の明治国際医療大学と京都府立医科大学の研究では、緑茶を飲んだ30分後に副交感神経の働きが活性化し、特に精神的な疲労の回復や免疫に深く関係するNK細胞の活性化が認められました。

懐石料理にみる日本の食文化はとてもよく考えられており、「食前にはほうじ茶(番茶)」を「食後には煎茶(緑茶)」を出すようにしています。

ほうじ茶の香りにはリラックス作用があるピラジンが含まれており、加えて低カフェインなので、胃腸の働きをよくします。

また食後に緑茶を飲むとカフェインによる満腹中枢の刺激が起きるので、感覚的にもお腹が満たされ満足感が得られるのです。

他にも緑茶には抗酸化作用があるカテキンと、体内でビタミンAの働きをするβカロテンがたくさん含まれています。もちろんビタミンB・C・Eも含まれているので、ルックスを若く保ちたい方にも効果が期待できます。

また1日に5杯以上飲んでいる人は、全死亡リスクが低くなっていたというデータもあるのです。

私の鍼灸院では、日本にお茶の種を最初に持ち帰ったといわれる最澄が開いた、滋賀県の山間にある小さなお茶畑で採れた、「朝宮」のお茶をお出ししています。

パフォーマンスを高めたいなら「鰻の蒲焼き」より「鰻の白焼き」

「土用の丑」とは、江戸時代に発明家として名を馳せた平賀源内によって命名されたとわれていますが、蒸し暑い夏にスタミナ補給のため鰻を食べるという習慣は、本当は売り上げが伸び悩む夏の鰻屋にお客さんを呼び込むためのPRだったという説もあります。

一流は味覚でパフォーマンスを上げている

人は食べたもので身体を作るので、食材に気を配ることは大切なことです。でも、そのことに囚われてしまい、日々の食材の正誤判断をし始めたらキリがありません。

東洋医学では、「味覚で選ぶ」ということを大切にしています。ここでテーマとしている、若々しい身体を保ち、スタミナをつけてパフォーマンス力を高めるには、鹹味(しおからみ)がよいと伝えています。

鹹味は塩味とは違います。精製された海水塩ではなく「塩味+苦味」を呈する天然塩や岩塩の味です。

塩味は筋肉の働きや栄養素の吸収などを受け持つナトリウムの味で、苦味は血液循環を促進したり、神経の興奮を抑えたりする働きを持つマグネシウムの味なのです。

東洋医学の「味覚を選ぶ」知識でパフォーマンスに差をつける!

実は、人の身体は、「ミネラルの苦味と糖分の甘味」を感じた時に、栄養補給ができたということを脳が察知します。

少ない食事量であっても、高い満足を得られるような味覚を選ぶことで、体調が整い、パフォーマンスがアップするような栄養補給ができるのです。

こうした知識を知っているだけで、日々のパフォーマンスが大きく変わってきます。

高血圧と塩味、鹹味の関係を知っていますか

年齢が高くなると、高血圧を心配する方が多くなります。塩分が多い食事は、パフォーマンスが上がるけれど、高血圧症にならないか心配だと思われる方もいらっしゃるでしょう。

精製塩は99%以上がナトリウムですが、天然塩は80%以下。残りはマグネシウムやカリウムなどのミネラルが含まれています。

マグネシウムには血管のポンプ機能を補う作用があり、カリウムには塩分を排出する作用があります。

パフォーマンスを落としたくない方は、普段の食事に天日干しの天然塩や岩塩を選んでみてはいかがでしょう。東洋医学で推奨しているのは、ナトリウムの塩味とミネラルの苦味を合わせ持つ、この鹹味なのです。

健康的な塩分摂取量は1日6グラム未満

医療の世界では、1日の塩分摂取は6グラム未満を推奨しています。実際に調理をする時に一人分で作ることは少ないので、実際にイメージすることは難しいのですが、小さじ1杯程度が5?6グラムになります。

ラーメンにすると、スープを飲み干すと約8グラムの塩分を、半分を飲むと約5グラムの塩分を摂ることになるようです。

厚労省で推奨する1日に必要とする塩分は、味覚的に物足りなさを感じる量だと思います。高血圧など循環器系の疾患を治療中の方が減塩をしなくてはならない場合、スパイスを使って塩分や油脂を減らし、美味しくいただく工夫をします。

日本食なら濃いめの「出汁」を使い、フレンチならば「ブイヨン」を際立たせます。

淡い味で身体に優しい食事もいいのですが、やっぱり味の輪郭がハッキリしているほうが美味しいですよね。

たまに自分で料理をするという方、塩は天然塩や岩塩を量に気をつけて使うようにし、カレー粉、トマトペースト、生姜、シソ、ゴマなどを活用し、パフォーマンスを維持する食事を楽しんでみてください。

中根一(なかね・はじめ)
鍼灸師。「鍼灸Meridian烏丸」院長。京都在住。日本で最も古い鍼灸学術団体「経絡治療学会」の理事・関西支部長を務め、日本の東洋医学界を牽引。世界一流の政治家や経営者、俳優や音楽家だけでなく医師もクライアントに抱える。慢性疾患の治療だけでなく、疲労回復も得意とする現代人のお抱え鍼灸師として、執筆活動・ウェルネス事業アドバイザー・鍼灸学校における後進指導にあたっている。

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