(本記事は、中根一氏の著書『世界基準のビジネスエリートが実践している 最強の体調管理』KADOKAWA、2018年11月8日刊の中から一部を抜粋・編集しています)

「イライラ」「わがまま」が増えてきたら、体力が衰えている証拠

世界基準のビジネスエリートが実践している 最強の体調管理
(画像=Albina Glisic/Shutterstock.com)

最近、イライラして我慢できないとか、周りからわがままになったと言われるとか、精神状態の変化に薄々気づいてきているという方。

これも、老け込みが深刻化した人に見受けられる心の変化と言えます。実は、相手の話を聞くという行為には、それなりの体力が求められるのです。

人が話し終えるのが待てないというのは、どこかに身体の不調が出てきている証拠と言えます。

筋力が低下するとホルモンも減少する

老け込んでいる人の身体の機能が落ちている症状として、第一に挙げられるのが筋力低下が顕著になる事。

背中側についている大きな筋肉は、セロトニン分泌に大きく関わっていますが、この筋肉の筋力が低下するとセロトニンの分泌も減少するのです。

セロトニンは、心と身体を心地よい状態に整えるホルモン。また睡眠、呼吸、歩行、周囲への注意、認知機能などにも影響を与えています。

つまり、老け込むことで、身体の機能が劣ってくるばかりか、精神活動も落ちてくるのです。

セロトニン減少により、「イライラ」「わがまま」が増える原因につながります。

また、老け込んでいくと様々な事象に対して我慢ができなくなるので、「つい、?しちゃった」ということが増えるようになってきます。

言わなくてもいいことを、口が滑って言ってしまったり、理性で考えたりせずに配慮に欠けるような行動をとってしまうようになったら、身体がかなり衰えていると言っていいでしょう。

体調管理の基本は「足し算」ではなく「引き算」

基本的な身体のスタミナは、30歳までで決まると言われています。

身体のスタミナを若いうちにしっかり貯蓄して、さらに倹約するのがベスト。若いうちにしっかり貯蓄しても、浪費すればすぐに破産。

このスタミナの考え方は資産運用の考えと似ています。若いうちに貯蓄できていなくても、ちゃんと倹約すればベター。

若いうちに貯蓄ができていないくせに、浪費癖もあれば……どうしようもありません。

周りを見渡していただくと、一見身体が弱そうに見えて、長生きしている高齢者の方々がいらっしゃることでしょう。

なぜ、彼らは長寿を手に入れることができたのでしょうか。

逆に、運動神経抜群の人が、突然死に見舞われるケースもよく耳にします。たとえ、体力気力が優れたとしても、体力気力を無駄に消費する生活を続けていると、健康寿命には逆効果だと言えるでしょう。

何も食べないほうが回復につながる

30代まで、夜更かしをし、お酒を飲んで身体を酷使した生活を送ってきたとしても、東洋医学には、効果的な体調管理で、老け込むスピードを緩やかにすることができる知恵があります。

それが「養生」という生活習慣で、体質別に「いい休息」の取り方を教えているのです。年をとるごとに現れる「腎虚体質」の方にも取り入れてほしい休息法です。

例えば、皆さんは、疲れを感じた時、どう対処しようとするでしょうか?

たいていの方は、パワーの源になるような食事をとって回復させようとします。

実は東洋医学から考えると、これは逆効果になります。

もちろん、体力を補うための食事はありますが、この方法が効果的なのは、それほど疲れていない人や基礎体力がある人だけです。

そもそも、老け込み症状が出て、パフォーマンスが落ちている人は、胃腸が弱っているため、食べ物を消化する体力が働いていません。

東洋医学が考える「いい休息」とは、栄養を補給するだけではなく、引き算の発想も大切にしています。

つまり、「何も食べないこと」がかえって、身体の機能を回復させることにつながるのです。

食べるということは人にとっては、「体力が要る仕事」だと知っておきましょう。

人は疲れると眠くなります。腎の働きを回復させるための反応です。

覚醒している間にずっと働き続けている脳を休ませて記憶の整理をさせている間に、成長ホルモンを分泌して、酷使した身体をメンテナンスする時間でもあるのです。

また、自律神経もリラックスモードに入り、心臓の働きをスローダウンさせる時間でもあります。 これらのリセット機能を一言で表現しているのが、東洋医学で言う「腎の働き」なのです。

ですから、時に、効率よく体力の地固めをするためには、腎の働きを休息させてあげるのが、体調管理には一番という選択になるのです。

世界基準のビジネスエリートが実践している 最強の体調管理
中根一(なかね・はじめ)
鍼灸師。「鍼灸Meridian烏丸」院長。京都在住。日本で最も古い鍼灸学術団体「経絡治療学会」の理事・関西支部長を務め、日本の東洋医学界を牽引。世界一流の政治家や経営者、俳優や音楽家だけでなく医師もクライアントに抱える。慢性疾患の治療だけでなく、疲労回復も得意とする現代人のお抱え鍼灸師として、執筆活動・ウェルネス事業アドバイザー・鍼灸学校における後進指導にあたっている。

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