ボイスレコーダーに「別の価値」を加える

髙田氏はまた、話の組み立て方や言葉のテクニックである「スキル」、伝え手の情熱である「パッション」の他に、“なんのために伝えるか”という「ミッション」が不可欠と続ける。

「テクニックと情熱を持って話しても、そこに『なんのために伝えたいのか』という確固たる想いがないと相手には伝わりません。これは『伝える』以前の問題で、まずはその商品を、なぜ、なんのために売りたいのか、伝えたいのかをじっくり考えます。

なんのために伝えるのか――それは究極的に言えば、受け取った人が幸せな気持ちになるためだと思います。ですから、どんなに良い商品でも、それが、どう人々の幸せにつながるのかが伝わらないと魅力がないですし、もし良い商品なのであれば、その商品をどう提案していけば人々の幸せにつながるのかを考えるのです。

例えばボイスレコーダーは、取材や会議の際などに声を録音するものですよね。でも、高齢者の方に向けて『ボタンをひと押しして話すだけで声が残せるので、物忘れをしたときでも安心』などと伝えれば、商品に新たな価値が生まれます。先ほどの話にもつながりますが、ただ商品を紹介するだけでなく、相手のことを考え、相手の幸せを考え、商品の先にあるストーリーがわかるように伝えることが重要なのです」